民法改正・2023年4月施行対応保存義務(民法940条)

実家を相続放棄しても建物の管理責任は残る?2023年民法改正(保存義務・940条)と責任を完全に手放す方法

「実家を相続放棄したから、もう固定資産税も倒壊時の責任も一切関係ない」と思い込んでいませんか?実は2023年4月の民法改正により、実家を「現に占有している者」には、放棄後も建物の「保存義務(管理責任)」が法的に残り続けることが明確化されました。放置による損害賠償リスク、相続財産清算人の予納金の実態、そして管理責任を完全に消滅させる最も賢い選択肢をわかりやすく解説します。

この記事の要点まとめ(3分で理解)

1. 改正民法第940条の新ルール

放棄時に「現に占有(居住・鍵や荷物の保管)」していた人は、次の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで保存義務を負う。非占有者は原則免責。

2. 放置すると巨額の損害賠償リスク

瓦落下や倒壊で通行人に怪我をさせた場合、民法717条(工作物責任)により数千万円〜数億円の損害賠償請求が発生する恐れ。

3. 全員放棄時の「清算人予納金」の罠

親族全員が放棄しても責任は消えない。国に引き渡すための「相続財産清算人」選任には約30万〜100万円の予納金が必要になる場合あり。

4. 最も賢い解決策は「現況売却」

数万円でも価値がつくなら、放棄より「古家付き・買取」で売却する方が手元に現金が残り、所有権移転で管理責任も完全にゼロにできる。

1. 「相続放棄すれば実家の管理責任はゼロ」は大間違い?2023年4月民法改正の真実

長年、相続実務において多くの人々を悩ませてきたのが「相続放棄した後の空き家・建物の管理責任は誰が負うのか?」という問題でした。

民法第940条第1項の改正前と改正後の違い

【2023年3月まで(旧民法)】

「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」

⇒ 実家に一度も住んだことがない遠方の親族でも「全員が管理責任を負い続ける」と解釈され、大きなトラブルになっていました。

【2023年4月以降(改正民法第940条)】

「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は相続財産清算人に引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」

⇒ 責任を負う主体が「現に占有している者」に限定され、責任内容も「管理」から「保存」へ整理されました。

「現に占有している」とはどこまで該当するのか?

法務省の通達や判例の議論において、「現に占有している」と判断される典型的なケースは以下の通りです。

  • ● 占有に該当する(保存義務あり):被相続人と同居していた、現在も実家に住んでいる、実家の鍵を管理し家具・家財道具を保管・使用している、定期的に実家を排他的に管理している。
  • ● 占有に該当しない(保存義務なし):実家を離れて長年別居しており鍵も持っていない、被相続人の生前から一切立ち入っておらず実家を管理・支配していない。
30秒セルフチェック

相続放棄後の「建物管理・保存義務」判定診断

2023年4月の民法改正により、相続放棄後の管理義務(保存義務)は「現に占有しているか否か」で大きく変わりました。4つの質問に答えるだけで、あなたの法的責任レベルと最適な対処法を即座に判定します。

Q1

実家の「占有状況」(居住・鍵や荷物の保管状況)は?

2023年4月施行の改正民法第940条「現に占有している者」の判定

Q2

他の法定相続人の状況は?

次の管理者への引き渡し可能性と全員放棄リスク

Q3

実家の建物の老朽化・近隣への危険度は?

倒壊、屋根瓦・外壁の崩落、火災・害獣などの被害リスク

Q4

実家の不動産市場価値(売却可能性)は?

「放棄」よりも「現況売却・古家付き土地売却」が有利な可能性

2. 建物の管理責任(保存義務)を放置するとどうなる?3大リスク

「相続放棄したから放っておこう」と放置し続けると、思わぬ法的トラブルや金銭的負担に直面します。

リスク①建物の倒壊・瓦落下による第三者への損害賠償責任(民法717条 工作物責任)

強風や地震で屋根瓦が飛散して隣家の車を傷つけたり、外壁や塀が崩れて通行人に怪我・死亡事故を負わせた場合、現に占有していた保存義務者に対して数千万円〜数億円規模の損害賠償請求が行われる判例があります。相続放棄の手続きをしていても、占有を解除していなければ免責されません。

リスク②空家特措法による「特定空家」「管理不全空家」指定と固定資産税の特例解除

2023年12月の改正空家特措法により、放置された空き家は「管理不全空家」に指定され、指導・勧告を受けると住宅用地の特例(固定資産税最大6分の1減額)が強制解除されます。放棄したつもりでも、自治体が占有者を割り出して管理改善の指導書を送付してきます。

リスク③全員放棄時の「相続財産清算人」選任にかかる高額予納金(50万〜100万円)

相続人全員が放棄して実家を引き取る人がいなくなった場合、占有者の保存義務を完全に終わらせるには家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てる必要があります。この際、裁判所に納める予納金(30万〜100万円)は申立人の自己負担となります。

収支・費用シミュレーター

実家の相続放棄 vs 相続売却・国庫帰属 損得シミュレーター

「放棄して費用を抑える」つもりが、清算人予納金や放置維持費で大損することも。4大ルートのリアルな収支を比較します。

実家の条件・費用を入力スライダーで調整

500 万円
0円1,000万2,000万3,000万円
150 万円
50万 (小型)150万 (標準木造)400万円 (鉄骨・残置物多)
30 万円 / 年
10万 (地方小規模)30万 (平均戸建)100万円 (都市部・遠方通い)
50 万円
0円50万 (裁判所相場)150万円
3 年間
1年3年5年10年
シミュレーション結果比較

4つの選択肢の手取り・実質自己負担

推奨
① 相続して現況のまま売却(古家付き・買取)

解体費ゼロで売却、管理責任も買主に完全移転

手取り概算

+477 万円

② 解体して更地として売却

解体費 150万を先出しして売却

手取り概算

+327 万円

③ 相続放棄(単独〜全員放棄)

申述費用 5万 + 清算人予納金 50

自己負担額

-55 万円

④ 相続土地国庫帰属制度

更地化(150万)+ 審査料・負担金(約21.4万)

自己負担額

-171 万円

⚠️
決断を先送りにして 3 年放置した場合の維持費損失

年間 30 万円 × 3 年 = 累計 90 万円 が無駄に消滅します。さらに建物が朽ちると売却価格も毎年数十万〜数百万円下落します。

専門家のアドバイス

査定額がつく実家であれば、「相続放棄するよりも現況のまま売却」した方が、手元にお金が残るだけでなく、登記変更により管理責任も完全に消滅するため圧倒的におすすめです。

3. 実家の管理責任を完全に手放すための4大ルート比較

実家を処分・手放す方法は「相続放棄」だけではありません。建物の解体費用や清算人予納金を払うくらいなら、「現況のまま売却(古家付き・買取)」した方が手元にお金が残り、責任も完全に消滅します。

徹底比較

実家を手放す4大ルート徹底比較マトリクス

管理責任の免責度・自己負担費用・手取り金額・解体要否を一覧比較。

最も推奨(手取り最大&完全免責)

現況売却(古家付き・買取)

実家を取り壊さず、荷物もそのままで現状有姿にて売却・引き渡しする手法

管理責任の免責度◎ 買主への所有権移転登記完了と同時に完全に免責
費用・自己負担仲介手数料(売却時のみ)/ 買取なら仲介手数料ゼロ
手取り・現金化売却代金が手元に残る(プラス収支)
建物解体不要(解体費用の自己負担なし)
所要期間1ヶ月〜3ヶ月(買取なら最短1〜2週間)
最適なケース少しでも価値がある実家、費用をかけずに早く手放したい方

4. 実家の相続放棄と管理責任を手放す5ステップ手順

相続放棄の申述期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」です。手続きの途中で不用意に荷物を処分したり解体すると「単純承認」とみなされ放棄できなくなるため、以下のステップに沿って慎重に進めてください。

完全ロードマップ

実家の相続放棄と管理責任を手放す5ステップ

単純承認による放棄失敗や、放棄後の責任トラブルを防ぐ確実な実践手順。

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実家の「資産・負債・市場価値」の精密調査

放棄か売却かの分岐点相続開始〜1ヶ月以内

実家にいくらの市場価値があるか、親の借金(ローン・滞納等)がいくらあるかを把握します。「古いから売れない」と思い込んで放棄する前に、必ず不動産無料査定で査定額を確かめます。

具体的手順・重要チェックポイント
  • 借金(マイナスの財産)がプラスの財産を明らかに超えているか確認
  • 不動産一括査定・買取査定で「現状のままでの売却可能額」を算出
  • 査定価格がプラスであれば、放棄せずに「相続して売却」した方が手元に現金が残り、管理責任も完全に免責される
【注意】この段階で実家の預金を使ったり、貴金属を持ち出したり、建物を解体すると「単純承認」とみなされ、以降の相続放棄が法的に不可能になります。
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5. 実家の相続放棄と建物管理責任に関するよくある質問(FAQ)

Q実家の相続放棄をしたら、建物の管理責任(倒壊時の損害賠償など)は本当にゼロになりますか?

A2023年4月施行の改正民法第940条第1項により、「現に占有(居住や鍵・荷物を管理)している者」は、次の相続人または相続財産清算人に引き渡すまで『保存義務』が残ります。実家に住んでいなかったり、全く関与していない場合は原則免責されますが、鍵を持って管理していたり同居していた場合は、放棄後も倒壊や損害賠償(民法717条)の責任を問われるリスクがあります。

Q相続人全員が実家を相続放棄した場合、実家の管理はどうなりますか?

A全相続人が放棄すると、実家は法律上『所有者不明』となりますが、直前まで実家を占有していた人の保存義務は自動的には消滅しません。最終的に国のもの(国庫帰属)にするには、家庭裁判所に『相続財産清算人』の選任を申し立てる必要があります。ただし申立人には約30万〜100万円の予納金負担が発生することがあります。

Q実家を相続放棄する前に、部屋の荷物を片付けたり解体しても大丈夫ですか?

A絶対に避けてください。実家の建物を解体したり、価値のある家財道具を処分・売却・持ち出したりすると、民法第921条の『法定単純承認』とみなされ、相続を承認したものとして相続放棄ができなくなります。形見分け程度のわずかな遺品整理にとどめ、処分は放棄の手続き完了後に行うか専門家に相談してください。

Q実家の相続放棄と『現況のまま売却』では、どちらが得ですか?

A実家に数万円〜数百万円でも市場価値(査定価格)がつく場合、相続して『現況有姿(古家付き・買取)』で売却する方が圧倒的にお得です。売却代金が手元に残るだけでなく、買主に所有権移転登記が完了するため、建物の管理責任や将来の固定資産税から法的に完全かつ確実に解放されます。

Q相続土地国庫帰属制度を使って実家を引き取ってもらうことはできますか?

A建物が建っている土地は相続土地国庫帰属制度の対象外(却下事由)です。国に引き取ってもらうには、自己負担で建物を解体して更地にした上で、審査手数料(1筆1.4万円)と管理負担金(原則20万円〜)を納付する必要があります。解体費用で100万〜300万円程度の持ち出しが発生するため、まずは現状のまま買い取ってくれる専門業者に査定を出すのが定石です。
相続放棄の前にまずは無料査定

「古いから売れない」と諦めて放棄する前に、実家の本当の市場価値を確かめませんか?

築40年超・荷物そのまま・再建築不可などの訳あり物件でも、現況のまま買い取る専門事業者が多数存在します。売却できれば清算人予納金や解体費の負担なく、建物の管理責任から完全に解放されます。