群馬県中古マンションは築年で85%下落する
結論から言うと、群馬県中古マンションの成約価格中央値は1,400万円です。 これは全国の成約中央値2,900万円のほぼ半値にあたり、北関東3県(茨城・栃木・群馬)のなかでは群馬が最も安い水準です。そして群馬県のマンション価格を決める最大の要因は築年です。築0-5年の新しいうちは4,000万円台ですが、築31年を超えると580万円まで下がり、築年だけで85.5%も下落します。
本記事は国土交通省「不動産取引価格情報」のうちREINSから毎週公表される成約価格情報(中古マンション等・群馬県・2021〜2025年・N=600)を集計し、築年別・市区町村別・年次推移の3軸で群馬県のマンション相場を読み解きます。ここで言う「相場」とは実際に売買が成立した成約価格の中央値であり、売り出し価格ではありません——売り出し価格は値下げ交渉を見込んで高めに設定されることが多く、成約価格のほうが実態に近いからです。
全国・北関東のなかでの群馬
まず群馬県のマンション相場が全国の中でどこに位置するかを整理します。全国成約中央値は2,900万円(m²単価42.5万円/m²・N=363,737)です。群馬県の1,400万円は総額で48.3%、m²単価(20.0万円/m²)で47.1%——いずれも全国の半分程度です。
| エリア | 総額中央値 | m²単価 | N | 中央築年 |
|---|---|---|---|---|
| 全国 | 2,900万円 | 42.5万円/m² | 363,737 | — |
| 埼玉県 | 2,500万円 | 36.0万円/m² | 21,567 | 25年 |
| 茨城県 | 2,300万円 | 29.3万円/m² | 1,487 | 17年 |
| 栃木県 | 1,800万円 | 24.4万円/m² | 893 | 21年 |
| 群馬県 | 1,400万円 | 20.0万円/m² | 600 | 28年 |
北関東3県で比べると、茨城2,300万円・栃木1,800万円・群馬1,400万円の順で、群馬が最安です。隣接する埼玉県2,500万円(N=21,567)との差も1,100万円開きます。群馬県の成約単価が低い理由は二つあります。第一に、県内のマンション供給が高崎・前橋の2市に集中し、首都圏のような超高単価エリアがないこと。第二に、群馬県の成約物件は中央築年28年と古く、築年が進んだ物件の割合が高いことです。後者は本記事の主題である築年問題に直結します。
築年でここまで変わる — 85.5%の下落カーブ
群馬県中古マンションの価格を決める最大の要因は築年です。成約時の築年(成約年から建築年を引いた年数)で6つのバンドに分け、成約価格中央値を見ると、年数が経つほど単調に下落する明確なカーブが描けます。
| 築年帯 | 総額中央値 | m²単価 | N |
|---|---|---|---|
| 0-5年 | 4,000万円 | 56.8万円/m² | 50 |
| 6-10年 | 3,400万円 | 43.0万円/m² | 30 |
| 11-15年 | 2,600万円 | 31.3万円/m² | 74 |
| 16-20年 | 2,300万円 | 30.0万円/m² | 97 |
| 21-30年 | 1,050万円 | 15.4万円/m² | 120 |
| 31年超 | 580万円 | 10.5万円/m² | 229 |
築0-5年の中古マンションは4,000万円ですが、築31年を超えると580万円まで下がります。下落幅は-3,420万円、率にして**-85.5%**です。価格が6.9分の1になる計算です。m²単価で見ても56.8万円/m²から10.5万円/m²へ-81.5%下落し、坪単価で見ても同様の傾向です。
特筆すべきは下落テンポが築年によって違う点です。築10年までは4,000万→3,400万円と比較的保ちますが、築20年を過ぎると2,300万円、築30年で1,050万円と加速的に下がります。これは建物の物理的劣化に加え、大規模修繕の時期・住宅ローン残存年数の制約・設備の陳腐化が重なるためです。築21-30年で1,050万円・築31年超で580万円という数字は、修繕積立金の上昇や住み替え需要の減少が価格に反映された結果と考えられます。
なお、件数(N)の内訳を見ると築31年超が229件と最多で、群馬県の中古マンション市場では築古物件が中心です。これは群馬県のマンション供給が1980〜90年代のバブル期〜その前後に偏っていることを示唆し、購入希望者が「新しさ」より「価格の安さ」を優先する市場構造になっています。売り手にとって「築何年で売るか」は価格に直結します——築20年を超えると下落が加速するため、売却を検討するなら早い段階のほうが有利な条件になりやすいと言えます。
県内の2極構造 — 高崎市と前橋市
群馬県内のマンション成約は高崎市と前橋市に集中しています。2市合わせて450件で、県全体600件の75%を占めます。そしてこの2市の価格水準には明確な差があります。
| 市区町村 | 総額中央値 | m²単価 | N | 中央築年 |
|---|---|---|---|---|
| 高崎市 | 2,500万円 | 31.4万円/m² | 281 | 20年 |
| 前橋市 | 1,500万円 | 21.1万円/m² | 169 | 20年 |
| 太田市 | 650万円 | 12.0万円/m² | 23 | 31年 |
| 吾妻郡長野原町 | 460万円 | 9.0万円/m² | 39 | 32年 |
| 吾妻郡嬬恋村 | 250万円 | 5.5万円/m² | 28 | 30年 |
高崎市は2,500万円(m²単価31.4万円/m²・N=281)で県内最高水準、前橋市は1,500万円(21.1万円/m²・N=169)です。高崎市は前橋市の1.67倍(166.7%)の価格水準で、同じ群馬県内でも高崎と前橋で1,000万円の開きがあります。両市とも中央築年は20年で同程度ですが、高崎市のほうが駅周辺の再開発や商業集積が進み単価が支えられていると考えられます。
一方、太田市650万円(N=23)・吾妻郡長野原町460万円(N=39)・吾妻郡嬬恋村250万円(N=28)は価格帯が大きく下がります。特に嬬恋村の250万円(m²単価5.5万円/m²)はリゾートマンション・別荘系の取引が中心で、居住用マンションとは市場性質が異なります。群馬県でマンション相場を調べる場合は、こうしたリゾート物件を居住用の相場比較に混入しない注意が必要です。
高崎と前橋の築年別 — カーブは一致する
県内2大都市の築年別カーブを比べると、両市とも群馬県全体と同じ下落パターンをたどります。
高崎市は築0-5年4,150万円(57.1万円/m²・N=38)から、築31年超830万円(15.1万円/m²・N=83)まで下落し、下落率は-80.0%です。前橋市は築0-5年4,000万円(53.8万円/m²・N=11)から、築31年超650万円(12.2万円/m²・N=57)まで下落し、下落率は-83.8%です。
興味深いのは、新築時(築0-5年)の価格水準は両市でほぼ同じ4,000万円台であるのに対し、築31年超になると高崎市830万円・前橋市650万円と高崎市が割高を保つ点です。築年が進むにつれて高崎市の「立地価値」が相対的に残りやすいことがうかがえます。ただし前橋市の築0-5年はN=11と件数が少なく、この帯の中央値はばらつきを含むため参考値として扱う必要があります。
価格帯の広がりと四分位
群馬県中古マンション成約600件のばらつきを四分位で見ると、Q1(下位25%)=558万円・中央値1,400万円・Q3(上位25%)=2,800万円・P10(下位10%)=270万円です。つまり成約物件の下位10%は270万円以下、上位25%は2,800万円を超えます。
この価格帯の広がりは、築年とエリアの組合せで説明できます。築0-5年の高崎市であれば4,000万円台(4,150万円)に乗りますが、築31年超の郊外・リゾート系であれば580万円以下、嬬恋村クラスになると250万円台まで下がります。約7倍の価格差が同じ群馬県内の中古マンション成約に存在します。売却査定を依頼する際は、自分の物件が「どの築年帯・どのエリア」に属するかを先に特定することが、適正価格を見極める第一歩です。
相場は上がっているのか — 直近5年の推移
直近5年間の推移を見ると、群馬県中古マンション相場は上昇基調にあります。
| 年 | 総額中央値 | m²単価 | N |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 1,500万円 | 20.0万円/m² | 97 |
| 2022年 | 1,100万円 | 18.3万円/m² | 107 |
| 2023年 | 1,150万円 | 17.8万円/m² | 102 |
| 2024年 | 1,500万円 | 20.0万円/m² | 124 |
| 2025年 | 1,750万円 | 24.3万円/m² | 170 |
2021年1,500万円→2025年1,750万円で総額+16.7%、m²単価は20.0万円/m²→24.3万円/m²で+21.5%の上昇です。2025年はN=170と報告件数が増えており、直近の数字は相対的に信頼度が高いと言えます。
ただし2点の注意があります。第一に、2022-23年に1,100〜1,150万円へ一時下落した期間があり、右肩上がりではありません。この下落は年ごとの築年構成(古い物件の取引が増えた年かどうか)の影響を含むため、純粋な価格上昇・下落とは即断できません。第二に、上昇はあくまで過去の事実であって、将来の予測ではありません。 「今後も上がり続ける」「このまま1,750万円を超える」といった断定は避け、直近5年の方向感を参考程度に把握するのが安全です。
まとめ — 築年とエリアが2大決定要因
群馬県中古マンション相場の要点を整理します。
- 群馬県の成約中央値は1,400万円(全国2,900万円の48.3%)。北関東3県では最安。
- 築年で85.5%下落する。築0-5年4,000万円→築31年超580万円。m²単価も-81.5%。
- 下落は築20年超で加速する。築10年までは3,000万円台を保つが、21-30年で1,050万円、31年超で580万円に落ちる。
- 県内は高崎2,500万円・前橋1,500万円の2極。2市で県内成約の75%。高崎は前橋の1.67倍。
- 両市とも築年カーブは一致。高崎-80.0%・前橋-83.8%。新築時は同水準だが築31年超で高崎が割高。
- 価格帯は約7倍広がる。Q1=558万・中央1,400万・Q3=2,800万円。
- 直近5年は+16.7%上昇(2021→2025)。ただし2022-23年に一時下落あり、上昇は過去の事実。
群馬県でマンションの売買・査定を考える場合、まず自分の物件の築年帯を特定し、本記事の築年別中央値(fact 3・4)と照らし合わせるのが実用的な第一步です。次に、高崎市か前橋市か、あるいは郊外・リゾートエリアかでエリア係数を掛け合わせます。築年とエリア——この2つが群馬県中古マンションの価格を決める最大の要因です。個別物件の正確な査定は、立地・階数・方角・設備・修繕履歴などを含めて不動産会社に依頼する必要がありますが、本記事の集計値はその際の客観的な参照基准として使えます。
本記事の数値はすべて国土交通省「不動産取引価格情報」の成約価格情報(中古マンション等・群馬県・2021〜2025年・N=600)のDuckDB集計結果に基づきます。価格は中央値、築年は成約年から建築年を引いた年数です。将来の価格変動を保証するものではありません。