茨城のマンション相場はどの水準か
結論から言うと、**茨城県の中古マンション成約データ1,487件で、総額中央値は2,300万円(m²単価中央値29.3万円/m²)**です。これは全国363,737件の中央値2,900万円の79.3%にあたり、関東7県では東京・神奈川・埼玉・千葉に次ぐ5番目の水準です。隣接する栃木(1,800万円)・群馬(1,400万円)より高く、茨城が「首都圏の最外殻」としての位置付けにあることをデータは示しています。
本記事の数値はすべて、国土交通省「不動産取引価格情報・成約価格情報」に基づきます。成約価格とは実際に取引が成立した価格であり、ポータルサイトに表示される「提示価格(出物希望価格)」ではありません。茨城県の中古マンションでは取引価格情報(提示価格)のデータが0件であるため、本記事は成約データのみで構成しています。集計期間は2021年第1四半期から2025年第4四半期、対象は中古マンション等の成約1,487件・24市です。
成約データで読む価格分布
茨城の中古マンション(成約価格情報・N=1,487)の総額分布を見ると、価格帯の厚みと裾野の広さが見えます。
| パーセンタイル | 総額(万円) | 中央値との比 |
|---|---|---|
| P10(下位10%) | 467 | 20.3% |
| P25(下位25%) | 1,018 | 44.3% |
| 中央値(P50) | 2,300 | 100% |
| P75(上位25%) | 3,550 | 154.3% |
中央値2,300万円に対し、下位25%の境界(P25)は1,018万円で、中央値の44.3%にとどまります。m²単価で見ると中央値は29.3万円/m²、下位25%(P25)は15.1万円/m²です。専有面積の中央値は80㎡(典型的な3LDK〜4LDKクラス)で、茨城では全国(70㎡)より一回り大きな物件が取引の中心になっています。この下位バンドには、築年が古い物件や立地条件の劣る物件が含まれ、価格を押し下げています。
売却を検討する際、この分布は客観的な参照点になります。ただし成約データには業者買取を識別する列がないため、下位バンドは「買取相場」そのものではなく、成約データにおける安い価格帯の実態として読む必要があります。
全国・関東7県との比較
茨城のマンション相場を関東7県で位置付けると、首都圏4県と内陸2県のちょうど中間に位置します。
| 都道府県 | N | 中央値(万円) | m²単価(万円/m²) |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 101,089 | 4,900 | 82.9 |
| 神奈川県 | 44,733 | 3,400 | 48.0 |
| 埼玉県 | 21,567 | 2,500 | 36.0 |
| 千葉県 | 22,312 | 2,400 | 31.6 |
| 茨城県 | 1,487 | 2,300 | 29.3 |
| 栃木県 | 893 | 1,800 | 24.4 |
| 群馬県 | 600 | 1,400 | 20.0 |
茨城の中央値2,300万円は、千葉の2,400万円の95.8%とほぼ肩を並べますが、m²単価で見ると29.3万円/m²は東京の82.9万円/m²の35.3%です。総額では千葉に近くても、単価では首都圏の3分の1水準に留まります。これは茨城のマンションが専有面積が大きい(中央値80㎡)ことが一因です。茨城のm²単価は全国42.5万円/m²の68.9%で、総額の全国比79.3%を下回ります。
関東7県の中で茨城は「東京通勤圏の南部(つくばエクスプレス沿線)と、県央・県北の地方都市が混在する」二重構造を持っており、これが次節の市別格差として現れます。
市別の相場 — つくば・守谷が高く、南部が安い
茨城内の市別相場は、2,000万円以上の開きがあります。N数が20件以上の9市を総額中央値順に並べると、地域ごとの濃淡が鮮明です。
| 市 | N | 中央値(万円) | P25(万円) | m²単価(万円/m²) |
|---|---|---|---|---|
| つくば市 | 407 | 3,700 | 2,818 | 41.1 |
| 守谷市 | 156 | 3,700 | 3,200 | 45.0 |
| つくばみらい市 | 86 | 2,700 | 2,400 | 37.3 |
| 水戸市 | 169 | 2,100 | 1,263 | 25.9 |
| 牛久市 | 86 | 2,100 | 1,600 | 28.0 |
| 古河市 | 104 | 1,700 | 850 | 22.7 |
| 土浦市 | 90 | 1,350 | 700 | 18.1 |
| 取手市 | 275 | 700 | 416 | 11.1 |
| 龍ケ崎市 | 49 | 600 | 480 | 8.4 |
県内最高水準はつくば市と守谷市で、いずれも総額中央値3,700万円です。とりわけ守谷市はm²単価45.0万円/m²で県内最高、つくば市の41.1万円/m²が続きます。両市はつくばエクスプレス(TX)沿線で東京通勤圏にあり、研究学園都市としての需要が単価を押し上げています。つくばみらい市(2,700万円・37.3万円/m²)もTX沿線の開発エリアで同様の傾向です。
一方、県央の水戸市(県庁所在地・2,100万円)や牛久市(2,100万円)は、県全体の中央値に近い水準です。古河市(1,700万円)は東北本線沿線で埼玉・栃木県境に位置します。
際立って安いのは取手市(700万円・11.1万円/m²)と龍ケ崎市(600万円・8.4万円/m²)です。両市は県南東部で、守谷市の45.0万円/m²に対し龍ケ崎市は8.4万円/m²——m²単価で5.4倍の開きがあります。取手市はN=275件とデータが厚く、安価な物件の取引が集中している実態を反映しています。茨城内の「高単価のTX沿線」と「低単価の県南東部」の二極構造が、この5.4倍という差に表れています。
築年が進むと価格はどう変わるか
茨城の中古マンションは、築年が進むほど価格が急激に下落します。築年別に中央値とm²単価を追うと、鮮明な減衰カーブが見えます。
| 築年帯 | N | 中央値(万円) | P25(万円) | m²単価(万円/m²) |
|---|---|---|---|---|
| 0-5年 | 148 | 4,200 | 3,600 | 50.0 |
| 6-10年 | 223 | 3,800 | 3,000 | 44.4 |
| 11-20年 | 562 | 2,600 | 2,000 | 32.3 |
| 21-30年 | 268 | 1,200 | 777 | 16.0 |
| 31年超 | 286 | 525 | 350 | 8.3 |
築0-5年の中央値4,200万円から、築31年超では525万円まで下がります。これは総額で87.5%の下落です。m²単価でも築0-5年の50.0万円/m²から築31年超の8.3万円/m²まで83.4%下落します。取引の中心は築11-20年(N=562件)で、中央値2,600万円・m²単価32.3万円/m²です。茨城では築20年を超えると1,000万円台に、築30年を超えると500万円台に落ち込みます。
築31年超のP25は350万円で、築0-5年中央値4,200万円の8.3%に相当します。中古マンションは築年が進むほど修繕費用や設備更新の負担が大きくなり、価格に反映される構造です。この下落カーブは売却タイミングを検討する上で重要な参照点になります。
専有面積別の相場
面積別に見ると、茨城では70〜90㎡クラスが取引の主流です。
| 面積帯 | N | 中央値(万円) | m²単価(万円/m²) |
|---|---|---|---|
| 70〜90㎡ | 793 | 2,400 | 30.6 |
| 90㎡〜 | 357 | 3,700 | 38.9 |
| 50〜70㎡ | 311 | 680 | 11.1 |
| 〜50㎡ | 26 | 325 | 10.0 |
793件(全体の53%)を占める70〜90㎡クラスの中央値は2,400万円で、県全体の中央値2,300万円とほぼ一致します。90㎡超のファミリータイプは3,700万円まで跳ね上がります。一方、50〜70㎡クラス(680万円)と〜50㎡(325万円)は、築年が古いか駅から離れた小型物件が中心で、単価も10万円/m²台前半に留まります。面積と築年・立地が複合して価格を形作っていることがわかります。
年次推移 — 2024年にピーク、2025年は小幅調整
2021年から2025年の年次推移を見ると、茨城の中古マンション相場は緩やかな上昇傾向にあります。
| 年 | N | 中央値(万円) | P25(万円) | P75(万円) |
|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 299 | 2,100 | 915 | 3,177 |
| 2022年 | 264 | 2,200 | 878 | 3,467 |
| 2023年 | 294 | 2,200 | 1,114 | 3,486 |
| 2024年 | 287 | 2,800 | — | 4,000 |
| 2025年 | 343 | 2,300 | 992 | 3,700 |
中央値は2021年の2,100万円から2025年の2,300万円まで9.5%上昇しました。特に2024年は中央値2,800万円・P75が4,000万円に達し、期間内のピークを記録しました。2025年は2,300万円に小幅調整していますが、P75は3,700万円を維持しており、高価格帯の取引は底堅く推移しています。なお、年次データの件数は年間264〜343件と限られるため、一部の高額取引が中央値を押し上げる影響に留意が必要です。
相場を読むポイント
茨城のマンション相場は、3つの軸で整理できます。第一に地域差です。TX沿線のつくば・守谷(3,700万円台・単価40万円/m²超)と、県南東部の取手・龍ケ崎(600〜700万円台・単価10万円/m²未満)で、単価に5倍以上の開きがあります。第二に築年です。築0-5年の4,200万円から築31年超の525万円まで、87.5%の下落カーブが存在します。第三に面積です。70〜90㎡が主流(2,400万円)で、90㎡超は3,700万円、小型の50〜70㎡は680万円です。
全国比で見ると、茨城の総額中央値は79.3%、m²単価は68.9%の水準です。関東7県では千葉に近く栃木・群馬より高い「首都圏最外殻」の位置付けで、東京通勤圏の需要と地方都市の実態が混在します。これらの数値は成約データ(2021Q1〜2025Q4・1,487件)に基づく客観的な分布であり、実際の取引価格の参照点として活用できます。
査定や売買を検討する際は、自分の物件の市・築年・面積がこの分布のどこに位置するかを確認することが出発点になります。本記事の数値は成約価格であり、業者買取価格そのものではありません。より精度の高い査定には、個別物件の条件(階層・方位・設備・管理状況等)を加味した専門家の判断が必要です。