広島市のマンション相場はいくらか
結論から言うと、広島市8区(中・東・南・西・安佐南・安佐北・安芸・佐伯区)の中古マンション成約価格中央値は2,403万円です(2021〜2025年・国土交通省 不動産取引価格情報 成約価格情報・N=3,723)。m²単価中央値は32.1万円/m²。対象は広島県広島市8区のみで、呉市・福山市・東広島市・廿日市市など広島市外の物件は含みません。
ここで言う「相場」とは、実際に売買が成立した価格(成約価格)の中央値です。国土交通省「不動産取引価格情報」のうち、REINSから毎週公表される成約価格情報(中古マンション等)を使います。売り出し価格ではなく成約ベースである点が重要です——売り出し価格は値下げ交渉を見込んで高めに設定されることが多く、成約価格のほうが実態に近いからです。
広島市8区の成約価格は中央値2,403万円を挟んで広く分布します。P25が1,500万円、P75が3,500万円、P90は4,576万円。半分の物件が1,500万円〜3,500万円の間に収まる一方、P90は4,576万円を超え、同じ「広島市」でも4,000万円超の比較的新しいマンションと、1,000万円台の築30年超物件が混在します。築年中央値は25年で、地方主要4政令市の中では比較的新しいストック構造です。
築年で価格はどう変わる — 0-5年の4,375万円から31年超の1,400万円へ
広島市の中古マンションでは、築年が価格を決める最大の変数です。築0-5年の総額中央値は4,375万円(N=260)。築6-10年で4,218万円、築11-15年で3,492万円と徐々に下がり、築16-20年で3,200万円、築21-25年で2,600万円、築26-30年で1,896万円。そして築31年超は**1,400万円(N=1,221)まで下落します。築0-5年から築31年超への下落率は-68.0%**で、新築帯から30年余りで価格が3分の1強に縮む計算です。
| 築年帯 | 総額中央値 | m²単価中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 0-5年 | 4,375万円 | 60.1万円/m² | 260 |
| 6-10年 | 4,218万円 | 56.0万円/m² | 378 |
| 11-15年 | 3,492万円 | 42.3万円/m² | 361 |
| 16-20年 | 3,200万円 | 38.1万円/m² | 428 |
| 21-25年 | 2,600万円 | 34.3万円/m² | 482 |
| 26-30年 | 1,896万円 | 25.5万円/m² | 593 |
| 31年超 | 1,400万円 | 20.6万円/m² | 1,221 |
注目すべきは件数の分布です。築31年超は1,221件で**全体の32.8%**を占め、築0-5年は260件・シェア7.0%に留まります。広島市の中古マンション市場では、築30年前後の物件が量的な中心であり、新築から5年以内の物件は限定的です。これは広島市のマンション供給の歴史的経緯(1980〜1990年代の開発と、その後の供給ペースの鈍化)を反映した構造です。
築31年超のバンドに入ると、価格のばらつきも大きくなります。m²単価で見ると、築31年超のP10は9.9万円/m²、P25は14.9万円/m²、P75は26.9万円/m²。築0-5年のP25が51.4万円/m²であるのと比べると、築31年超の最も安い帯でも築0-5年の3分の1以下の単価水準です。立地・階数・更新工事の有無で同じ築31年超の中でも価格のばらつきが大きくなります。
m²単価で読み解く築年別の価値
総額だけでなくm²単価で見ると、築年の影響がより鮮明になります。築0-5年のm²単価中央値は60.1万円/m²。築6-10年で56.0万円/m²、築11-15年で42.3万円/m²、築16-20年で38.1万円/m²、築21-25年で34.3万円/m²、築26-30年で25.5万円/m²、築31年超で20.6万円/m²。築0-5年から築31年超への下落率は**-65.7%**で、総額の-68.0%より下落幅がやや小さいのは、築年が進むほど専有面積もわずかに小さくなる傾向(築0-5年で75.0㎡・築31年超で70.0㎡)が相殺効果として働くためです。
つまり築年が進むにつれて「面積当たり単価が下がる」と同時に「面積も小さくなる」傾向が重なり、総額の下落を形作っています。広島市で1,400万円台の中古マンションを探す場合、それは「築31年超で70㎡前後の物件」を指すことが多く、築10年以内で75㎡超の家族型を探す場合の予算は4,200万円程度必要、というのが2021-2025年の成約データから読める現実的な相場観です。
広島市のマンションは何年築が多いか
建築年代(10年単位)で分布を見ると、広島市中古マンションの供給史が浮かび上がります。1990年代築が1,032件(27.7%)で最大。次いで2000年代築896件(24.1%)、2010年代築665件(17.9%)、1980年代築632件(17.0%)、1980年以前346件(9.3%)、2020年代築152件(4.1%)の順です。
| 建築年代 | 件数 | シェア | 総額中央値 |
|---|---|---|---|
| 2020年代築 | 152 | 4.1% | 4,525万円 |
| 2010年代築 | 665 | 17.9% | 4,000万円 |
| 2000年代築 | 896 | 24.1% | 3,096万円 |
| 1990年代築 | 1,032 | 27.7% | 1,868万円 |
| 1980年代築 | 632 | 17.0% | 1,500万円 |
| 1980年以前 | 346 | 9.3% | 1,130万円 |
バブル期〜バブル崩壊後の1990年代に大量供給があったこと、そして2010年代以降の供給ペースが鈍化していることが数字から読めます。1980年代以前の築30年超物件は**全体の26.3%(978件)**に上り、これらが今後10年で築40年超へと進行するため、広島市では建替え・リノベーション需要が潜在的に大きい地域と言えます。一方、2020年代築はわずか152件(4.1%)で、新築ストックの薄さが築0-5年帯の価格を4,375万円と高水準に支える要因にもなっています。
区別で見る築年・価格の構造
広島市8区を区別で見ると、中区が新旧ともに最高水準です。中区は築0-10年で4,811万円(N=225)、築11-20年で3,800万円、築21-30年で2,900万円、築31年超でも1,560万円(N=373)。中区全体で1,001件・広島市全体の26.9%を占め、広島市のマンション市場を牽引する中心地です。
| 区 | 築0-10年 | 築11-20年 | 築21-30年 | 築31年超 |
|---|---|---|---|---|
| 中区 | 4,811万円 | 3,800万円 | 2,900万円 | 1,560万円 |
| 南区 | 4,650万円 | 3,488万円 | 2,613万円 | 1,483万円 |
| 西区 | 4,000万円 | 3,300万円 | 2,178万円 | 1,300万円 |
| 東区 | 4,550万円 | 3,750万円 | 2,000万円 | 1,200万円 |
| 安佐南区 | 3,550万円 | 3,000万円 | 2,000万円 | 1,400万円 |
| 佐伯区 | 3,450万円 | 3,000万円 | 2,000万円 | 1,300万円 |
南区は築0-10年4,650万円(N=174)で中区に次ぐ水準。宇品・比治山周辺の再開発が新築帯の価格を支えています。東区は築0-10年4,550万円(N=38)と新築帯は高い一方、築31年超は1,200万円(N=186)まで下がり、新旧の格差が際立ちます。西区は築0-10年4,000万円(N=104)・築21-30年2,178万円(N=239)と中間〜古いストックが厚い構造です。安佐南区・佐伯区は築0-10年3,450〜3,550万円で郊外型の水準。安佐北区・安芸区は件数が各85件と少なく、新築帯のサンプルが限定的なため、これら2区の新築帯相場は参考値として扱うのが妥当です。
建築年代別のm²単価で比較すると、中区は2010年代築61.4万円/m²・1990年代築36.0万円/m²・1980年代築26.2万円/m²で、2010年代築から1980年代築への下落率は-57.3%。南区は2010年代築58.2万円/m²・1990年代築28.6万円/m²、東区は2010年代築58.7万円/m²・1990年代築20.4万円/m²と下落幅が大きいのが特徴です。西区は2010年代築49.7万円/m²・1990年代築24.3万円/m²。安佐南区・佐伯区は2010年代築42万円台で郊外型の単価水準。全区で「2010年代築>1990年代築>1980年代築」の順序が一致しており、築年による単価の序列は区を問わず安定しています。
相場は上がっているのか — 2021-2025年次推移
直近5年間の推移を見ると、広島市の中古マンション相場は緩やかに上昇しています。2021年の中央値は2,300万円(N=650)でしたが、2022年は2,322万円(N=743)、2023年は2,404万円(N=754)、2024年は2,549万円(N=756)まで上がりました。率にして**+10.8%**の上昇です。
| 年 | 総額中央値 | N | 築年中央値 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 2,300万円 | 650 | 23年 |
| 2022年 | 2,322万円 | 743 | 26年 |
| 2023年 | 2,404万円 | 754 | 26年 |
| 2024年 | 2,549万円 | 756 | 25年 |
| 2025年 | 2,531万円 | 820 | 26年 |
2025年の2,531万円(N=820)は直近年で2024年とほぼ並びの水準ですが、公表ラグによって報告の早い地域・物件に偏る可能性があるため、トレンド判断は2021〜2024年の比較を主軸にするのが安全です。2024年までの4年間は一貫した上昇傾向で、この期間の築年中央値は23〜26年で安定しており、物件の築年構成が大きく変わって中央値が上がったわけではなく、同じ築年帯の物件が値上がりしたと読めます。ただし、今後も上がり続けることは保証されません——上昇は過去の事実であって、未来の予測ではありません。
長期スパンで読む — 2010年代との比較
より長期間の変化を見るため、不動産取引価格情報(提示価格)を使って2010-2014年と2021-2025年を比較します。2000年以降築の物件は、2010-2014年の中央値2,382万円(N=506)から2021-2025年の3,438万円(N=560)へ**+44.3%**上昇。1980-1999年築は1,100万円→1,590万円(+44.6%)、**1980年以前築は730万円→1,300万円(+78.1%)**と、古い物件ほど上昇率が大きい傾向が見えます。
| 建築年代 | 2010-2014 | 2021-2025 | 上昇率 |
|---|---|---|---|
| 2000年以降築 | 2,382万円 | 3,438万円 | +44.3% |
| 1980-1999年築 | 1,100万円 | 1,590万円 | +44.6% |
| 1980年以前築 | 730万円 | 1,300万円 | +78.1% |
古い物件の上昇率が大きいのは、建築年が進んだ物件が立地の良い土地価値に収れんしていく現象(建物価値は減価しても土地価値が維持・上昇する)と、リノベーション需要の拡大が影響している可能性があります。ただし、これは提示価格(取引価格情報)の比較であり、成約価格とは性質が異なります——売り出し価格には値引き交渉の余裕が含まれるため、実際の成約ベースでの上昇率はこの数字よりやや小さくなる可能性があります。両者を混同せず、長期トレンドの傾向を読む指標として扱うのが適切です。
他都市との比較と駅別傾向
広島市の中古マンション総額中央値2,403万円は、地方主要4政令市の中では最も高い水準です。広島市2,403万円(N=3,723)、福岡市2,322万円(N=11,807)、仙台市2,094万円(N=5,584)、札幌市1,971万円(N=11,569)の順。広島市は4都市中トップで、福岡市・仙台市・札幌市を上回る位置にあります。
興味深いのは築10年以内の新築帯での比較です。築10年以内の中央値は仙台市4,396万円・広島市4,306万円・福岡市4,019万円・札幌市3,996万円で、広島市は新築帯では仙台市に次ぐ高水準。広島市が全体中央値で首位にあるのは、広島市のストックに占める築30年超物件の割合が比較的低く、築年中央値25年と4都市中最も若いことが寄与しています。札幌市は築年中央値が28年と他3都市(25〜26年)より古く、新築帯も含めた全体的な築年の進行が価格構造を押し下げています。
広島県内での比較でも、広島市8区とそれ以外の市町村で明確な価格差があります。**広島市8区の中央値2,403万円(N=3,723)に対し、呉市・福山市・東広島市・廿日市市等の広島市以外は2,064万円(N=1,206)**で、広島市の85.9%の水準。築20年以内に絞っても広島市8区3,700万円・広島市以外2,666万円と開きがあります。広島市への人口集中とマンション供給の偏りが価格差の主要因です。
駅別で見ると、築年中央値が若い駅ほどm²単価が高い傾向が読めます。築年中央値が最も若い日赤病院前は築5年・m²単価61.1万円/m²(N=69)。次いで南区役所前が築13年・48.8万円/m²(N=45)、下祇園が築13年・38.2万円/m²(N=52)。縮景園前は築20年でm²単価60.0万円/m²(N=49)と、市中心部の立地良さが単価を押し上げています。広島駅は築20年・40.4万円/m²(N=442)で最大のサンプルです。一方、築年が進んだ県病院前は築42年・28.9万円/m²(N=56)、鷹野橋は築38年・30.9万円/m²(N=60)、舟入町は築36年・30.8万円/m²(N=54)。広島電鉄(広電)・アストラムライン沿線の古くからの市街地に築年が進んだストックが集中し、駅周辺の開発時期とマンション供給の時期が現在の築年構造と単価水準を形作っています。
間取り別で読む実務的な予算感
最後に、間取り別に見ると読者の予算感と照合しやすくなります。広島市で件数が最も多い3LDKは、築0-15年(新)4,000万円(N=448)、築16-30年(中)2,385万円(N=826)、築31年超(古)1,500万円(N=501)。2LDKは新4,500万円(N=170)・中2,575万円(N=142)・古1,700万円(N=169)。1LDKは新3,700万円(N=27)・中2,350万円(N=12)・古1,500万円(N=47)。
3LDKの築0-15年から築31年超への下落率は**-62.5%**で、間取りを同じくしても築年が31年を超えると価格は3分の1強程度に収れんすることが分かります。「3LDKで予算2,385万円」と広島市で探す場合、それは「築16-30年の中古」を指す、というのが2021-2025年の成約データの示す現実です。逆に「築10年以内の3LDK」を希望する場合は4,000万円以上の予算が必要で、築5年以内の実質新築級ともなれば4,375万円程度が目安となります。
まとめ — 広島マンションを読む4つの視点
広島市マンションを検討する読者への示唆をまとめます。第一に、築年が価格に与える影響が極めて大きいこと。築0-5年から築31年超で総額-68.0%、m²単価-65.7%。第二に、広島市のマンションストックは築26年以上が48.7%(1,814件)を占め、新築帯は量的に限定的なため、新築・準新築を希望する場合は価格面で覚悟が必要です。第三に、区別・駅別で築年構造が異なり、中区(26.9%のシェア)・南区は新築帯の供給が相対的に厚い一方、西区・東区の古いストックや広電沿線の築30年超物件が中心のエリアもあります。第四に、**直近4年(2021-2024)は一貫した上昇傾向(+10.8%)**でしたが、2025年データは公表ラグの影響を受けるため、今後の動向は四半期ごとの成約データで継続確認することが合理的です。本稿の数値はすべて2021-2025年の成約データに基づく過去の事実であり、将来の価格を保証するものではありません——購入・売却の判断では、最新の成約事例と専門家の査定を併せて参照してください。
広島市の中古マンションは地方主要4政令市の中で最も高い中央値を持ち、築年25年と比較的新しいストック構造がその一因です。築年別のデータを理解した上で、予算と希望する築年・エリア・間取りの組み合わせを検討することが、現実的な物件選びの第一歩になります。詳しくは広島市の不動産相場ページも参照してください。