神戸市の戸建て相場はいくらか
結論から言うと、神戸市9区(東灘・灘・中央・兵庫・北・長田・須磨・垂水・西区)の戸建て成約価格中央値は2,742万円です(2021〜2025年・国土交通省 不動産取引価格情報 成約価格情報・N=5,535)。坪単価中央値は62.3万円/坪、m²単価中央値は18.9万円/m²。対象は兵庫県神戸市9区のみで、明石市・西宮市・三田市など神戸市外の物件は含みません。
ここで言う「相場」とは、実際に売買が成立した価格(成約価格)の中央値です。国土交通省「不動産取引価格情報」のうち、REINSから毎週公表される成約価格情報(宅地=土地と建物の一戸建て)を使います。売り出し価格ではなく成約ベースである点が重要です——売り出し価格は値下げ交渉を見込んで高めに設定されることが多く、成約価格のほうが実態に近いからです。戸建ては建物と土地のセット価格であり、マンションのように専有面積だけで語れない点にも注意が必要です。
神戸市9区の成約価格は中央値2,742万円を挟んで広く分布します。P25が1,619万円、P75が3,786万円、P90は4,841万円、下位10%点(P10)は696万円。半分の物件が1,619万円〜3,786万円の間に収まる一方、P90は4,841万円に達し、同じ「神戸市」でも4,000万円超の山手の戸建てと1,000万円台の築深い郊外戸建てが混在します。敷地面積中央値は124.9m²(約38坪)、築年中央値は24年で、築年が進んだストックと近年の新興住宅地の供給が混在する地域です。
区別で読む戸建て価格 — 中心5区と周辺4区の二極構造
神戸市9区を区別で見ると、総額で最も高いのは東灘区の4,380万円、次いで灘区4,298万円、中央区4,000万円。最も安いのは長田区1,924万円、北区2,300万円と続きます。最高の東灘区と最低の長田区では2.28倍の開きがあります。
| 区 | 総額中央値 | 坪単価中央値 | 敷地面積中央値 | 築年中央値 | N |
|---|---|---|---|---|---|
| 東灘区 | 4,380万円 | 164.5万円/坪 | 86m² | 18年 | 524 |
| 灘区 | 4,298万円 | 179.5万円/坪 | 75m² | 16年 | 366 |
| 中央区 | 4,000万円 | 155.2万円/坪 | 75m² | 19年 | 131 |
| 兵庫区 | 2,888万円 | 117.1万円/坪 | 70m² | 20年 | 288 |
| 須磨区 | 2,874万円 | 63.1万円/坪 | 122m² | 26年 | 573 |
| 西区 | 2,700万円 | 53.4万円/坪 | 175m² | 27年 | 966 |
| 垂水区 | 2,486万円 | 61.1万円/坪 | 116m² | 24年 | 1,010 |
| 北区 | 2,300万円 | 38.9万円/坪 | 180m² | 24年 | 1,216 |
| 長田区 | 1,924万円 | 69.2万円/坪 | 80m² | 26年 | 461 |
この表で最も読み取れるのは、総額の順位と坪単価の順位が必ずしも一致しない点です。長田区は総額こそ最も安いものの坪単価69.2万円/坪で、西区53.4万円/坪・北区38.9万円/坪より高い。これは長田区が中心市街地に近く土地が狭く単価が高い一方、北区・西区は郊外で土地が広く単価が安いためです。
区を2つの群に分けると構造が鮮明になります。中心5区(東灘・灘・中央・兵庫・長田)は総額中央値3,493万円・坪単価133.3万円/坪・敷地面積80m²・築年21年。周辺4区(北・西・須磨・垂水)は総額2,499万円・坪単価49.3万円/坪・敷地面積155m²・築年26年。総額差は+39.8%ですが、坪単価差は2.7倍、敷地面積は周辺4区が1.94倍広い。つまり総額が近いように見えても、中心部は「狭い土地・高い単価」、周辺部は「広い土地・安い単価」と正反対の構造です。神戸市の戸建て相場を読むには、総額だけでなく坪単価と敷地面積を合わせて見ることが欠かせません。
築年で価格はどう変わる — 築0-10年の3,725万円から築31年超の1,361万円へ
築年が進むほど総額中央値は下落します。築0-10年の総額中央値は3,725万円(坪単価106.7万円/坪・N=1,700)。築11-20年で2,999万円(67.4万円/坪)、築21-30年で2,458万円(59.7万円/坪)、そして築31年超は1,361万円(31.0万円/坪・N=1,835)まで下がります。築0-10年から築31年超への総額下落率は**-63.5%で、坪単価で見ると106.7万円/坪から31.0万円/坪へ-71.0%**。坪単価の下落幅が総額より大きいのは、築31年超の物件に敷地面積の大きい郊外戸建てが多く含まれ、面積当たり単価が一層下がるためです。
| 築年帯 | 総額中央値 | 坪単価中央値 | 敷地面積中央値 | N |
|---|---|---|---|---|
| 0-10年 | 3,725万円 | 106.7万円/坪 | 115m² | 1,700 |
| 11-20年 | 2,999万円 | 67.4万円/坪 | 148m² | 732 |
| 21-30年 | 2,458万円 | 59.7万円/坪 | 123m² | 1,268 |
| 31年超 | 1,361万円 | 31.0万円/坪 | 146m² | 1,835 |
戸建ては建物より土地の資産価値が大きく、築年だけで単純に決まらない面があります。それでも築31年超の総額1,361万円は、築0-10年の3,725万円と比べて4割強にまで縮む計算です。築31年超の坪単価31.0万円/坪は、築0-10年の106.7万円/坪の約3割の水準で、古い戸建ては土地価値に近い価格で取引される傾向が読めます。
坪単価で読み解く築年別の価値
総額だけでなく坪単価で見ると、築年の影響がよりはっきり現れます。築0-10年の坪単価中央値は106.7万円/坪、築11-20年で67.4万円/坪、築21-30年で59.7万円/坪、築31年超で31.0万円/坪。築11-20年から築21-30年への下落は-11.4%と比較的緩やかですが、築21-30年から築31年超へは-48.1%と加速します。築30年を境に坪単価の下落が急になる構造です。
これは建物の資産価値が築30年前後でほぼ減価し、それ以降は土地価値が価格の大部分を占めるようになるためと考えられます。売り手にとって「築何年で売るか」は坪単価に直結し、結果として総額にも影響します。ただし個別の物件価格は立地・接道・建物の状態で決まり、築年だけで一義的に決まるわけではありません。本稿の数値は2021-2025年の成約データに基づく過去の事実であり、将来の価格を保証するものではありません。
神戸市の戸建ては何年築が多いか
建築年代(10年単位)で分布を見ると、神戸市戸建ての供給史が浮かび上がります。1990年代築が1,293件(23.4%)で最大。僅差で**2020年代築が1,268件(22.9%)**と2番手に続き、1980年代築809件(14.6%)、2000年代築789件(14.3%)、2010年代築637件(11.5%)、1970年代築531件(9.6%)、1960年代以前208件(3.8%)の順です。
| 建築年代 | 件数 | シェア | 総額中央値 |
|---|---|---|---|
| 2020年代築 | 1,268 | 22.9% | 3,800万円 |
| 2010年代築 | 637 | 11.5% | 3,504万円 |
| 2000年代築 | 789 | 14.3% | 2,818万円 |
| 1990年代築 | 1,293 | 23.4% | 2,300万円 |
| 1980年代築 | 809 | 14.6% | 1,666万円 |
| 1970年代築 | 531 | 9.6% | 701万円 |
| 1960年代以前 | 208 | 3.8% | 482万円 |
注目すべきは1990年代と2020年代がほぼ並ぶ2大ピークである点です。2020年代の急増は、西神・学園都市・北区などニュータウンでの宅地開発と、バブル期ストックの建て替え需要が重なった結果と読めます。一方、1970年代以前の築40年超候補は**全体の13.4%(739件)**に上り、これらが今後10年で築50年超へと進行するため、建替え需要のポテンシャルは大きい地域です。1990年代築は築25年前後で総額2,300万円、2020年代築は3,800万円と、同じ戸建てでも建築年代で1.65倍の開きがあります。
敷地面積で見る戸建ての価格構造 — 広さが変わっても総額は揃う
戸建てならではの特徴が、敷地面積(土地面積)別の総額中央値に現れます。100m²未満は2,582万円(敷地面積中央値66.0m²・N=1,764)、100-150m²は2,788万円(116.8m²・N=1,484)、150-200m²は2,800万円(173.4m²・N=1,140)、200m²超は2,829万円(230.0m²・N=1,147)。最大の200m²超と最小の100m²未満を比べても、総額差はわずか**+9.6%**しかありません。
| 敷地面積帯 | 総額中央値 | 敷地面積中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 100m²未満 | 2,582万円 | 66.0m² | 1,764 |
| 100-150m² | 2,788万円 | 116.8m² | 1,484 |
| 150-200m² | 2,800万円 | 173.4m² | 1,140 |
| 200m²超 | 2,829万円 | 230.0m² | 1,147 |
マンションなら「広いほど高い」のが基本ですが、神戸市の戸建てではこの関係が成立しません。理由は、広い戸建てが土地単価の安い郊外(北区の敷地面積中央値180m²・西区175m²)に多く、狭い戸建てが土地単価の高い中心部(灘区75m²・中央区75m²)に集中するためです。敷地面積が3倍以上違っても、立地の単価差が相殺して総額が揃う。だからこそ**「総額」よりも「坪単価」で立地の良さが読める**というのが、戸建て相場の特徴です。坪単価で見ると、北区38.9万円/坪・西区53.4万円/坪に対し灘区179.5万円/坪・東灘区164.5万円/坪と、立地の差が明確に数字に現れます。
駅別で読む沿線ごとの相場 — 山手・西神・山陽・神鉄
件数が20件以上ある駅で沿線ごとの傾向を読むと、神戸市の鉄道網が戸建て価格を形作っていることが分かります。山手(阪急・JR)沿いが最も高く、御影(阪急)が5,200万円(築18年・N=89)、六甲4,500万円(築15年・N=124)、王子公園4,000万円(築16年・N=99)。阪急御影・六甲・岡本エリアは神戸有数の住宅地として知られ、築が比較的新しく坪単価も高い構造です。
地下鉄西神・山手線沿いは、ニュータウンの新旧で価格が分かれます。学園都市3,800万円(築11年・N=142)・西神南4,000万円(築22年・N=89)と新しいエリアは高水準。一方、西神中央は3,200万円(築32年・N=321)で西神ニュータウンの中心ながら築が進み、名谷は2,883万円(築26年・N=226)。ニュータウンの開発時期が現在の築年構造と単価水準を決めています。
JR山陽線(海側)沿いは手頃な水準が並びます。垂水2,300万円(築26年・N=365)・明石2,200万円(築21年・N=181)・舞子2,500万円(築22年・N=128)。神鉄北側はさらに安く、鈴蘭台1,600万円(築29年・N=163)・塩屋(兵庫)1,600万円(築36年・N=78)と築が進み低価格帯。駅別で見ると「山手の高単価・西神の新旧二層・山陽海側の中庸・神鉄北側の築深」の4層構造が、神戸市の戸建て相場を地域別に分けています。
相場は上がっているのか — 2021-2025年次推移
直近5年間の推移を見ると、神戸市の戸建て相場は緩やかに上がっています。2021年の中央値は2,609万円(N=917)でしたが、2022年は2,783万円(N=942)、2023年は2,713万円(N=1,036)、2024年は2,700万円(N=1,079)。2021年から2024年で**+3.5%**とほぼ横ばいで、2022年に一旦上がった後2023〜2024年に小康状態が続きました。
| 年 | 総額中央値 | 築年中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 2,609万円 | 21年 | 917 |
| 2022年 | 2,783万円 | 23年 | 942 |
| 2023年 | 2,713万円 | 26年 | 1,036 |
| 2024年 | 2,700万円 | 26年 | 1,079 |
| 2025年 | 2,861万円 | 24年 | 1,561 |
2025年の2,861万円(N=1,561)は直近年で、2021年比+9.7%と高めですが、公表ラグによって報告の早い地域・物件に偏る可能性があるため、トレンド判断は2021〜2024年の比較を主軸にするのが安全です。この期間、築年中央値は21年から26年へと古くなったにもかかわらず総額は+3.5%を保っており、物件の築年構成が上がって中央値が下がったわけではないことが読めます。ただし、今後も上がり続けることは保証されません——上昇は過去の事実であって、未来の予測ではありません。
兵庫県内での位置 — 阪神と播磨の間の神戸
神戸市9区の戸建て総額中央値2,742万円は、兵庫県内で阪神地域と播磨地域の中間に位置します。阪神4市(芦屋・西宮・宝塚・伊丹)は3,607万円(坪単価96.8万円/坪・N=3,226)で神戸市の1.31倍。播磨3市(姫路・加古川・高砂)は1,653万円(35.6万円/坪・N=2,453)で神戸市の0.60倍。尼崎市は2,877万円(111.0万円/坪・N=1,546)で神戸市に近い水準です。
| 地域 | 総額中央値 | 坪単価中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 阪神4市(芦屋・西宮・宝塚・伊丹) | 3,607万円 | 96.8万円/坪 | 3,226 |
| 神戸市9区 | 2,742万円 | 62.3万円/坪 | 5,535 |
| 尼崎市 | 2,877万円 | 111.0万円/坪 | 1,546 |
| 播磨3市(姫路・加古川・高砂) | 1,653万円 | 35.6万円/坪 | 2,453 |
個別市で見ると、芦屋市の5,878万円が県内最高、高砂市の1,176万円が最低で約5倍の開きがあります。神戸市は県央の中心都市として、坪単価で阪神地域に次ぎ播磨地域を上回る水準にあります。同じ兵庫県でも、阪神(大阪ベッドタウン)・神戸(県央中心)・播磨(姫路圏)で戸建て相場の階層が明確に分かれている構造です。神戸市内で物件を探す読者は、この県内位置を念頭に、予算と希望エリアの組み合わせを検討すると現実的な相場観が持ちやすくなります。
まとめ — 神戸の戸建てを読む4つの視点
神戸市の戸建てを検討する読者への示唆をまとめます。第一に、総額2,742万円を中心に、区別で2.28倍の開き(東灘区4,380万円〜長田区1,924万円)があること。第二に、中心5区と周辺4区で「狭地高単価」と「広地低単価」の二極構造があり、総額が近くても坪単価は2.7倍違うため、坪単価と敷地面積を合わせて見る必要があること。第三に、築年が価格に与える影響が大きく、築0-10年3,725万円から築31年超1,361万円へ-63.5%、坪単価は-71.0%。築30年を境に坪単価の下落が加速します。第四に、駅別で山手(阪急・JR)・西神(地下鉄)・山陽(海側)・神鉄(北側)の4層構造があり、沿線と開発時期が現在の相場を形作っています。
また神戸市の戸建ては、敷地面積が変わっても総額が揺れない(+9.6%)という戸建て特有の性質があり、「総額」より「坪単価」で立地の良さを読むのが実務的です。直近4年(2021-2024)は+3.5%の緩やかな上昇傾向でしたが、2025年データは公表ラグの影響を受けるため、今後の動向は四半期ごとの成約データで継続確認することが合理的です。本稿の数値はすべて2021-2025年の成約データに基づく過去の事実であり、将来の価格を保証するものではありません——購入・売却の判断では、最新の成約事例と専門家の査定を併せて参照してください。詳しくは兵庫県の不動産相場ページ、または無料査定を依頼からご相談ください。
集計条件: 出典=国土交通省「不動産取引価格情報」成約価格情報(REINS週次公表・宅地=土地と建物の一戸建て)/集計期間=2021年第1四半期〜2025年第4四半期(N=5,535)/単位=総額(万円)・坪単価(万円/坪・1坪=3.30578m²)・m²単価(万円/m²)の中央値/total_priceがNULLまたは0の行は除外/建築年が成約年より未来のレコードは除外/対象は兵庫県神戸市9区(東灘・灘・中央・兵庫・北・長田・須磨・垂水・西区)/坪単価は tsubo_price 列、m²単価は unit_price 列、敷地面積は area_sq_m 列(戸建ては土地面積を指す)/区別・駅別・築年帯・面積帯はすべて中央値/2025年データ(2,861万円・N=1,561)は公表ラグによる地域偏りの可能性があるため、トレンド主軸は2021-2024年
出典: 国土交通省 不動産取引価格情報(成約価格情報)