T-009

マンションの構造 RCとSRCで資産価値は違うのか — 築41年超で起きる「反転」を成約データで検証

国土交通省の成約価格データ(2005年第1四半期〜2025年第4四半期・21年)で、中古マンションのRCとSRCを築年帯別に坪単価中央値で比較。新築域では両者は近く、築年を重ねると一旦は下落曲線が並走するが、築41年超でSRCだけが反転上昇する。ただしSRCが高いのは構造の差だけでなく生き残りバイアスの影響も含む。

更新: 2026-07-06

このレポートの要点

  • 奈良県+116.7%

    41年超 SRCプレミアムが最大の都道府県は奈良県で +116.7%

    N=601 / SRC件数84
  • 大阪府+44.4%

    41年超 SRCプレミアムは大阪府で +44.4%

    N=5,238 / SRC件数6,514
  • 沖縄県-28.5%

    41年超 都道府県ペアでRCが唯一勝った(SRCが安い)のは沖縄県で −28.5%。ただしNは小さい(RC=43 / SRC=36)

    N=43 / SRC件数36
  • 東京都

    41年超 SRC の坪単価中央値が最も高いのは東京都で 209.4万円/坪

    N=10,195

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マンションの構造 RCとSRCの違い

中古マンション選びで「RC」「SRC」という表記を見かけることがあります。本稿で比較する両者の定義を先に示します。

  • RC(鉄筋コンクリート造): 鉄筋を組んだ上にコンクリートを流し込む構造。コンクリートが主役。
  • SRC(鉄骨鉄筋コンクリート造): 鉄骨の骨組み + 鉄筋 + コンクリートを組み合わせた構造。鉄骨で柱・梁を補強する。

一般的にSRCは高層物件や都市部の大型物件に使われる傾向があり、建設コストが高めとされます。ただし本稿が問うのは「構造そのものの優劣」ではなく、実際の成約データでRCとSRCの坪単価が築年とともにどう動くか、という一点です。構造の技術的な優劣を断定する立場にはありません。

集計の前提を先に示します。単位はすべて坪単価の中央値、価格100万円未満の取引は除外、構造はRCとSRCの2種のみ(鉄骨・木造等は少数で除外)、各粒度で N≥30 の組合せのみを採用しました。期間は2005年第1四半期〜2025年第4四半期(21年・82期)、中古マンション等限定です。

データから見る構造別の坪単価 — 新築ではほぼ同じに見える

成約データで構造別の構成比を見ると、RCが 75.6%(N=271417)、SRCが 23.4%(N=83874)です。市場の大半はRCで、SRCは少数派です。

構造 構成比 N
RC(鉄筋コンクリート) 75.6% N=271417
SRC(鉄骨鉄筋コンクリート) 23.4% N=83874

次に新築域(築0-10年)の坪単価中央値を並べます(単位: 万円/坪)。

構造 築0-10年の坪単価中央値 N
RC 255.6 N=54713
SRC 283.4 N=656

SRCの方が 283.4 と高い数字が出ますが、SRCの新築域 N=656 は少数です。RCとSRCの新築時の価格帯は近接しており、築浅の段階では構造による大きな差はデータからは見えません。

減価カーブの違い — 築年を重ねるとRCとSRCで何が起きるか

築年を重ねると、両者とも坪単価中央値は下落します。RCとSRCの坪単価中央値を築年帯別に並べます(単位: 万円/坪)。

築年帯 RC 坪単価中央値 RC N SRC 坪単価中央値 SRC N
築0-10年 255.6 N=54713 283.4 N=656
築11-20年 190.6 N=76009 188.9 N=4285
築21-30年 132.2 N=58010 143.3 N=27540
築31-40年 74.4 N=38015 79.3 N=21674
築41年超 60.6 N=43997 99.2 N=29385

新築時の水準を100とした「残価率」で形状を見ると、減価カーブの違いがくっきり出ます。

築年帯 RC 残価率 SRC 残価率
築0-10年 100 100
築11-20年 74.5 66.7
築21-30年 51.7 50.6
築31-40年 29.1 28.0
築41年超 23.7 35.0

築0-10年から築31-40年までは、RCとSRCの残価率はほぼ並走します(むしろ築11-20年〜31-40年ではSRCの方がわずかに下)。ここまでは「構造で減価の速さが大きく違う」とは言えません。

築41年超で起きる「SRCの反転」 — データが示す結果

曲線がはっきり分かれるのは築41年超です。

  • SRC: 築31-40年の 79.3 から、築41年超の 99.2 へ上昇(+25.2%、N=21674 → N=29385)。残価率は28.0から35.0へ跳ね上がります。
  • RC: 築31-40年の 74.4 から、築41年超の 60.6 へ下落(-18.5%、N=38015 → N=43997)。残価率は29.1から23.7へ、下落が継続します。

結果、築41年超での「SRCプレミアム」=(SRC坪単価 − RC坪単価)/ RC坪単価 は +63.6% に達します。新築域では両者の差は小さく、築31-40年でも数%の差だったものが、築41年超で一気に開く構造です。

地域ごとの頑健性も確認します。市×築年帯のペア(RC/SRC 各 N≥30)でSRCがRCより高い割合は 81.1%(N=530)。築41年超に絞って都道府県ペア(各 N≥30)で見ると 95.2%(N=21)と、ほぼ全県でSRCがRCを上回ります。

地域 築41年超 SRC坪単価中央値 築41年超 RC坪単価中央値 N
東京都 209.4 169.0 SRC N=10195 / RC N=10539

東京都ではSRCが 209.4、RCが 169.0 と、首都圏でも差が開きます。奈良県ではSRCプレミアムが +116.7%(RC N=601 / SRC N=84)、大阪府で +44.4%(RC N=5238 / SRC N=6514)と、関西圏で差が大きい傾向が見えます。

唯一、RCがSRCを上回ったのは沖縄県で -28.5%(RC N=43 / SRC N=36)ですが、こちらはNが小さく(各 N≥30 を満たす程度)、安定した読み方は控えます。

生き残りバイアスについて — なぜSRCが高いのか、構造の差だけではない

ここで誠実な注記を挟みます。「SRCの坪単価が築古で高い」を、ただちに「SRCが構造として優れるから」と結びつけるのはデータの読み過ぎです。理由は次のとおりです。

  • SRCは残る物件に使われやすい: SRCは元々、都心の大型・高層物件など、立地や規模の良い物件に採用される傾向があります。築40年を超えても取引される=「市場に生き残る」のは、もともと資産性の高い物件が多く、構造だけの効果とは切れません。
  • 取り壊し選別(生き残りバイアス): 築41年超で成約データに残っている物件は、取り壊されずに市場に出品された「生き残り」です。資産価値が低いと判断された物件は売却されずに解体 etc. で市場から消え、データに現れません。SRCで建てられた物件にこの「生き残り」が偏っていれば、SRCの坪単価中央値は見かけ上高くなります。

つまり本稿の数字が示しているのは「SRCで建てられた建物に、築古でも資産価値の持続性が見られる(データ上)」という事実であって、「SRCの構造そのものが資産価値を生む」という因果ではありません。立地・規模・維持管理状態などの交絡が分離できていません。

この点を踏まえても、築41年超でSRCの残価率が28.0から35.0へ反転する構造はデータ上の事実であり、中古マンション選びの参考材料としては意味を持ちます。

中古マンション選びの実務 — このデータをどう使うか

本稿の数字はすべて過去データの構造であり、個別物件の成約価格を約束するものではありません。ただ、データから読める点を整理します。

  1. 築浅では構造の差は小さい: 築0-10年〜31-40年では、RCとSRCの坪単価中央値は近接・並走。新築時の構造選びだけで資産価値を語る根拠は薄い。
  2. 築41年超で曲線が分かれる: SRCだけが反転上昇(+25.2%)、RCは下落継続(-18.5%)。ただし生き残りバイアスの影響を含む。
  3. 地域ごとに確認する: 都道府県ペアでSRC優位は95.2%(N=21)と頑健だが、沖縄などNの小さい地域では逆転もありうる。

築古の中古マンションを検討する際は、構造だけでなく立地・管理状態・修繕履歴を含めて判断することが実務上の基本です。構造別の傾向は、複数の比較軸のうちの一つとして参照するのが妥当な位置づけです。

ご自身の物件(RC・SRC問わず)の築年と立地を踏まえた価格見立てを知りたい場合は、無料査定を依頼 からご相談ください。物件ごとの条件で、成約データに基づく目安をお出しできます。また、地域別の値下がり構造を確認したい場合は、値下げマップ(T-001) もご参照ください。

集計条件: 出典=国土交通省「不動産取引価格情報・成約価格情報」/期間=2005年第1四半期〜2025年第4四半期(21年・82期)/種別=中古マンション等(戸建て・宅地は除外)/price_category=成約価格情報のみ/単位=坪単価の中央値/価格100万円未満は除外/構造=RCとSRCの2種のみ/築年帯=築0-10年・11-20年・21-30年・31-40年・41年超(2025年基準)/残価率(%)=当該築年帯の坪単価中央値 / 新築(0-10年)の坪単価中央値 × 100/SRCプレミアム(%)=(SRC坪単価中央値 − RC坪単価中央値) / RC坪単価中央値 × 100/building_year は パースバグ修正後の正(西暦)/各粒度で N≥30 の組合せのみを採用。

出典: 国土交通省 不動産取引価格情報・成約価格情報

検証済みファクト

F-2-1

  • #1マンション成約 RCマンション成約におけるRC(鉄筋コンクリート)の構成比は 75.6%
    +75.6%(構成比)N=271,417

    条件: 中古マンション等・成約・structure=RC

  • #2マンション成約 SRCマンション成約におけるSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)の構成比は 23.4%
    +23.4%(構成比)N=83,874

    条件: 中古マンション等・成約・structure=SRC

F-2-2

  • #3RC 築0-10年RC 築0-10年(新築域)の坪単価中央値は 255.6万円/坪
    255.6円(坪単価中央値)N=54,713

    条件: RC・築0-10年・成約

  • #4RC 築11-20年RC 築11-20年の坪単価中央値は 190.6万円/坪
    190.6円(坪単価中央値)N=76,009

    条件: RC・築11-20年・成約

  • #5RC 築21-30年RC 築21-30年の坪単価中央値は 132.2万円/坪
    132.2円(坪単価中央値)N=58,010

    条件: RC・築21-30年・成約

  • #6RC 築31-40年RC 築31-40年の坪単価中央値は 74.4万円/坪
    74.4円(坪単価中央値)N=38,015

    条件: RC・築31-40年・成約

  • #7RC 築41年超RC 築41年超の坪単価中央値は 60.6万円/坪
    60.6円(坪単価中央値)N=43,997

    条件: RC・築41年超・成約

  • #8SRC 築0-10年SRC 築0-10年(新築域)の坪単価中央値は 283.4万円/坪
    283.4円(坪単価中央値)N=656

    条件: SRC・築0-10年・成約

  • #9SRC 築11-20年SRC 築11-20年の坪単価中央値は 188.9万円/坪
    188.9円(坪単価中央値)N=4,285

    条件: SRC・築11-20年・成約

  • #10SRC 築21-30年SRC 築21-30年の坪単価中央値は 143.3万円/坪
    143.3円(坪単価中央値)N=27,540

    条件: SRC・築21-30年・成約

  • #11SRC 築31-40年SRC 築31-40年の坪単価中央値は 79.3万円/坪
    79.3円(坪単価中央値)N=21,674

    条件: SRC・築31-40年・成約

  • #12SRC 築41年超SRC 築41年超の坪単価中央値は 99.2万円/坪
    99.2円(坪単価中央値)N=29,385

    条件: SRC・築41年超・成約

F-2-3

  • #13RC 残価率RCの残価率(新築=100)は築年帯順に 100→74.5→51.7→29.1→23.7(41年超で新築比23.7%)
    +23.7%(41年超の残価率)

    条件: RC・0-10y/11-20y/21-30y/31-40y/41y+

  • #14SRC 残価率SRCの残価率(新築=100)は築年帯順に 100→66.7→50.6→28.0→35.0(41年超で新築比35.0%)
    +35%(41年超の残価率)

    条件: SRC・0-10y/11-20y/21-30y/31-40y/41y+

  • #15SRCプレミアムSRCプレミアム(SRC坪単価−RC坪単価)/RC は築年帯順に +10.8% / −0.9% / +8.3% / +6.7% / +63.6%(41年超で最大+63.6%)
    +63.6%(41年超のSRCプレミアム)

    条件: 0-10y/11-20y/21-30y/31-40y/41y+

F-2-4

  • #16SRC 41年超の反転上昇SRCは築41年超で反転上昇し、31-40年の79.3万円/坪から41年超の99.2万円/坪へ上昇(+25.2%)
    +25.2%(31-40y→41y+の上昇率)N=21,674 / 41年超件数29,385

    条件: SRC・31-40y/41y+

  • #17RC 41年超の下落継続RCは築41年超でも下落が続き、31-40年の74.4万円/坪から41年超の60.6万円/坪へ下落(−18.5%)
    -18.5%(31-40y→41y+の下落率)N=38,015 / 41年超件数43,997

    条件: RC・31-40y/41y+

F-2-5

  • #18市×築年帯ペア SRC優位市×築年帯ペア(N≥30 各)でSRCがRCより高いのは 81.1%(430/530組)。平均+11.1%
    +81.1%(SRC優位の割合)N=530

    条件: RC/SRC 各N≥30 の市×築年帯ペア・構成バイアス排除

  • #1941年超 都道府県ペア SRC優位41年超の都道府県ペア(N≥30 各)でSRCがRCより高いのは 95.2%(20/21県)
    +95.2%(SRC優位の割合)N=21

    条件: RC/SRC 各N≥30 の41年超都道府県ペア

  • #20東京都41年超 SRC の坪単価中央値が最も高いのは東京都で 209.4万円/坪
    209.4円(坪単価中央値)N=10,195

    条件: 東京都・SRC・築41年超

  • #21東京都41年超 RC の坪単価中央値が最も高いのは東京都で 169.0万円/坪
    169円(坪単価中央値)N=10,539

    条件: 東京都・RC・築41年超

  • #22奈良県41年超 SRCプレミアムが最大の都道府県は奈良県で +116.7%
    +116.7%(SRCプレミアム)N=601 / SRC件数84

    条件: 奈良県・41年超・各N≥30

  • #23大阪府41年超 SRCプレミアムは大阪府で +44.4%
    +44.4%(SRCプレミアム)N=5,238 / SRC件数6,514

    条件: 大阪府・41年超・各N≥30

  • #24沖縄県41年超 都道府県ペアでRCが唯一勝った(SRCが安い)のは沖縄県で −28.5%。ただしNは小さい(RC=43 / SRC=36)
    -28.5%(SRCプレミアム(負))N=43 / SRC件数36

    条件: 沖縄県・41年超・N小

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データ出典・集計条件

国土交通省 不動産情報ライブラリを確認
データ期間:
2005年 Q12025年 Q4
更新日:
2026-07-06
出典SQL:
queries/T-009.sql
集計条件:
  • 出典: 国土交通省 不動産取引価格情報・成約価格情報
  • 期間: 2005年第1四半期〜2025年第4四半期(21年・82期)
  • 種別: 中古マンション等(戸建て・宅地は除外)
  • price_category: 成約価格情報のみ(楔1)
  • building_year は 2026-07-03 パースバグ修正後の正(西暦)
  • 坪単価(tsubo_price)で面積正規化・価格100万円未満は除外
  • 構造は RC(鉄筋コンクリート)と SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)の2種のみ(鉄骨・木造等は少数で除外)
  • 築年帯: 築0-10年 / 11-20年 / 21-30年 / 31-40年 / 41年超(2025年基準)
  • 残価率(%) = 当該築年帯の坪単価中央値 / 新築(0-10年)の坪単価中央値 × 100
  • SRCプレミアム(%) = (SRC坪単価中央値 − RC坪単価中央値) / RC坪単価中央値 × 100