名古屋市の戸建て坪単価はいくらか
結論から言うと、愛知県名古屋市16区の戸建て(宅地・土地と建物)成約坪単価中央値は86.2万円/坪です(2021〜2025年・国土交通省 不動産取引価格情報 成約価格情報・N=4,786)。総額中央値は3,494万円、敷地面積中央値は129.7㎡。対象は愛知県名古屋市16区のみで、豊田市・春日井市・刈谷市など名古屋市外の物件は含みません。
ここで言う「坪単価」とは、成約総額を敷地面積(坪換算)で割った1坪あたりの価格です。本稿の対象は宅地(土地と建物)、つまり建物と土地がセットになった戸建ての成約価格であり、マンション等の専有面積ベースとは性質が異なります。国土交通省「不動産取引価格情報」のうちREINSから毎週公表される成約価格情報を使うため、売り出し価格ではなく実際の成約ベースである点が重要です。
名古屋市の坪単価は中央値86.2万円/坪を挟んで広く分布します。下位10%点(P10)が47.0万円/坪、下位25%(P25)が64.0万円/坪、上位25%(P75)が113.5万円/坪、上位10%点(P90)は151.4万円/坪。P75をP25で割ると1.77倍になり、同じ「名古屋市」でも敷地面積や立地によって坪単価が2倍近く開く構造です。築年中央値は10年で、築0-10年の築浅ストックが厚い地域と言えます。
築年で坪単価はどう変わる — 築0-10年の101.6万円/坪から築31年超の54.2万円/坪へ
名古屋市の戸建てでは、築年が坪単価に与える影響が大きいです。築0-10年の坪単価中央値は101.6万円/坪(N=2,444)。築11-20年で82.1万円/坪、築21-30年で71.2万円/坪、築31年超は54.2万円/坪(N=815)まで下がります。築0-10年から築31年超への坪単価下落率は**-46.7%**です。
| 築年帯 | 坪単価中央値 | 総額中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 0-10年 | 101.6万円/坪 | 3,698万円 | 2,444 |
| 11-20年 | 82.1万円/坪 | 3,497万円 | 774 |
| 21-30年 | 71.2万円/坪 | 3,200万円 | 753 |
| 31年超 | 54.2万円/坪 | 2,236万円 | 815 |
総額中央値で見ても、築0-10年の3,698万円から築31年超の2,236万円へ**-39.5%**下落します。坪単価の下落率(-46.7%)が総額の下落率(-39.5%)より大きいのは、築年が進む物件ほど敷地面積がやや広くなる傾向(築0-10年で122.7㎡・築21-30年で145.5㎡)が相殺効果として働くためです。戸建てでは古い物件が郊外の広い敷地に建つことが多く、面積の広さが総額の下落を和らげる構造が読めます。
注目すべきは件数の分布です。築0-10年は2,444件で**全体の51.1%**を占め、名古屋市の戸建て市場は新築〜築浅が過半数を占めます。これは2020年代の新築戸建て供給が急増していること(後述)と符合します。一方、築31年超は815件(17.0%)で、築30年前後の中古ストックも一定の厚みがあります。
面積で坪単価はどう変わる — 戸建て特有の広さと単価の逆相関
戸建てならではの構造として、敷地面積が広いほど坪単価は下がり、総額は上がるという関係が鮮明に出ます。面積100㎡未満は坪単価132.0万円/坪・総額3,074万円(N=869)。100-150㎡で坪単価91.0万円/坪・総額3,365万円(N=2,284)。150-200㎡で坪単価72.5万円/坪・総額3,700万円(N=987)。200㎡超は坪単価59.5万円/坪・総額4,877万円(N=646)。100㎡未満から200㎡超への坪単価下落率は**-54.9%**です。
| 面積帯 | 坪単価中央値 | 総額中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 100㎡未満 | 132.0万円/坪 | 3,074万円 | 869 |
| 100-150㎡ | 91.0万円/坪 | 3,365万円 | 2,284 |
| 150-200㎡ | 72.5万円/坪 | 3,700万円 | 987 |
| 200㎡超 | 59.5万円/坪 | 4,877万円 | 646 |
この関係は戸建て特有のものです。面積100㎡未満の小さな敷地は中心市街地に多く、土地そのものの価値が高いため坪単価が跳ね上がります。逆に200㎡超の広い敷地は郊外の住宅地に多く、坪単価は下がるものの総額は4,877万円と最も高くなります。件数が最も多いのは100-150㎡帯で2,284件(47.7%)、これが名古屋市戸建ての量的な中心です。
つまり「坪単価が高い=高い家」とは限らないのが戸建ての注意点です。中心部のコンパクトな敷地は坪単価132.0万円/坪でも総額は3,074万円に収まる一方、郊外の広い敷地は坪単価59.5万円/坪でも総額4,877万円に達します。坪単価と総額のどちらで予算感を考えるかで、物件の選択肢が変わってきます。
名古屋市の戸建ては何年築が多いか
建築年代(10年単位)で分布を見ると、名古屋市戸建ての供給史が浮かび上がります。2020年代築が1,710件(35.7%)で最大。次いで2010年代築978件(20.4%)、2000年代築790件(16.5%)、1990年代築660件(13.8%)、1980年代築345件(7.2%)、1980年以前303件(6.3%)の順です。
| 建築年代 | 件数 | シェア | 坪単価中央値 |
|---|---|---|---|
| 2020年代築 | 1,710 | 35.7% | 102.4万円/坪 |
| 2010年代築 | 978 | 20.4% | 94.4万円/坪 |
| 2000年代築 | 790 | 16.5% | 79.2万円/坪 |
| 1990年代築 | 660 | 13.8% | 67.2万円/坪 |
| 1980年代築 | 345 | 7.2% | 58.7万円/坪 |
| 1980年以前 | 303 | 6.3% | 39.4万円/坪 |
最大の特徴は2020年代築のシェア35.7%です。これは直近5年(2021-2025年の成約)における新築戸建ての供給が極めて厚いことを示しています。坪単価も2020年代築が102.4万円/坪と最高水準で、新築戸建てが名古屋市の坪単価相場を押し上げる主要因になっています。一方、1980年以前の坪単価は39.4万円/坪まで下がり、2020年代築の3分の1以下の水準です。
1980年代以前の築35年超物件は全体の13.5%(648件)に上り、これらが今後10年で築45年超へと進行するため、建替え需要のポテンシャルは一定程度あります。ただし名古屋市は全体に築浅物件の比率が高く、古いストックの比重は仙台・札幌など他の政令市と比べて相対的に小さい構造です。
区別で見る坪単価の構造 — 中心部の高単価と郊外部の広い敷地
名古屋市16区を区別で見ると、中心部の高単価と郊外部の低単価の二極構造が明確です。坪単価中央値が最も高いのは東区164.3万円/坪(N=56)・昭和区146.4万円/坪(N=137)・千種区122.7万円/坪(N=259)・瑞穂区118.5万円/坪(N=208)で、これらは地下鉄沿線の中心市街地に位置します。中区は112.8万円/坪ですがN=3と件数が極めて少ないため参考扱いとします。
| 区 | 坪単価中央値 | 総額中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 東区 | 164.3万円/坪 | 4,950万円 | 56 |
| 昭和区 | 146.4万円/坪 | 5,263万円 | 137 |
| 千種区 | 122.7万円/坪 | 4,816万円 | 259 |
| 瑞穂区 | 118.5万円/坪 | 4,472万円 | 208 |
| 中村区 | 100.5万円/坪 | 3,400万円 | 251 |
| 西区 | 98.7万円/坪 | 3,591万円 | 261 |
| 緑区 | 75.8万円/坪 | 3,685万円 | 729 |
| 中川区 | 75.0万円/坪 | 3,000万円 | 547 |
| 守山区 | 73.7万円/坪 | 3,249万円 | 519 |
| 港区 | 66.1万円/坪 | 2,800万円 | 345 |
一方、件数が最も多い緑区は75.8万円/坪(N=729)、中川区75.0万円/坪(N=547)、守山区73.7万円/坪(N=519)で、坪単価は中心部の半分程度。最も低い港区は66.1万円/坪(N=345)です。件数上位3区(緑・中川・守山)で4,786件の37.5%を占め、これら郊外区が名古屋市戸建て市場の量的な中心です。郊外区は敷地面積が広く坪単価が下がる代わりに、総額では3,000万〜3,700万円帯に収まる傾向があります。
区別×築年帯で見ると、高単価区は築年帯を問わず高い水準を維持します。千種区は築0-10年169.3万円/坪・築31年超でも75.3万円/坪。昭和区は築0-10年167.5万円/坪・築31年超でも84.7万円/坪を維持します。一方、守山区は築0-10年85.6万円/坪・築31年超44.7万円/坪、港区は築0-10年74.6万円/坪・築31年超34.5万円/坪と、全区間で中心部を下回ります。ただしすべての区で築年が進むほど坪単価が下がる傾向は一致しており、区別の格差は築年別の傾向と重ねて理解する必要があります。
構造別で読む坪単価 — 木造中心の戸建て供給
構造別で見ると、名古屋市の戸建ては木造が3,955件(82.6%)と圧倒的多数を占めます。木造の坪単価中央値は88.3万円/坪・築年中央値6年で、新築戸建ての大半が木造であることが分かります。鉄骨造は253件で坪単価85.2万円/坪・築年中央値29年、軽量鉄骨造は331件で坪単価73.9万円/坪・築年中央値23年、RCは172件で坪単価62.6万円/坪・築年中央値38年です。
| 構造 | 件数 | シェア | 坪単価中央値 | 築年中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 木造 | 3,955 | 82.6% | 88.3万円/坪 | 6年 |
| 軽量鉄骨造 | 331 | 6.9% | 73.9万円/坪 | 23年 |
| 鉄骨造 | 253 | 5.3% | 85.2万円/坪 | 29年 |
| RC | 172 | 3.6% | 62.6万円/坪 | 38年 |
興味深いのは、RCの坪単価62.6万円/坪が木造の88.3万円/坪を下回る点です。しかしRCの築年中央値は38年と木造(6年)より大幅に古く、坪単価の低さは構造そのものよりも築年が進んでいることと関連している可能性が高いと読めます。鉄骨造も築年中央値29年と古く、同様の傾向です。構造別の坪単価を単純比較する際は、築年構成の違いに注意が必要です。名古屋市の戸建て市場は木造の新築供給が牽引しており、RC・鉄骨造は量的に限定的な中古ストックという位置づけです。
坪単価は上がっているのか — 2021-2025年次推移
直近5年間の推移を見ると、名古屋市の戸建て坪単価は緩やかに上昇しています。2021年の坪単価中央値は78.0万円/坪(N=641)でしたが、2022年は84.9万円/坪(N=750)、2023年は82.6万円/坪(N=815)、2024年は87.7万円/坪(N=882)まで上がりました。率にして**+12.4%の上昇です。総額中央値も2021年の3,248万円から2024年の3,474万円へ+7.0%**上昇しました。
| 年 | 坪単価中央値 | 総額中央値 | N | 築年中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 78.0万円/坪 | 3,248万円 | 641 | 14年 |
| 2022年 | 84.9万円/坪 | 3,479万円 | 750 | 12年 |
| 2023年 | 82.6万円/坪 | 3,400万円 | 815 | 12年 |
| 2024年 | 87.7万円/坪 | 3,474万円 | 882 | 9年 |
| 2025年 | 92.1万円/坪 | 3,600万円 | 1,698 | 7年 |
2025年は坪単価92.1万円/坪(N=1,698)ですが、件数が他年の約2倍と多いため、公表ラグによって報告の早い地域・物件に偏る可能性があります。トレンド判断は2021〜2024年の比較を主軸にするのが安全です。この期間の築年中央値は14年→9年と築浅化が進んでおり、新築戸建ての供給増(2020年代築のシェア35.7%)が坪単価を押し上げた要因の一つと読めます。ただし、今後も上がり続けることは保証されません——上昇は過去の事実であって、未来の予測ではありません。
他都市・駅別との比較
愛知県内で比較すると、名古屋市16区の坪単価中央値86.2万円/坪(N=4,786)に対し、名古屋以外の市は57.5万円/坪(N=9,663)で名古屋市の**66.7%**の水準です。主要市別では刈谷市90.2万円/坪(N=219)・安城市85.5万円/坪(N=236)が名古屋市と同等か上回り、春日井市66.4万円/坪・岡崎市65.9万円/坪・豊田市62.5万円/坪が中位、一宮市54.8万円/坪・豊橋市47.0万円/坪・津島市34.3万円/坪が低位です。
| 市 | 坪単価中央値 | 総額中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 刈谷市 | 90.2万円/坪 | 3,700万円 | 219 |
| 名古屋市 | 86.2万円/坪 | 3,494万円 | 4,786 |
| 安城市 | 85.5万円/坪 | 3,594万円 | 236 |
| 春日井市 | 66.4万円/坪 | 3,000万円 | 822 |
| 岡崎市 | 65.9万円/坪 | 3,000万円 | 805 |
| 豊田市 | 62.5万円/坪 | 3,305万円 | 599 |
| 一宮市 | 54.8万円/坪 | 2,600万円 | 428 |
| 豊橋市 | 47.0万円/坪 | 2,400万円 | 436 |
刈谷市・安城市が名古屋市を上回るのは、トヨタ自動車関連の産業集積による地価上昇と、敷地面積が比較的小さい(刈谷市135.0㎡・安城市139.4㎡)ことが要因として考えられます。一方、名古屋市の敷地面積は129.7㎡で他市の151.5㎡より小さく、坪単価では差がつくものの、総額では名古屋市3,494万円・名古屋以外2,790万円の差にとどまります。坪単価の高低は必ずしも総額の高低と一致しない点に注意が必要です。
駅別(N≥20)で見ると、坪単価中央値が高いのは庄内通116.1万円/坪(N=70・築6年)、瑞穂運動場東108.2万円/坪(N=59・築10年)、上社99.2万円/坪(N=75・築13年)、中村公園94.9万円/坪(N=67・築8年)。これらは地下鉄沿線の中心寄りに位置し、土地の希少性が坪単価を押し上げています。一方、坪単価が低いのは伏屋66.1万円/坪(N=93・築1年)、港北68.6万円/坪(N=103・築1年)、春田70.0万円/坪(N=116・築1年)で、いずれも築1年の新興住宅地です。件数が最も多い徳重は74.9万円/坪(N=164・築18年)。郊外の新興住宅地駅は敷地が広く坪単価が下がる一方で、中心寄りの駅は敷地が小さく坪単価が上がる傾向が、区別の傾向と符合します。
まとめ — 名古屋戸建てを読む4つの視点
名古屋市の戸建てを検討する読者への示唆をまとめます。第一に、坪単価は築年と敷地面積の両方で大きく変わること。築0-10年から築31年超で-46.7%、面積100㎡未満から200㎡超で-54.9%。坪単価だけで物件を比べると、築年と面積の違いを見落とすことになります。第二に、名古屋市は築0-10年が51.1%と築浅ストックが厚く、2020年代築が35.7%を占める新築供給の旺盛な市場です。第三に、区別で中心部と郊外に二極構造があり、東区164.3万円/坪・昭和区146.4万円/坪の中心部と、港区66.1万円/坪・守山区73.7万円/坪の郊外で坪単価が2倍以上開きます。ただし郊外は敷地が広く総額は3,000万〜3,700万円帯に収まる傾向があります。第四に、直近4年(2021-2024)は坪単価+12.4%の上昇傾向でしたが、2025年データは公表ラグの影響を受けるため、今後の動向は四半期ごとの成約データで継続確認することが合理的です。本稿の数値はすべて2021-2025年の成約データに基づく過去の事実であり、将来の価格を保証するものではありません——購入・売却の判断では、最新の成約事例と専門家の査定を併せて参照してください。
名古屋市の戸建ては、中心部のコンパクトな高単価物件と郊外の広い低単価物件が混在し、さらに新築供給が旺盛に続く活況な市場です。坪単価・総額・築年・面積・区の5つの軸を組み合わせて予算と希望を照合することが、現実的な物件選びの第一歩になります。詳しくは愛知県の不動産相場ページも参照してください。