福岡市のマンション坪単価はいくらか
結論から言うと、福岡市7区(中央区・博多区・東区・南区・西区・城南区・早良区)の中古マンション坪単価中央値は115.9万円/坪です(2021〜2025年・国土交通省 不動産取引価格情報 成約価格情報・N=1万1,807)。総額中央値は2,322万円、m²単価中央値は35.1万円/m²。対象は福岡県福岡市7区のみで、北九州市や久留米市など福岡市外の物件は含みません。
ここで言う「坪単価」とは、物件価格を専有面積の坪(1坪=約3.3m²)で割った単価の中央値です。国土交通省「不動産取引価格情報」のうち、REINSから毎週公表される成約価格情報(中古マンション等)を使います。売り出し価格ではなく実際の成約ベースである点が重要です——売り出し価格は値下げ交渉を見込んで高めに設定されることが多く、成約価格のほうが実態に近いからです。
福岡市7区の坪単価は中央値115.9万円/坪を挟んで広く分布します。下位25%帯(P25)は77.8万円/坪、上位25%帯(P75)は162.7万円/坪、上位10%点(P90)は218.2万円/坪。半分の物件が77.8万円/坪〜162.7万円/坪の間に収まる一方、P90は218.2万円/坪を超え、同じ「福岡市」でも218.2万円/坪を超える上位層と75.2万円/坪の築31年超物件が混在します。築年中央値は26年で、築26年以上の物件が51.3%を占めます。
区別で見る坪単価 — 中央区145.7万円/坪から南区92.1万円/坪へ
福岡市7区を坪単価中央値で比較すると、区ごとに明確な格差が見えます。中央区が145.7万円/坪(N=3,291・シェア27.9%)で最高。天神・大名・薬院といった商業・業務集積地を抱え、福岡市のマンション市場を牽引します。次いで早良区138.9万円/坪(N=1,224)、博多区113.6万円/坪(N=2,026)、西区102.2万円/坪(N=1,009)、東区101.5万円/坪(N=2,043)、城南区101.3万円/坪(N=600)、南区92.1万円/坪(N=1,614)の順です。中央区は南区の1.58倍の単価水準です。
| 区 | 坪単価中央値 | 総額中央値 | m²単価 | N |
|---|---|---|---|---|
| 中央区 | 145.7万円/坪 | 2,759万円 | 44.1万円/m² | 3,291 |
| 早良区 | 138.9万円/坪 | 3,287万円 | 42.0万円/m² | 1,224 |
| 博多区 | 113.6万円/坪 | 1,700万円 | 34.4万円/m² | 2,026 |
| 西区 | 102.2万円/坪 | 2,489万円 | 30.9万円/m² | 1,009 |
| 東区 | 101.5万円/坪 | 2,383万円 | 30.7万円/m² | 2,043 |
| 城南区 | 101.3万円/坪 | 2,215万円 | 30.7万円/m² | 600 |
| 南区 | 92.1万円/坪 | 1,897万円 | 27.9万円/m² | 1,614 |
注目すべきは、早良区と博多区の総額と坪単価のねじれです。早良区は総額中央値3,287万円で中央区2,759万円を上回りますが、坪単価は早良区138.9万円/坪・中央区145.7万円/坪で中央区が上回ります。早良区は西新・藤崎エリアを中心に面積の大きい家族型マンションが多く、総額が高くても坪単価は中央区に及ばない構造です。逆に博多区は総額1,700万円が7区中最低ですが、坪単価は113.6万円/坪で3番目に高く、博多駅周辺のコンパクト物件の比率が高いことが影響しています。東区は築年中央値21年で最も新しく、香椎・千早エリアの新規供給が坪単価を支えています。
築年で坪単価はどう変わる — 築0-5年の220.1万円/坪から築31年超の75.2万円/坪へ
福岡市の中古マンションでは、築年が坪単価を決める最大の変数です。築0-5年の坪単価中央値は220.1万円/坪(N=1,042)。築6-10年で176.2万円/坪、築11-15年で157.5万円/坪、築16-20年で142.9万円/坪、築21-25年で126.0万円/坪、築26-30年で100.0万円/坪。そして築31年超は75.2万円/坪(N=4,524)まで下落します。築0-5年から築31年超への坪単価下落率は**-65.9%**です。
| 築年帯 | 坪単価中央値 | 総額中央値 | N | シェア |
|---|---|---|---|---|
| 0-5年 | 220.1万円/坪 | 4,369万円 | 1,042 | 8.8% |
| 6-10年 | 176.2万円/坪 | 3,791万円 | 1,120 | 9.5% |
| 11-15年 | 157.5万円/坪 | 3,400万円 | 981 | 8.3% |
| 16-20年 | 142.9万円/坪 | 3,264万円 | 1,314 | 11.1% |
| 21-25年 | 126.0万円/坪 | 2,873万円 | 1,293 | 11.0% |
| 26-30年 | 100.0万円/坪 | 2,123万円 | 1,533 | 13.0% |
| 31年超 | 75.2万円/坪 | 1,300万円 | 4,524 | 38.3% |
総額で見ても同じ傾向です。築0-5年4,369万円から築31年超1,300万円へ**-70.2%下落。件数の分布を見ると、築31年超は4,524件で全体の38.3%**を占め、築0-10年は2,162件・シェア18.3%に留まります。福岡市の中古マンション市場では築30年前後の物件が量的な中心であり、新築から10年以内の物件は限定的です。これは1990年代前半のマンション供給ブームと、その後の供給ペースの変化を反映した構造です。福岡市で「坪単価157.5万円/坪以上の物件」を探す場合、それは築15年以内の比較的新しい物件を指すことが多く、築10年以内の実質新築級であれば坪単価176.2万円/坪以上が目安となります。
建築年代別で読む坪単価と供給の波
建築年代(10年単位)で分布を見ると、福岡市のマンション供給史が浮かび上がります。1990年代築が3,264件(27.6%)で最大。次いで2000年代築2,601件(22.0%)、1980年代築2,274件(19.3%)、2010年代築1,997件(16.9%)、1970年代築1,017件(8.6%)、2020年代築633件(5.4%)の順です。
| 建築年代 | 件数 | シェア | 坪単価中央値 |
|---|---|---|---|
| 2020年代築 | 633 | 5.4% | 245.3万円/坪 |
| 2010年代築 | 1,997 | 16.9% | 178.4万円/坪 |
| 2000年代築 | 2,601 | 22.0% | 140.8万円/坪 |
| 1990年代築 | 3,264 | 27.6% | 92.5万円/坪 |
| 1980年代築 | 2,274 | 19.3% | 78.3万円/坪 |
| 1970年代築 | 1,017 | 8.6% | 61.3万円/坪 |
坪単価で見ると、2020年代築245.3万円/坪が最高で、年代が古くなるほど単調に下がります。2010年代築178.4万円/坪、2000年代築140.8万円/坪、1990年代築92.5万円/坪と推移し、2020年代築から1990年代築への坪単価下落率は-62.3%。区別×建築年代で見ると、中央区は2010年代築237.5万円/坪・2000年代築177.8万円/坪・1990年代築118.7万円/坪で、2010年代築から1990年代築への下落は-50.0%。早良区は2010年代築214.2万円/坪・1990年代築132.2万円/坪、博多区は2010年代築175.4万円/坪・1990年代築88.8万円/坪、東区は2010年代築149.7万円/坪・1990年代築73.1万円/坪。全区で2010年代築>2000年代築>1990年代築の順序が一致しており、築年による単価の序列は区を問わず安定しています。
駅別で読む地下鉄七隈線・空港線の坪単価傾向
駅別(N≥30)で坪単価中央値を見ると、地下鉄七隈線・空港線沿いの駅が上位を占める傾向が鮮明です。坪単価が最も高いのは赤坂(福岡)で178.9万円/坪・築23年(N=403・七隈線)。次いで唐人町175.4万円/坪・築24年(N=355・七隈線)、西新166.8万円/坪・築21年(N=488・空港線)、六本松154.4万円/坪・築21年(N=437・七隈線)、九大学研都市154.2万円/坪・築10年(N=68・七隈線)の順です。
七隈線は中央区から早良区・南区を南北に貫く路線で、赤坂・唐人町・六本松・薬院大通(145.6万円/坪・N=408)と坪単価145.6万〜178.9万円/坪の駅が連なります。空港線は姪浜から博多・福岡空港を東西に結び、西新・藤崎(福岡)(150.3万円/坪・N=430)・大濠公園(141.7万円/坪・N=422)が高水準。天神は141.9万円/坪・築24年(N=116)で、福岡最大の商業中心地としての需要が単価を押し上げています。
一方、博多は108.4万円/坪・築28年(N=504)で、福岡の玄関口でありながら坪単価が抑えられます。これは博多駅周辺の中古マンションストックが築28年中央値と古く、かつコンパクトな単身者向け物件の比率が高いためです。築年が最も若い駅は九大学研都市(築10年)で、九州大学伊都キャンパス移転に伴う新規供給が新しいストックを生み、坪単価154.2万円/坪を支えています。坪単価が最も低いのは福大前50.7万円/坪・築33年(N=45)、奈多55.9万円/坪・築32年(N=67)で、いずれも築30年超のストックが中心です。
相場は上がっているのか — 2021-2025年次推移
直近5年間の推移を見ると、福岡市の中古マンション坪単価は上昇傾向にあります。2021年の坪単価中央値は99.4万円/坪(N=2,141)でしたが、2022年は111.2万円/坪(N=2,189)、2023年は112.4万円/坪(N=2,169)、2024年は121.6万円/坪(N=2,626)まで上がりました。2021年から2024年で坪単価**+22.3%、総額は2,035万円から2,423万円へ+19.1%**の上昇です。
| 年 | 坪単価中央値 | 総額中央値 | N | 築年中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 99.4万円/坪 | 2,035万円 | 2,141 | 25年 |
| 2022年 | 111.2万円/坪 | 2,293万円 | 2,189 | 25年 |
| 2023年 | 112.4万円/坪 | 2,345万円 | 2,169 | 26年 |
| 2024年 | 121.6万円/坪 | 2,423万円 | 2,626 | 27年 |
| 2025年 | 137.8万円/坪 | 2,688万円 | 2,682 | 27年 |
2025年の137.8万円/坪(N=2,682)は2021年から**+38.6%**の水準ですが、直近年のため公表ラグによって報告の早い地域・物件に偏る可能性があります。トレンド判断は2021〜2024年の比較を主軸にするのが安全です。この期間の築年中央値は25〜27年で安定しており、物件の築年構成が上がって坪単価が上がったわけではなく、同じ築年帯の物件が値上がりしたと読めます。ただし、今後も上がり続けることは保証されません——上昇は過去の事実であって、未来の予測ではありません。
他都市との比較 — 北九州・福岡県内・政令市
福岡県内での比較では、福岡市7区の115.9万円/坪に対し、久留米市・春日市等の福岡県他市は75.4万円/坪(N=3,193)で福岡市の65.1%。北九州市は50.8万円/坪(N=1,958)で福岡市の43.8%に留まります。総額でも福岡市2,322万円・福岡県他市1,800万円・北九州市1,192万円と明確な開きがあります。北九州市の築年中央値は30年で福岡市26年より古く、ストックの経年化が坪単価を押し下げる一因です。福岡市への人口・雇用集中とマンション供給の偏りが、県内の坪単価格差の主要因です。
他政令市(大阪市・福岡市・広島市・仙台市)の中古マンション坪単価中央値を比較すると、大阪市164.0万円/坪(N=2万3,840)・福岡市115.9万円/坪(N=1万1,807)・広島市106.3万円/坪(N=3,723)・仙台市96.0万円/坪(N=5,584)の順。福岡市は4都市中2位で、大阪市の70.7%、仙台市の1.21倍。総額中央値は大阪市3,085万円・広島市2,403万円・福岡市2,322万円・仙台市2,094万円です。大阪市は築年中央値21年で最も新しく、坪単価・総額とも最高水準です。福岡市は政令市の中でもマンション需要が根強く、坪単価水準が高い地域と言えます。
間取り別で読む坪単価と予算感
最後に、間取り別に見ると読者の予算感と照合しやすくなります。福岡市で件数が最も多い3LDKは、築0-15年(新)坪単価174.2万円/坪・総額4,205万円(N=1,345)、築16-30年(中)坪単価123.3万円/坪・総額2,910万円(N=1,820)、築31年超(古)坪単価79.9万円/坪・総額1,800万円(N=1,247)。2LDKは新213.7万円/坪・総額4,200万円(N=533)、中146.2万円/坪・総額2,900万円(N=435)、古86.8万円/坪・総額1,621万円(N=748)。1LDKは新198.3万円/坪・総額2,300万円(N=413)、古96.7万円/坪・総額1,500万円(N=270)です。
3LDKの築0-15年から築31年超への坪単価下落は**-54.1%**で、間取りを同じくしても築年が31年を超えると坪単価は概ね半値近くに下がります。「3LDKで坪単価123.3万円/坪」と福岡市で探す場合、それは「築16-30年の中古」を指す、というのが2021-2025年の成約データの示す現実です。逆に「築10年以内の3LDK」を希望する場合は坪単価174.2万円/坪以上、総額4,205万円程度の予算が必要です。
まとめ — 福岡マンションを読む4つの視点
福岡市マンションを検討する読者への示唆をまとめます。第一に、築年が坪単価に与える影響が極めて大きいこと。築0-5年から築31年超で坪単価-65.9%、総額-70.2%。第二に、区別で坪単価に1.58倍の開きがあり、中央区145.7万円/坪が最高・南区92.1万円/坪が最低で、博多区は総額が最も低いながら坪単価は3番目に高い(コンパクト物件比率の高さが影響)。第三に、地下鉄七隈線・空港線沿いの駅が坪単価の上位を占め、赤坂178.9万円/坪・西新166.8万円/坪など都心部・沿線の立地良さが単価を押し上げています。第四に、直近4年(2021-2024)は坪単価+22.3%の一貫した上昇傾向でしたが、2025年データは公表ラグの影響を受けるため、今後の動向は四半期ごとの成約データで継続確認することが合理的です。本稿の数値はすべて2021-2025年の成約データに基づく過去の事実であり、将来の価格を保証するものではありません——購入・売却の判断では、最新の成約事例と専門家の査定を併せて参照してください。
福岡市の中古マンションは政令市の中でも坪単価が高く、区別・築年・沿線で階層が明確に分かれます。坪単価のデータを理解した上で、予算と希望するエリア・築年・間取りの組み合わせを検討することが、現実的な物件選びの第一歩になります。詳しくは福岡県の不動産相場ページも参照してください。
データ出典・集計条件: 本記事の数値は国土交通省「不動産取引価格情報」成約価格情報(中古マンション等・福岡県福岡市7区=city_name LIKE '福岡市%'・2021〜2025年・N=1万1,807)に基づきます。坪単価は tx.tsubo_price を直接集計し、すべて中央値(median)で算出しました。total_price・unit_price・tsubo_price がNULLまたは0の行、および建築年が成約年より未来のレコードは除外しました。2025年データ(N=2,682)は公表ラグで地域偏りの可能性があるため、トレンド主軸は2021〜2024年の比較を使い、2025年は補助情報として扱いました。他政令市比較は大阪市・仙台市・広島市のcity_nameベースで集計しています。