売る・手放す条文ドラフト・根拠法令明示公開日: 2026年8月16日

【条文ドラフト付き】古家付き土地売却の契約不適合責任免責 — 建物と土地の切り分け特約・3,000万円特例とのタイミング調整

築30年・40年超の古家付き土地を売るとき、売主最大のリスクは引渡し後に見つかる建物の欠陥への責任です。民法の契約不適合責任は任意規定なので、特約で免責できます。ただし失敗しやすいのは「建物の免責」と「土地(地中埋設物・境界・土壌汚染)の責任」を1本の条項に混ぜてしまうこと。本記事では建物は全部免責しつつ土地の責任範囲を切り分ける特約条項ドラフト(A・B・C)、買主が解体新築かリノベーションかで変わる設計、相続空き家3,000万円特別控除(措置法35条3項)の解体・引渡しタイミング調整まで、根拠法令を明示して解説します。

1. 古家付き土地売却における「契約不適合責任」とは

2020年(令和2年)4月の民法改正で、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に改められました。判断基準は「引渡された目的物が契約の内容に適合しているか」(種類・品質・数量など)です。免責特約を付けない場合、買主には以下の請求権が認められます(民法第562条〜第564条)。

① 追完請求(民法562条)

修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しのいずれかによる履行の追完を請求する権利

② 代金減額請求(民法563条)

追完がされない場合、不適合の程度に応じて代金の減額を請求する権利

③ 契約解除(民法564条・541/542条)

不適合が重大な場合の解除権(追完請求等を経由して行使)

④ 損害賠償請求(民法564条・415条)

不適合により生じた損害の賠償を請求する権利(過失なしでも成立)

⏱ 買主の権利行使期間(民法566条)

買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、追完・減額・損害賠償・解除のいずれの請求もできなくなります(ただし売主が引渡しの時に不適合を知っていた、または重大な過失により知らなかった場合は除く)。免責特約がないまま古家を売った場合、この1年の期間が過ぎるまで売主は安心できない期間が続くことになります。

2. 免責特約はどこまで有効か:売主の属性で変わる「3つの制限」

民法の契約不適合責任の規定は任意規定のため、当事者の合意(特約)で責任を免除できます。ただし、売主が誰かによって適用される制限が変わります。

売主の属性適用される制限全部免責の可否
個人(非事業者)民法第572条のみ原則可能知りながら告げなかった事実・自ら設定・譲渡した第三者の権利は免責不可
宅地建物取引業者宅建業法第40条原則不可民法566条の期間を引渡しの日から2年以上とする特約の場合を除き、買主に不利な特約は無効
事業者(宅建業以外)消費者契約法第8条制限付き損害賠償責任の全部免除条項は無効。追完・減額の責任を負う特約等を併設した場合は免責条項が有効になり得る(8条2項)
例外

民法第572条:個人売主でも免責されない2つの場面

売主が契約不適合責任を負わない旨の特約をした場合であっても、①売主が知りながら告げなかった事実、②売主が自ら第三者のために設定し、又は第三者に譲り渡した権利(抵当権等)については、その責任を免れることができません。古家付き土地では、過去の雨漏り修理歴・シロアリ駆除歴・地中の浄化槽や井戸の認識などが「知りながら告げなかった事実」に該当し得るため、告知書の作成(後述)が免責特約の実質的な生命線になります。

なお、買主が買取業者等の事業者である場合は、消費者契約法上の消費者保護が買主側に適用されないため、免責特約が総括的に成立しやすい取引構造になります。逆に、個人売主が「事業者」に該当するかは「事業として又は事業のために契約の当事者となるか」(消費者契約法2条3項)で判断されます。自分の居住用財産の売却であれば通常は事業者に該当しません。

3. 【条文ドラフト】建物は全部免責・土地は責任範囲を切り分ける特約の書き方

古家付き土地の免責で最も失敗が多いのが、「売主は本件土地建物について一切の契約不適合責任を負わない」と建物と土地を一括りにした条項です。これでは土地の面積・境界・擁壁・土壌の問題まで免責しようとしていると受け取られ、買主の警戒感を強めます(また、宅建業者が媒介する場合、説明の負担も増します)。ここでは建物と土地の条項を分離した3つのドラフトを提示します。

ドラフトA

建物の全部免責+土地は通常責任(切り分け型)

(契約不適合責任の免除および土地への適用除外)

第○条 売主は、本件建物が建築後相当の年数を経過した古家であることに鑑み、本件建物が種類、品質及び数量その他一切の事項に関して契約の内容に適合しない場合であっても、買主に対し、民法第562条に基づく履行の追完請求、民法第563条に基づく代金減額請求、民法第564条の規定によりこれらの規定と併せて行使される損害賠償請求(民法第415条)及び契約の解除(民法第541条若しくは第542条)への対応のいずれの責任も負わないものとする。

2 前項の特約は本件建物についてのみ適用し、本件土地には適用しない。売主は、本件土地が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合には、民法の規定に従い契約不適合責任を負うものとする。

3 買主は、本件建物の現況を内覧等により確認した上で本契約を締結したものであり、本件建物を現状有姿にて受け取るものとする。

ポイント:①で4つの請求権をすべて列挙しているのは、「現状有姿」だけでは免責範囲に解釈の余地が残るためです。②で土地には適用しないことを明示することで、買主は土地の品質・面積について通常の保護を受けることができ、古家付き土地特有の「建物の劣化リスク」だけを免責する構造になります。

ドラフトB

土地の地中埋設物:告知付き現状渡し特約

宅建業法には「地中埋設物」の告知義務を定める条文は存在せず、地中埋設物は民法第572条(知りながら告げなかった事実)と媒介業者の説明義務で処理されます。浄化槽・井戸・旧基礎等を売主が認識している場合は、告知した上で撤去費用の負担区分を定めるのが整理された書き方です。

(土地の地中埋設物等に関する特約)

第○条 売主は、別紙「物件状況等告知書」記載のとおり、本件土地の地中に浄化槽(位置:   )及び旧井戸(位置:   )等が存することを買主に告知した。

2 買主は、前項により告知された地中埋設物の撤去及び処分については、買主の責任と費用負担において行うものとし、売主に対して撤去費用の負担、損害賠償その他一切の請求をしないものとする。

3 売主は、本件土地の地中状況について、第1項の告知事項のほかには調査を行っていない。買主は、本契約締結前に試掘、ボーリングその他の調査を自己の費用負担において行う機会を与えられ、当該調査を行わずに本契約を締結するものとする。

ポイント:3項の「調査を行っていない」旨の文言は、売主が認識していない埋設物が後日見つかった場合の「知りながら告げなかった事実」(民法572条)への該当を回避する趣旨のものです。合わせて買主側の調査機会(試掘・ボーリング)を条文上明示することで、告知と免責の対価関係が明確になります。

ドラフトC

境界(公簿売買・未確定)/土壌汚染(調査条件)

(境界が未確定の場合)

第○条 本件売買は公簿売買とし、本件土地の実測面積と公簿面積に差異が生じた場合であっても、売買代金の増額、減額又は精算は行わないものとする。

2 買主は、本件土地の引渡し後、自己の責任と費用負担において隣地所有者との境界確認又は筆界特定手続を行うものとし、売主は合理的な範囲でこれに協力するものとする。

(旧工場等の跡地で土壌の性状が懸念される場合)

第○条 買主は、本件土地について土壌汚染対策法に基づく指定区域であるか否かを含む土壌調査を本契約締結前に実施するにあたり、売主は本件土地への立入り及び土壌採取に必要な協力を行うものとする。

2 前項の調査の結果、土壌の性状に関し本件土地が契約の内容に適合しない事実が判明したときは、買主は○年○月○日までに限り、本契約を解除し、又は売主との協議により売買代金の減額を行うことができる。

ポイント:土壌汚染対策法の指定区域は宅建業法第35条第1項第2号・同法施行令第3条第1項第57号の重要事項説明の対象です。境界が既に確定している場合は、境界確認図(土地家屋調査士作成)を契約書に添付し、ドラフトCの境界条項の代わりに「境界は添付の境界確認図のとおり」と基準を固定します。境界不明のままでも法務局の筆界特定(不動産登記法第131条、手数料は登記手数料令第8条で法定)で境界を特定できます。測量費は譲渡費用として譲渡所得から控除できます(国税庁No.3255)。

告知書(物件状況等告知書)の作成法:免責特約の生命線

民法第572条が免責を認めないのは「知りながら告げなかった事実」だけです。つまり、知っていることは告げ、知らないことは「把握していない」と記録しておくことが、免責特約を機能させる実務の中心です。告知書には次の項目を整理します。

  • 建物:雨漏り・シロアリ駆除・給排水管の修理歴(時期・場所・内容)、外壁・屋根・基礎の不具合の認識
  • 土地:浄化槽・井戸・旧基礎・埋設物の有無と位置、擁壁・石積みの劣化、越境・越境されている事実
  • 権利関係:自ら設定・譲渡した第三者の権利(民法572条2点目は免責不可)、賃借権・使用貸借
  • 把握していない事実:「売主の知る限り上記のとおり」「現況について十分な調査を行っていない」旨を明記

作成した告知書は重要事項説明の場で説明し、売買契約書の添付書類とします。宅建業者が媒介する場合、契約不適合責任を負わない旨の定めは宅建業法第37条第1項第11号により37条書面(契約書面)への記載対象です。

4. 買主が「解体新築」か「リノベーション」かで免責設計は変わる

同じ全部免責特約でも、買主の利用目的によってリスクの所在が変わります。解体新築前提の買主は建物の欠陥を追及する動機が小さく、争点は土地(境界・地中障害・擁壁)に移ります。一方リノベーション前提の買主は入居後に不具合を発見しやすく、民法572条の告知の精度と、事前調査(インスペクション)の機会設計が重要になります。以下の診断で3つの質問に答えると、建物と土地それぞれの条項設計方針が表示されます。

CLAUSE DESIGN CHECK

買主の利用目的別 免責特約デザイン診断

3つの質問に答えると、建物と土地それぞれの特約条項の設計方針が表示されます。

Q1. 買主の利用目的は?(想定または申込みの内容)

解体新築とリノベーションでは、建物の免責の受け止め方が変わります。

Q2. 売主が把握している建物の不具合・修理歴は?

民法第572条により「知りながら告げなかった事実」は免責特約があっても免責されません。

Q3. 土地の状態は?(該当するもの)

建物の免責に対して、土地側はリスク認識に応じた条項設計が必要です。

3つの質問すべてに回答すると、建物と土地それぞれの特約設計方針が表示されます。

国交省公表の「特約等の例」も参照する

相続空き家の3,000万円特別控除で買主による取壊し等を利用する場合の特約文言は、国土交通省が「空き家の発生を抑制するための特例措置に係る長期譲渡所得の特別控除(措置法35条3項)」の資料として特約等の例を公表しています。買主解体特約を設計する際は、この公表例と租税特別措置法第35条第3項の文言を併せて確認してください。

5. 【シミュレーター】古家付きのまま売る vs 解体して更地で売る

免責特約付きの現況渡し(①)、買主解体特約付き(②)、売主が解体して更地渡し(③)の3パターンを、法定料金・法定税率のみで手取り比較します。解体費用には全国一律の公的目安が存在しないため、実際の見積額を入力してください。

TOOL諸費用・税金は法定料金と法定税率のみで計算

古家付きのまま売る vs 解体して売る 手取りシミュレーター

仲介手数料(宅建業法46条の2の法定上限)・印紙税(軽減後税率)・長期譲渡所得税(20.315%)まで込みの手取りを3パターンで比較します。

100万円8,000万円
100万円8,000万円

※解体費用は全国一律の公的目安が存在しないため、実際の見積額を入力してください。

取得費(購入当時の価格)
SIMULATION RESULT

3パターンの手取り概算比較

① 古家付きのまま(現況渡し)

1,540.7万円

売却価格1,600 万円
解体費用(譲渡費用算入)0 万円
仲介手数料(法定上限・税込)58.3 万円
印紙税(軽減後)1 万円
譲渡所得税(概算)0 万円

3,000万円特例は耐震基準適合型(措置法35条3項3号イ)のみ。旧耐震の古家では耐震改修+適合証明が必要。

② 古家付き+買主解体特約

1,540.7万円

売却価格1,600 万円
解体費用(譲渡費用算入)0 万円
仲介手数料(法定上限・税込)58.3 万円
印紙税(軽減後)1 万円
譲渡所得税(概算)0 万円

令和6年1月1日以後の譲渡で、譲渡の時から翌年2月15日までに実際の取壊し等があれば特例適用(同号ハ)。

③ 売主が解体して更地渡し

手取り最大

1,777.5万円

売却価格2,000 万円
解体費用(譲渡費用算入)150 万円
仲介手数料(法定上限・税込)71.5 万円
印紙税(軽減後)1 万円
譲渡所得税(概算)0 万円

解体後の土地譲渡(同号ロ)。解体費は譲渡費用に算入可(No.3255)。翌年度1月1日から住宅用地特例が外れる点に注意。

※仲介手数料は宅建業法第46条の2の法定上限(税込)、印紙税は不動産譲渡契約書の軽減後税率(令和9年3月31日までに作成される契約書が対象)、譲渡所得税は長期譲渡所得の税率20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)による概算です。固定資産税・都市計画税の年度跨ぎの影響は含めていません。実際の税額・申告は税務署または税理士にご確認ください。

税制①:解体費は譲渡費用に算入できる

「土地を売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額」は譲渡所得の計算上、譲渡費用として控除できます(国税庁タックスアンサーNo.3255)。仲介手数料・印紙代・測量費も譲渡費用です。一方、固定資産税や維持管理費は譲渡費用に含まれません。

税制②:解体すると固定資産税の住宅用地特例が外れる

住宅が建っている200㎡以下の土地は課税標準が1/6(都市計画税は1/3)に軽減されています(地方税法第349条の3の2・第702条の3)。建物を解体すると、賦課期日(翌年1月1日)時点で住宅用地特例が適用されなくなるため、売主解体で更地売りする場合は年度をまたがない引渡し設計が費用面の分かれ目になります。

6. 免責特約を「3,000万円特例」と同時に成立させる4ステップ

相続した空き家を売る場合、契約不適合責任の免責設計と、相続空き家の3,000万円特別控除(租税特別措置法第35条第3項・適用期限は令和9年12月31日まで)の解体要件は、同じ契約書の中で調整する必要があります。買主解体特約(令和6年1月1日以後の譲渡)では「譲渡の時から翌年2月15日までに実際の取壊し等」が要件のため、引渡し期日×解体完了×確定申告の3つの時期を一直線に並べるのが実務の要点です。

実務フロー告知書作成から確定申告まで

免責特約を「3,000万円特例」と同時に成立させる4ステップ

告知書の棚卸し、特約条項の設計、解体・引渡しのタイミング調整、確定申告までを、根拠法令とともに整理しました。

01
媒介契約〜売出し前

告知情報の棚卸しと告知書(物件状況説明書)の作成

民法第572条は、売主が「知りながら告げなかった事実」については免責特約があっても責任を免れないと定めます。このため免責の成否は告知の精度で決まるといっても過言ではなく、売却前に売主自身の記憶と記録の棚卸しを行い、告知書に落とし込みます。

📌 実務上の重要ポイント
  • 建物:雨漏り・シロアリ駆除・水漏れ・給排水管の修理歴、外壁・基礎の不具合の認識
  • 土地:浄化槽・井戸・旧基礎・残置物など地中埋設物の認識、擁壁・石積みの劣化
  • 境界:境界標(杭・ブロック)の有無、隣地との越境・トラブルの有無
  • 権利:抵当権等の抹消予定、賃借権・使用貸借の有無(自ら設定・譲渡した権利は民法572条で免責不可)
実務チェックリスト(クリックで確認完了)
02
売買契約締結

特約条項の設計:建物の免責と土地の責任範囲の切り分け

建物の全部免責と土地の責任範囲を1本の特約に混在させず、条項を分けて記載します。追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除の4つすべてを免除する文言(全部免責)と、土地側は免責する・しないの別、公簿売買か実測売買かを明確にします。

📌 実務上の重要ポイント
  • 全部免責は民法562条〜564条の各請求権を列挙した文言にする(「現状有姿」のみでは不十分な余地)
  • 宅建業法第37条第1項第11号:免責の定めがあるときはその内容を37条書面に記載
  • 媒介業者が売主の場合は宅建業法第40条(引渡しから2年以上の特約以外、買主に不利な免責特約は無効)に注意
  • 告知書を契約書の添付書類とし、「告知した事実は免責の対象外とはしない」整理を明記
実務チェックリスト(クリックで確認完了)
03
引渡し・解体

3,000万円特別控除のタイミング調整(解体要件と引渡し期日)

相続空き家の3,000万円特別控除(租税特別措置法第35条第3項)は、①耐震基準適合(耐震基準適合証明書等の添付)、②売主が解体して土地のみ譲渡、③令和6年1月1日以後の譲渡で譲渡の時から翌年2月15日までに買主が実際に取壊し等、の3類型のいずれかが必要です。免責特約と解体時期の調整をここで行います。

📌 実務上の重要ポイント
  • ③の類型は「実際に取壊し等が行われたこと」が要件(特約の締結だけでは不十分)
  • 年末(11〜12月)引渡しは解体完了が2月15日までに間に合わないリスクがあり、10月中の引渡しが余裕を持った設計
  • 売主解体(②の類型)は解体後に駐車場・資材置き場等へ他用途転用すると特例が不適用になる
  • 建物を解体すると固定資産税の住宅用地特例(地方税法第349条の3の2、小規模住宅用地は課税標準1/6)は翌年度の1月1日時点で外れる
💡 解体費用は「土地を売るための取壊し費用」として譲渡費用に算入できます(国税庁タックスアンサーNo.3255)。
04
確定申告

確認書の取得と確定申告(添付書類の整備)

特例の適用は「確認書等を添付した確定申告」が要件です。家屋所在地の市区町村へ被相続人居住用家屋等確認申請書を提出して確認書の交付を受け、翌年2月16日〜3月15日に所轄税務署へ確定申告します(e-Tax可)。

📌 実務上の重要ポイント
  • 被相続人居住用家屋等確認書:市区町村長の交付(電気・水道の使用中止証明等で空き家状態を証明)
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し(譲渡日の前2年以内に調査・評価されたもの)
  • 買主解体(③類型)では取壊し等を証する書類(解体工事完了証明書・建物滅失登記事項証明書等)
  • 相続人が3人以上の場合は1人あたりの控除上限が2,000万円(措置法35条4項)

📋 契約から確定申告までに整える主な書類

  • 売買契約書(免責特約・公簿/実測・解体時期の条項を含む)
  • 告知書(物件状況説明書):修理歴・地中埋設物・境界の状況
  • 登記事項証明書(建築年月日・昭和56年5月31日以前の確認・区分所有でないこと)
  • 被相続人の除票住民票・改製原戸籍(相続開始直前の一人暮らしの証明)
  • 電気・水道・ガスの使用中止証明書(空き家であったことの証明)
  • 被相続人居住用家屋等確認書(市区町村長交付)
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し(①の類型)
  • 解体工事完了証明書・建物滅失登記事項証明書(②③の類型)

7. よくある質問(FAQ)

免責特約の有効性、建物と土地の切り分け、買主別の設計、3,000万円特例のタイミング調整について、実務で寄せられる疑問に回答します。

Q&A条文ドラフトと実務の疑問

契約不適合責任免責の「よくある質問(FAQ)」

免責特約の有効性、建物と土地の切り分け、買主の利用目的別の設計、3,000万円特例とのタイミング調整まで回答します。

A

民法の契約不適合責任の規定は任意規定のため、個人対個人の売買では建物の全部免責特約も原則として有効です。ただし民法第572条により、①売主が「知りながら告げなかった事実」、②売主自らが第三者のために設定し、又は第三者に譲り渡した権利(抵当権等)については免責特約があっても責任を免れません。また売主が宅地建物取引業者の場合は宅建業法第40条(民法第566条の期間を引渡しの日から2年以上とする特約を除き、買主に不利な特約は無効)、事業者の場合は消費者契約法第8条第1項(損害賠償責任の全部を免除する条項は無効)の制限がかかります。

8. 出典・根拠法令一覧

本記事の条文番号・税制・税率・手数料は、以下の公的表情報に基づいています(すべてe-Gov法令検索・国税庁・総務省・国土交通省の一次情報)。

  • 民法(第562条〜第572条:契約不適合責任・免責特約の制限): e-Gov 法令検索
  • 宅地建物取引業法(第35条・第37条第1項第11号・第40条・第46条の2): e-Gov 法令検索
  • 消費者契約法(第8条:事業者の免責条項の無効): e-Gov 法令検索
  • 租税特別措置法(第31条第1項:長期譲渡所得20%/第35条第3項〜第4項:相続空き家3,000万円特別控除): e-Gov 法令検索
  • 国税庁タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」/No.3208「長期譲渡所得の税額の計算」/No.3255「譲渡費用となるもの」/No.7140「印紙税額の一覧表」/No.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」: 国税庁
  • 地方税法(第349条の3の2・第702条の3:住宅用地の課税標準の特例/第359条:賦課期日): e-Gov 法令検索/ 総務省「固定資産税の概要」: 総務省
  • 不動産登記法(第131条・第146条:筆界特定)・登記手数料令(第8条): e-Gov 法令検索
  • 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置に係る長期譲渡所得の特別控除(取壊し等・耐震改修に係る特約等の例)」: 国土交通省
  • 国土交通省「瑕疵担保責任について」: 国土交通省

※本記事は法令・公表情報に基づく一般的な情報の整理であり、個別の契約・税務に関する助言ではありません。特約条項の作成は宅地建物取引士、税務は税務署・税理士にご確認ください。免責特約の有効性は個別事案の事実認定(売主の認識・告知の内容)により左右されます。

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