京都市のマンション相場はいくらか
結論から言うと、京都市11区(北・上京・左京・中京・東山・下京・南・右京・伏見・山科・西京)の中古マンション成約価格中央値は2,488万円です(2021〜2025年・国土交通省 不動産取引価格情報 成約価格情報・N=7,629)。m²単価中央値は42.2万円/m²、坪単価中央値は139.5万円/坪。対象は京都府京都市11区のみで、宇治市・城陽市・向日市・長岡京市など京都市外の物件は含みません。
ここで言う「相場」とは、実際に売買が成立した価格(成約価格)の中央値です。国土交通省「不動産取引価格情報」のうち、REINSから毎週公表される成約価格情報(中古マンション等)を使います。売り出し価格ではなく成約ベースである点が重要です——売り出し価格は値下げ交渉を見込んで高めに設定されることが多く、成約価格のほうが実態に近いからです。
京都市11区の成約価格は中央値2,488万円を挟んで広く分布します。下位25%帯(P25)は1,400万円、上位25%帯(P75)は4,115万円、上位10%点(P90)は6,038万円に達します。半分の物件が1,400万円〜4,115万円の間に収まる一方、下位10%点(P10)は832万円、P90は6,038万円と、同じ「京都市」でも832万円の築古物件と6,038万円に達する中心部マンションが混在します。築年中央値は27年で、築年が進んだストックが厚い地域です。
京都市は古都としての景観政策(京都まちなみ条例・風致地区等)により、高層マンションの新築供給が構造的に限定的です。この制約がマンションストックの築年構成と価格水準に深く影響しており、後述の通り2020年代築は全体のわずか2.7%に留まります。
築年で価格はどう変わる — 新築帯4,810万円から築31年超1,500万円へ
京都市の中古マンションでは、築年が価格に与える影響が極めて大きいです。築0-5年の総額中央値は4,531万円(N=449)。築6-10年で4,810万円(N=802)と新築帯は4,531〜4,810万円の高水準にあります。築11-15年で3,526万円、築16-20年で3,710万円、築21-25年で3,506万円と、築11〜25年は3,506〜3,710万円のプラトーを形成します。築26-30年で2,491万円に下がり、築31年超は1,500万円(N=3,337)まで下落します。新築帯のピーク(築6-10年4,810万円)から築31年超への下落率は**-68.8%**です。
| 築年帯 | 総額中央値 | m²単価中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 0-5年 | 4,531万円 | 65.4万円/m² | 449 |
| 6-10年 | 4,810万円 | 68.7万円/m² | 802 |
| 11-15年 | 3,526万円 | 53.1万円/m² | 602 |
| 16-20年 | 3,710万円 | 56.3万円/m² | 824 |
| 21-25年 | 3,506万円 | 53.1万円/m² | 914 |
| 26-30年 | 2,491万円 | 40.0万円/m² | 701 |
| 31年超 | 1,500万円 | 26.8万円/m² | 3,337 |
注目すべきは件数の分布です。築31年超は3,337件で**全体の43.7%**を占め、築0-5年は449件・シェア5.9%に留まります。京都市の中古マンション市場では、築30年を超えた物件が量的な中心であり、新築から5年以内の物件は限定的です。これは京都市のマンション供給の歴史的経緯(1970〜1980年代の開発期と、その後の景観規制による供給ペースの鈍化)を反映した構造です。築11〜25年帯に3,506〜3,710万円の価格プラトーが見られるのは、バブル崩壊後から2000年代前半に供給された物件がこの帯に集中し、立地・設備の水準が比較的近いことが影響していると読めます。
m²単価で読み解く築年別の価値
総額だけでなくm²単価で見ると、築年の影響がより鮮明になります。築0-5年のm²単価中央値は65.4万円/m²、築6-10年は68.7万円/m²。築11-15年で53.1万円/m²、築16-20年で56.3万円/m²、築21-25年で53.1万円/m²、築26-30年で40.0万円/m²、築31年超で26.8万円/m²。築0-5年から築31年超への下落率は**-59.0%**で、総額の-68.8%より下落幅が小さいのは、築年が進むほど専有面積も小さくなる傾向が相殺効果として働くためです。
面積中央値を見ると、築0-5年で70.0m²・築6-10年で71.0m²と新築帯は70m²台ですが、築31年超では60.0m²へ縮小します。つまり築年が進むにつれて「面積当たり単価が下がる」と同時に「面積も小さくなる」傾向が重なり、総額の下落を加速させています。京都市で1,500万円の中古マンションを探す場合、それは「築31年超で60m²前後の物件」を指すことが多く、築10年以内で70m²超の家族型を探す場合の予算は4,531万円以上必要、というのが2021-2025年の成約データから読める現実的な相場観です。
京都市のマンションは何年築が多いか — 古都の供給構造
建築年代(10年単位)で分布を見ると、京都市中古マンションの供給史が浮かび上がります。2000年代築が1,687件(22.1%)で最大。次いで1980年代築1,694件(22.2%)、1990年代築1,509件(19.8%)、2010年代築1,356件(17.8%)、1980年以前1,180件(15.5%)、2020年代築203件(2.7%)の順です。
| 建築年代 | 件数 | シェア | 総額中央値 |
|---|---|---|---|
| 2020年代築 | 203 | 2.7% | 4,733万円 |
| 2010年代築 | 1,356 | 17.8% | 4,507万円 |
| 2000年代築 | 1,687 | 22.1% | 3,639万円 |
| 1990年代築 | 1,509 | 19.8% | 2,379万円 |
| 1980年代築 | 1,694 | 22.2% | 1,640万円 |
| 1980年以前 | 1,180 | 15.5% | 1,300万円 |
数字から読める構造は明確です。1980年代以前の築30年超ストックは**全体の37.7%(2,874件)**に上り、京都市では古いマンションストックが量的に厚い地域です。これらが今後10年で築40年超へと進行するため、建替え・リノベーション需要が潜在的に大きい地域と言えます。一方、2020年代築はわずか203件(2.7%)で、京都市の新築マンション供給が構造的に限定的であることが数字で裏付けられます。これは古都としての景観保全政策がマンションの高層化・新規供給を制約している結果であり、新築ストックの薄さが築0-10年帯の価格を4,531〜4,810万円と高水準に支える要因にもなっています。
区別で見る価格と築年の構造
京都市11区を区別で見ると、中心部と周縁部で明確な価格格差があります。中京区は総額中央値4,400万円(N=1,432・シェア18.8%)で全市最高。次いで下京区3,170万円(N=974・12.8%)、左京区3,048万円(N=547)、東山区2,800万円(N=191)、上京区2,715万円(N=607)。一方、最も安いのは山科区1,708万円(N=651・8.5%)、伏見区1,709万円(N=1,265・16.6%)、南区1,800万円(N=593・7.8%)で、最高の中京区と最低の山科区で2.6倍の開きがあります。
築年帯別に見ると、各区の構造がより鮮明になります。中京区は築0-10年で6,456万円・築31年超でも2,112万円と、新旧とも最高水準を維持します。左京区は築0-10年7,000万円・築31年超2,097万円で、新築帯では中京区を上回る水準。下京区は築0-10年4,622万円・築31年超1,809万円。伏見区は築0-10年3,800万円・築31年超1,269万円、山科区は築0-10年3,400万円・築31年超1,106万円と、周縁部ほど全築年帯で価格水準が下がります。
| 区 | 築0-10年 | 築11-20年 | 築21-30年 | 築31年超 |
|---|---|---|---|---|
| 中京区 | 6,456万円 | 5,519万円 | 4,868万円 | 2,112万円 |
| 左京区 | 7,000万円 | 5,100万円 | 3,700万円 | 2,097万円 |
| 下京区 | 4,622万円 | 3,744万円 | 3,234万円 | 1,809万円 |
| 伏見区 | 3,800万円 | 2,800万円 | 2,144万円 | 1,269万円 |
| 山科区 | 3,400万円 | 2,700万円 | 2,500万円 | 1,106万円 |
建築年代別のm²単価で比較すると、中京区は2010年代築100.0万円/m²・1990年代築72.1万円/m²・1980年代築42.8万円/m²で、2010年代築から1980年代築への下落率は**-57.2%**。下京区は2010年代築77.9万円/m²・1990年代築57.2万円/m²。左京区は2010年代築85.7万円/m²・1990年代築55.5万円/m²。伏見区は2010年代築50.4万円/m²・1990年代築29.8万円/m²・1980年代築21.5万円/m²で、中心部と周縁部で単価水準に明確な格差があります。全区で2010年代築が1990年代築を上回る順序は一致しており、築年による単価の序列は区を問わず安定しています。
相場は上がっているのか — 2021-2025年次推移
直近5年間の推移を見ると、京都市の中古マンション相場は緩やかに上昇しています。2021年の中央値は2,292万円(N=1,333)でしたが、2022年は2,456万円(N=1,460)、2023年は2,546万円(N=1,459)、2024年は2,536万円(N=1,569)、2025年は2,573万円(N=1,808)。率にして**+12.2%**の上昇です(2021年→2025年)。
| 年 | 総額中央値 | N | 築年中央値 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 2,292万円 | 1,333 | 25年 |
| 2022年 | 2,456万円 | 1,460 | 26年 |
| 2023年 | 2,546万円 | 1,459 | 27年 |
| 2024年 | 2,536万円 | 1,569 | 27年 |
| 2025年 | 2,573万円 | 1,808 | 29年 |
興味深いのは、この期間の築年中央値が25年(2021年)から29年(2025年)へ上がっている点です。物件の築年構成が古くなっている中でも価格が上昇しているため、単に「新しい物件のシェアが増えたから中央値が上がった」わけではなく、同じ築年帯の物件が値上がりしたと読むことができます。ただし、今後も上がり続けることは保証されません——上昇は過去の事実であって、未来の予測ではありません。2025年データは公表ラグの影響も受けるため、トレンド判断は年次データの継続確認が合理的です。
長期スパンで読む — 2010年代との比較
より長期間の変化を見るため、不動産取引価格情報(提示価格)を使って2010-2014年と2021-2025年を比較します。2000年以降築の物件は、2010-2014年の中央値2,417万円(N=1,563)から2021-2025年の2,852万円(N=2,623)へ**+18.0%**上昇。1980-1999年築は1,293万円→1,653万円(+27.9%)、**1980年以前築は880万円→1,300万円(+47.7%)**と、古い物件ほど上昇率が大きい傾向が見えます。
| 建築年代 | 2010-2014 | 2021-2025 | 上昇率 |
|---|---|---|---|
| 2000年以降築 | 2,417万円 | 2,852万円 | +18.0% |
| 1980-1999年築 | 1,293万円 | 1,653万円 | +27.9% |
| 1980年以前築 | 880万円 | 1,300万円 | +47.7% |
古い物件の上昇率が大きいのは、建築年が進んだ物件が立地の良い土地価値に収れんしていく現象(建物価値は減価しても土地価値が維持・上昇する)と、リノベーション需要の拡大が影響している可能性があります。京都市ではとくに中心部の中古マンションが立地価値に支えられやすく、築年が進んでも価格下落が一定程度抑制される構造が読めます。ただし、これは提示価格(取引価格情報)の比較であり、成約価格とは性質が異なります——売り出し価格には値引き交渉の余裕が含まれるため、実際の成約ベースでの上昇率はこの数字よりやや小さくなる可能性があります。両者を混同せず、長期トレンドの傾向を読む指標として扱うのが適切です。
他都市との比較と駅別傾向
京阪神3政令市の中古マンション総額中央値を比較すると、大阪市3,085万円(N=23,840)・京都市2,488万円(N=7,629)・神戸市2,229万円(N=11,106)の順で、京都市は3都市中2位です。築年中央値は京都市27年・神戸市27年・大阪市21年で、京都市は大阪市より6年古いストック構造を持っています。m²単価中央値は大阪市49.6万円/m²・京都市42.2万円/m²・神戸市32.1万円/m²。京都市の総額中央値が大阪市を下回るのは、築年中央値の差(27年 vs 21年)が主要因と読めます。
京都府内での比較でも、京都市11区とそれ以外の市で明確な価格差があります。**京都市11区の中央値2,488万円(N=7,629)に対し、宇治市・城陽市・向日市・長岡京市等の京都市以外は1,687万円(N=1,656)**で、京都市の67.8%の水準。築20年以内に絞って比較しても京都市4,163万円・京都市以外3,337万円と開きがあります。京都市への人口集中とマンション供給の偏りが価格差の主要因です。
駅別(N≥30)で見ると、中心部の地下鉄烏丸線・東西線沿線と周縁部で大きく開きがあります。総額中央値が最も高いのは東山(京都)8,100万円(N=63・築19年・m²単価105.3万円/m²)。次いで京都市役所前6,550万円(N=144・築19年・m²単価97.6万円/m²)、烏丸御池5,579万円(N=393・築21年・m²単価87.8万円/m²)、烏丸5,400万円(N=122・築21年・m²単価82.8万円/m²)と、市中心部の駅ほど総額・単価ともに高水準です。一方、最も安いのは淀1,100万円(N=121)、向島1,200万円(N=100・築43年)、東野(京都)1,300万円(N=232・築47年)で、地下鉄東西線の南端・伏見区南部・山科区周縁に価格の低いエリアが分布します。築年が進んだ駅ほど総額が低い傾向が読めます。
間取り別で読む実務的な予算感
最後に、間取り別に見ると読者の予算感と照合しやすくなります。京都市で件数が最も多い3LDKは、築0-15年(新)4,458万円(N=777)、築16-30年(中)3,382万円(N=1,155)、築31年超(古)1,700万円(N=856)。2LDKは新5,036万円(N=424)・中3,815万円(N=460)・古1,800万円(N=748)。1LDKは新3,538万円(N=167)・中3,500万円(N=90)・古1,906万円(N=264)。
3LDKの築0-15年から築31年超への下落率は**-61.9%**で、間取りを同じくしても築年が31年を超えると価格は概ね3分の1程度に収れんすることが分かります。「3LDKで予算3,382万円」と京都市で探す場合、それは「築16-30年の中古」を指す、というのが2021-2025年の成約データの示す現実です。逆に「築10年以内の3LDK」を希望する場合は4,458万円以上の予算が必要で、新築帯の2LDKとなれば5,036万円程度が目安となります。
まとめ — 京都マンションを読む4つの視点
京都市マンションを検討する読者への示唆をまとめます。第一に、築年が価格に与える影響が極めて大きいこと。新築帯のピーク(築6-10年4,810万円)から築31年超1,500万円まで-68.8%、m²単価も-59.0%。第二に、京都市のマンションストックは築31年超が43.7%を占め、2020年代築はわずか2.7%と新築供給が構造的に限定的なため、新築・準新築を希望する場合は価格面で覚悟が必要です。第三に、区別・駅別で価格水準が大きく異なり、中京区・下京区・左京区・東山区の中心4区と、伏見区・山科区・南区の周縁部で2.6倍の開きがあります。第四に、直近5年(2021-2025)は+12.2%の上昇傾向でしたが、これは過去の事実であり、将来の価格を保証するものではありません——購入・売却の判断では、最新の成約事例と専門家の査定を併せて参照してください。
京都市の中古マンションは、古都としての景観政策の下で新築供給が限られ、築年が進んだストックが量的な中心を占める市場です。築年別・区別のデータを理解した上で、予算と希望する築年・エリア・間取りの組み合わせを検討することが、現実的な物件選びの第一歩になります。詳しくは京都府の不動産相場ページも参照してください。