基準地価と公示地価はどう違うか — まず結論
土地の価格を調べると「公示地価」と「基準地価」という2つの数字が出てきます。基準地価(きじゅんちか)は各都道府県が毎年7月に発表する1㎡あたりの評価額で、公示地価(こうじちか)は国土交通省が1月に発表する評価額です。2024年時点で全国41,416地点の地価データが公表されており、このうち基準地価は15,422地点(37.2%)、公示地価は25,994地点(62.8%)を占めます。基準地価は公示地価がカバーしない地域を補完し、住宅地の中央値は64,700円/㎡で公示地価83,500円/㎡より2割強安く設定される傾向があります。
基準地価と公示地価は何が違うのか
2つの制度の違いを整理します。どちらも1㎡あたりの円単価(円/㎡)で表記されますが、発表主体と時期が違います。
公示地価(地価公示) は国土交通省が土地鑑定委員会を通じて毎年1月に発表します。全国25,994地点(2024年)が対象で、1月1日時点の価格として公表されます。固定資産税や相続税の基準、土地取引の指標として使われます。
基準地価(基準地価標準地) は各都道府県が毎年7月に発表します。全国15,422地点が対象で、公示地価を補完し、公示地価が設定されていない地域の価格動向を把握するために設けられています。7月1日時点の価格です。
実務上の違いは時点です。公示地価は年初、基準地価は半年後の7月の評価です。地価が動く時期には、両者の間に半年分の価格変動が反映されます。土地を調べる際は、評価時点が1月か7月かを確認することが、正確な価格をつかむ第一歩になります。
基準地価は全国15,422地点 — 用途別の内訳
基準地価の15,422地点を用途別に見ると、公示地価とは違う構成が見えます。
| 用途 | 基準地価 地点数 | 基準地価 中央値 | 公示地価 中央値 |
|---|---|---|---|
| 住宅地 | 9,117 | 64,700円/㎡ | 83,500円/㎡ |
| その他 | 5,705 | 10,900円/㎡ | 17,650円/㎡ |
| 商業地 | 311 | 1,330,000円/㎡ | 185,000円/㎡ |
| 工業地 | 289 | 102,000円/㎡ | 70,800円/㎡ |
(単位: 円/㎡・中央値・2024年)
基準地価は住宅地9,117地点が中心ですが、「その他」が5,705地点と多く、公示地価(2,604地点)より手広く地方の用地を拾っています。その分、住宅地の中央値は64,700円/㎡と公示地価83,500円/㎡より低くなります。
基準地価の商業地は大都市に偏在する
最も注意が必要なのは商業地です。基準地価の商業地は全国でわずか311地点しかありません。しかも東京に集中しています。
| 都道府県 | 基準地価 商業地 地点数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 東京都 | 129 | 2,570,000円/㎡ |
| 京都府 | 18 | 1,560,000円/㎡ |
| 大阪府 | 42 | 1,470,000円/㎡ |
| 福岡県 | 13 | 1,270,000円/㎡ |
東京都だけで311地点中129地点、41.5%を占めます。中央値2,570,000円/㎡は公示地価の商業地中央値185,000円/㎡の14倍です。基準地価の商業地中央値が1,330,000円/㎡と飛び抜けて高いのは、銀座のような大都市の中心商業地に標準地が偏って設定されているためです。
基準地価の商業地は「全国の商業地の平均像」を表す数字ではありません。大都市の商業集積地の評価額と読むのが正確です。全国最高は東京都中央区銀座2丁目の42,100,000円/㎡(1㎡あたり4,210万円)です。一方、基準地価全体の最低は北海道平取町の680円/㎡です。
基準地価の都道府県ランキング — 東京は北海道の20倍
住宅地に絞って都道府県別の基準地価を見ると、三大都市圏と地方の格差が浮かびます。
| 都道府県 | 基準地価 住宅地 中央値 | N |
|---|---|---|
| 東京都 | 325,000円/㎡ | 681 |
| 神奈川県 | 189,000円/㎡ | 590 |
| 大阪府 | 154,000円/㎡ | 444 |
| 京都府 | 122,000円/㎡ | 191 |
| 埼玉県 | 121,000円/㎡ | 507 |
下位はこうです。
| 都道府県 | 基準地価 住宅地 中央値 | N |
|---|---|---|
| 北海道 | 16,000円/㎡ | 473 |
| 秋田県 | 17,500円/㎡ | 97 |
| 青森県 | 19,500円/㎡ | 141 |
東京都の325,000円/㎡は北海道16,000円/㎡の20.3倍です。30坪(約100㎡)の土地なら、東京で約3,250万円、北海道で約160万円が基準地価の目安です。
同じ県でも基準地価と公示地価は違う
ここがこの記事の核心です。同じ都道府県・同じ住宅地で、公示地価と基準地価を正面比較しました。
47都道府県のうち32県で公示地価が基準地価より高く、15県では逆に基準地価が高くなります。 中央値の差は+4.5%で、公示地価がわずかに高い傾向にありますが、県によって方向が分かれます。
差が大きい(公示地価が高い)のは地方です。
| 都道府県 | 公示地価 | 基準地価 | 差 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 31,250円/㎡ | 16,000円/㎡ | +95.3% |
| 秋田県 | 24,500円/㎡ | 17,500円/㎡ | +40.0% |
| 宮城県 | 77,500円/㎡ | 55,750円/㎡ | +39.0% |
北海道では公示地価が基準地価の約2倍です。これは基準地価の地点が公示地価より地方・郊外寄りを補完しているためと考えられます。逆に、基準地価が公示地価を上回るのは関西を中心とした15県です。
| 都道府県 | 公示地価 | 基準地価 | 差 |
|---|---|---|---|
| 和歌山県 | 46,300円/㎡ | 53,150円/㎡ | -12.9% |
| 香川県 | 39,000円/㎡ | 42,050円/㎡ | -7.3% |
| 大阪府 | 144,000円/㎡ | 154,000円/㎡ | -6.5% |
和歌山では基準地価が公示地価を13%上回ります。基準地価は7月評価なので、地価上昇期には半年前の公示地価より高く出る傾向があります。どちらが正しいというわけではなく、評価時点(1月か7月)と対象地点の違いがこのズレを生んでいます。
基準地価の価格帯分布 — 10万円/㎡未満が65%
基準地価の住宅地を価格帯別に見ると、全国の実像が見えます。
| 価格帯(円/㎡) | 割合 | N |
|---|---|---|
| 5-10万円(最多) | 24.6% | 2,240 |
| 10-20万円 | 19.7% | 1,793 |
| 1-3万円 | 19.1% | 1,741 |
| 3-5万円 | 18.5% | 1,685 |
| 20-50万円 | 12.5% | 1,142 |
最多は5-10万円/㎡(24.6%)です。10万円/㎡未満を累計すると65.3%(5,955地点)に達し、基準地価の住宅地は3分の2が10万円/㎡未満で設定されています。100万円/㎡超は0.4%(40地点)のみで、東京圏中心部に集中しています。
比較として、基準地価と公示地価の住宅地は物件特性がほぼ同じです。最寄り駅までの距離の中央値はどちらも1,200m、面積の中央値は200㎡(基準)と194㎡(公示)で共通です。基準地価は公示地価より地方寄りの地点を多く拾っている分、価格の中央値が下がります。
基準地価も公示地価も実際の取引より安い
基準地価も公示地価も「評価額」であって、実際の取引価格(成約価格)ではありません。市区町村別に成約データと地価を結び、住宅地で比較しました。
| 比較 | 乖離率中央値 | 成約が上回る市の割合 | 市数 |
|---|---|---|---|
| 成約 vs 基準地価 | +74.1% | 98.8% | 512市 |
| 成約 vs 公示地価 | +78.0% | 99.0% | 628市 |
(成約=宅地(土地と建物)の成約/㎡単価・地価=住宅地・成約N≥30・地価N≥5の市)
512市で比較すると、成約価格は基準地価を中央値+74.1%上回り、98.8%の市で成約が基準地価より高いことが分かります。公示地価でも+78.0%(99.0%)で、両者とも実際の取引価格を大きく下回ります。基準地価・公示地価は税務や評価の基準であり、取引価格の目安としては成約データを併せ見る必要があります。
基準地価と公示地価をどう使い分けるか
ここまでのデータが示すのは、基準地価と公示地価は「同じ1㎡単価でも、発表時点と対象地点が違うため、同じ県でも数%〜2倍の差が出る」ということです。評価時点が1月なら公示地価、7月なら基準地価を見る。実際の取引動向を知りたい場合は、どちらの地価でもなく成約データを参照します。
なお、基準地価も公示地価も標準地の評価額であり、個別の土地の正確な取引価格ではありません。接道、方位、地形、境界など物件ごとの条件は評価額に反映されません。保有する土地の現在価値を正確に知りたい場合は、無料査定を依頼からご相談ください。
集計条件: 出典=国土交通省「地価公示・基準地価標準地」(地価)/国土交通省「不動産取引価格情報・成約価格情報」(成約)/地価集計年=2024年/成約集計=全保有期間・type=宅地(土地と建物)/単位=円/㎡の中央値/current_price・unit_priceがNULLの行は除外/乖離率は成約N≥30・地価N≥5の市のみ(基準地価=512市・公示地価=628市)/N数は各欄に明記
出典: 国土交通省 地価公示・基準地価標準地、不動産取引価格情報