長野県の中古マンション相場は中央値2,700万円
結論から言うと、長野県の中古マンションは成約データ922件で総額中央値2,700万円・m²単価中央値34.1万円/m²(国土交通省 成約価格情報・2021年第1四半期〜2025年第4四半期)。ただしこの2,700万円という数字には重要な注意点がある。922件の30.5%(281件)は軽井沢町で、別荘・セカンドハウス需要で相場が突出している。軽井沢を除く県央部の中央値は2,500万円で、県庁所在地の長野市(2,500万円)と同水準だ。つまり「長野県のマンション相場」と一口に言っても、リゾート需要を含む県全体値(2,700万円)と、一般居住用の中核市部(2,500万円前後)を分けて読む必要がある。
本記事は成約価格情報を主軸にする。国土交通省が公開する成約データには、実際に成立した売買価格が1件ずつ記録されており、提示価格(取引価格情報)とは異なる実勢指標になる。なおデータセットに「買取取引」を識別する列はないため、本記事では下位バンド(P25・P10)を安値目安の参考値として扱い、買取価格そのものとは断定しない。
成約データで読む価格分布と下位バンド
長野県中古マンション922件の総額分布をパーセンタイルで見ると、価格帯の厚みが見える。
| パーセンタイル | 総額(万円) | 中央値との比 |
|---|---|---|
| P10(下位10%) | 530 | 19.6% |
| P25(下位25%) | 1,600 | 59.3% |
| 中央値(P50) | 2,700 | 100% |
| P75(上位25%) | 3,700 | 137.0% |
中央値2,700万円に対し下位25%の境界は1,600万円、下位10%は530万円。m²単価で見ると中央値は34.1万円/m²、専有面積の中央値は75.0m²(典型的な3LDK〜4LDKクラス)。下位バンドには小型物件や郊外の物件が混在し、成約価格が安い理由は単価・面積・立地の複合要因だ。買取を検討する際、この下位バンドが一つの参照点になる。ただし買取価格は業者の仕入れマージンや修繕費用を織り込むため、成約データの下位バンドよりさらに低くなる余地がある。
築年が30年を超えると半値以下に
築年別に中央値を追うと、長野県でも築年による価値減衰がはっきり見える。
| 築年帯 | N | 総額中央値(万円) | m²単価中央値(万円/m²) |
|---|---|---|---|
| 0-5年 | 76 | 3,900 | 52.0 |
| 6-10年 | 80 | 3,500 | 43.6 |
| 11-15年 | 135 | 3,100 | 40.0 |
| 16-20年 | 178 | 2,900 | 36.0 |
| 21-30年 | 216 | 2,000 | 27.1 |
| 31年超 | 237 | 1,100 | 18.4 |
築0-5年の3,900万円が築31年超で1,100万円に下落し、総額で71.8%減。m²単価は52.0万円/m²から18.4万円/m²へ下落する。分岐点は築20年付近で、築21-30年で2,000万円を割り込み、築31年超では1,000万円台になる。築年が進んだ中古マンションを検討する場合、修缮履歴や管理状態が価格差を左右する。新築時の3分の1以下の価格で入居できる反面、修繕積立金の上昇や設備更新の負担を見込む必要がある。一方で、築古物件は利回り観点で投資用として流通することもあり、下位バンドの一部はそうした取引を反映している。
軽井沢は別格 — 新築1億4,000万円の別荘プレミアム
県全体の相場を語る上で避けて通れないのが軽井沢町だ。市別では軽井沢町が4,400万円で突出(N=281)し、m²単価は54.3万円/m²に達する。さらに築年を絞ると、軽井沢の築0-5年(新築相当)の中古マンション中央値は1億4,000万円、m²単価は130万円/m²(ただしN=17の小サンプル)に達する。県庁所在地・長野市中央値の5.6倍だ。
| 軽井沢町・築年帯 | N | 総額中央値(万円) |
|---|---|---|
| 0-5年 | 17 | 14,000 |
| 6-10年 | 13 | 9,600 |
| 11-20年 | 81 | 6,800 |
| 21-30年 | 73 | 3,300 |
| 31年超 | 97 | 2,400 |
軽井沢は首都圏からの別荘・セカンドハウス需要が価格を支え、一般居住用マンション相場とは別系統で動く。築31年超でも2,400万円を保ち、県央部の築31年超(1,100万円)の2倍以上。経年減衰が緩やかだ。県全体中央値の2,700万円が隣接県より高く見える一因は、この軽井沢プレミアムが3割のサンプルを占めるため。居住用の中古マンションを探す読者は、軽井沢の数値を参考にしないよう注意が必要だ。
県庁所在地・長野市と松本市はほぼ同水準
軽井沢を除くと、長野県の中核市部は2,500〜2,650万円に密集する。
| 市町村 | N | 総額中央値(万円) | m²単価中央値(万円/m²) |
|---|---|---|---|
| 諏訪市 | 46 | 2,650 | 29.6 |
| 松本市 | 221 | 2,600 | 33.3 |
| 上田市 | 37 | 2,600 | 32.0 |
| 長野市(県庁所在地) | 218 | 2,500 | 31.3 |
県庁所在地の長野市2,500万円、県内第2の都市・松本市2,600万円、上田市2,600万円、諏訪市2,650万円はいずれも近接。長野県の中核市部では都市間の価格差が小さく、2,500万円台が相場の中心。参考までに、軽井沢に隣接する御代田町は3,150万円(N=24)で、軽井沢プレミアムの波及がうかがえる。一方、木曽郡木曽町は280万円(N=23)と極端に低いが、これは小型物件や特殊な権利形態の取引が混入した特異値で、長野県の一般相場の参考にはならない。
隣接7県で長野県はダントツ1位
長野県と陸続きの7県(埼玉・群馬・新潟・富山・岐阜・静岡・山梨)で中央値を比較すると、長野県2,700万円は隣接県のなかで最高水準だ。
| 都道府県 | N | 総額中央値(万円) |
|---|---|---|
| 長野県 | 922 | 2,700 |
| 埼玉県 | 21,567 | 2,500 |
| 岐阜県 | 850 | 1,800 |
| 富山県 | 519 | 1,700 |
| 静岡県 | 2,552 | 1,600 |
| 新潟県 | 848 | 1,500 |
| 群馬県 | 600 | 1,400 |
| 山梨県 | 292 | 895 |
長野県は2位の埼玉県2,500万円を上回り、最も低い山梨県895万円の3.02倍。新潟県1,500万円・群馬県1,400万円に対しても8割以上高い。内陸県でありながら、首都圏ベッドタウン需要を持つ埼玉と同等以上の水準にある。ただしこの高さには軽井沢効果が含まれる点は先述の通り。それを割り引いても、長野県は隣接地方県の中古マンション相場で頭一つ抜けた位置にある。
全国比で中央値93%・m²単価8割・面積は1割大きい
全国(362,815件)との比較で、長野県の特徴が際立つ。
| 指標 | 長野県 | 全国 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 総額中央値 | 2,700万円 | 2,900万円 | 93.1% |
| m²単価中央値 | 34.1万円/m² | 42.5万円/m² | 80.2% |
| 専有面積中央値 | 75.0m² | 70.0m² | 107.1% |
総額は全国の93.1%に肉薄する一方、m²単価は80.2%にとどまる。この差は専有面積で埋まっている。長野県は75.0m²と全国(70.0m²)より1割広く、単価が低くても総額が全国に近づく構造だ。地方県は単価が下がる一方で面積が広くなりがちで、長野県はその典型。「単価が安い=総額も安い」とは限らず、面積まで見ないと実勢を読み間違える。坪単価で見ると長野県の中古マンション成約坪単価中央値は112.8万円/坪(参考値)で、全国より低いが、専有面積の広さが総額を押し上げている。
5年で中央値+28% — 上昇トレンドの実態
年次推移を見ると、長野県の中古マンション相場は全国的な値上がり傾向のなかで特に伸びている。
| 年度 | N | 総額中央値(万円) | P25(万円) | m²単価中央値(万円/m²) |
|---|---|---|---|---|
| 2021 | 150 | 2,500 | 1,200 | 31.1 |
| 2022 | 185 | 2,600 | 1,600 | 33.8 |
| 2023 | 212 | 2,700 | 1,700 | 32.9 |
| 2024 | 170 | 2,700 | 1,500 | 34.8 |
| 2025 | 205 | 3,200 | 1,900 | 41.3 |
中央値は2021年の2,500万円から2025年の3,200万円へ28.0%上昇。m²単価は31.1万円/m²から41.3万円/m²へ32.8%上昇。特に下位バンドの上昇が急で、P25は1,200万円から1,900万円へ58.3%上がった。全国中古マンションの中央値上昇率が同期間で約18%であるのに対し、長野県は28.0%と全国を上回る。2025年の急伸は軽井沢の取引構成やm²単価上昇(41.3万円/m²)が影響している可能性があり、単年度の数値は構成変動を含む点に留意したい。
まとめ — 自分のマンションの相場を調べる手順
長野県の中古マンション相場は、数据で3つのレイヤーに分かれる。(1) 軽井沢を含む県全体中央値2,700万円、(2) 軽井沢を除く県央部2,500万円前後、(3) 軽井沢単体4,400万円(新築相当1億4,000万円)。築年では築0-5年の3,900万円が築31年超で1,100万円に下落し、隣接7県のなかで長野県は最高水準、全国比では総額93%・m²単価80%・面積107%という構造を持つ。
ご自身のマンションの相場を調べる際は、(1) 所在市町村、(2) 築年、(3) 専有面積、(4) 階数・方位・設備、の4軸で成約データを絞り込むのが基本だ。本記事の数値は県単位・市単位の中央値であり、個別物件の価値を直接示すものではない。より精度の高い査定には、成約データに加えて現在の販売事例や管理状態を反映した査定が有効だ。
出典・集計条件: 国土交通省「不動産取引価格情報・成約価格情報」(2021年第1四半期〜2025年第4四半期)。対象種別=中古マンション等。total_price・unit_price・area_sq_mが0またはNULLの行、建築年が成約年より未来のレコードを除外。集計は中央値(median)を主軸。金額は万円、m²単価は万円/m²に換算。Nは件数で、件数が少ない市町村(木曽町N=23・上田市N=37など)は小型物件や特殊条件の取引が混入しやすく参考扱い。成約価格情報の下位バンド(P25・P10)は買取価格そのものではなく安値目安の代理指標。軽井沢町は別荘・セカンドハウス需要で居住用相場と別系統に動く。