不動産価格今後どうなる — まず結論
不動産価格の今後は「全国一律に上がる・下がる」と見るより、物件種別・地域・築年に分けて判断するのが安全です。国土交通省の成約価格情報620,296件を集計すると、全国の成約価格中央値は2021年の2,600万円から2025年の3,000万円へ、+400万円(+15.4%)上昇しました。坪単価中央値も941,646円/坪から1,057,851円/坪へ+12.3%です。
ただし中身は一様ではありません。中古マンション等は坪単価+23.6%、宅地(土地と建物)は+18.7%。東京圏(1都3県)は成約価格中央値が3,400万円から3,900万円へ+14.7%上昇した一方、地方(その他)は2,100万円から2,300万円へ+9.5%でした。都道府県別では47都道府県中35都道府県が上昇、7県が横ばい、5県が下落しています。
2021〜2025年の成約価格は上昇した
まず全国の年次推移です。対象は成約価格情報のうち、中古マンション等と宅地(土地と建物)で、total_price と tsubo_price がある取引です。
| 年 | 成約価格中央値 | 坪単価中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 2,600万円 | 941,646円/坪 | 110,524 |
| 2022年 | 2,700万円 | 1,002,400円/坪 | 111,016 |
| 2023年 | 2,800万円 | 1,038,962円/坪 | 112,361 |
| 2024年 | 2,900万円 | 1,057,851円/坪 | 119,456 |
| 2025年 | 3,000万円 | 1,057,851円/坪 | 166,939 |
成約価格中央値は年ごとに切り上がり、2025年に3,000万円へ到達しました。2025年だけを見ると、第1四半期から第4四半期まで中央値はいずれも3,000万円です。N=41,248件、N=41,734件、N=41,110件、N=42,847件で、特定四半期だけの偏りではありません。
今後を見るうえで重要なのは、総額と坪単価の動きが同じではない点です。総額は+15.4%ですが、坪単価は+12.3%。総額だけを見て「相場が強い」と判断するのではなく、単位面積あたりの価格も合わせて確認する必要があります。
マンションと戸建てで上昇の中身が違う
同じ「不動産価格」でも、中古マンション等と宅地(土地と建物)では価格の上がり方が違います。
| 種別 | 2021年 | 2025年 | 変化率 | 坪単価変化 | N(2021→2025) |
|---|---|---|---|---|---|
| 中古マンション等 | 2,600万円 | 3,000万円 | +15.4% | +23.6% | 69,274→89,952 |
| 宅地(土地と建物) | 2,600万円 | 3,000万円 | +15.4% | +18.7% | 41,250→76,987 |
総額の変化率はどちらも+15.4%ですが、坪単価では中古マンション等の上昇が大きく、1,234,159円/坪から1,525,745円/坪へ上がっています。宅地(土地と建物)も606,059円/坪から719,494円/坪へ上昇しましたが、伸び率は中古マンション等を下回ります。
この差は、今後を考えるときの最初の分岐です。マンションを見ている人は坪単価の上昇を重く見る必要があります。戸建てを見ている人は、総額だけでなく土地と建物が一体になった取引として、地域差や築年の影響を分けて見る必要があります。
東京圏と地方は同じ動きではない
地域で分けると、価格の方向感はさらに変わります。東京圏(1都3県)と地方(その他)を比べると、どちらも上昇していますが、上昇幅と坪単価の動きが違います。
| 地域 | 2021年 | 2025年 | 変化率 | 坪単価変化率 | N(2021→2025) |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京圏(1都3県) | 3,400万円 | 3,900万円 | +14.7% | +10.5% | 51,147→82,216 |
| 地方(その他) | 2,100万円 | 2,300万円 | +9.5% | +2.3% | 59,377→84,723 |
東京圏は+500万円、地方は+200万円です。地方も総額は上がっていますが、坪単価の変化率は+2.3%にとどまります。今後の売却や購入を考えるなら、「全国では上昇」という一文で止めず、自分のエリアが東京圏型なのか、地方型なのかを確認する必要があります。
都道府県では上昇35・横ばい7・下落5
都道府県別に2021年と2025年を比較すると、47都道府県中35都道府県が上昇、7県が横ばい、5県が下落でした。成約価格変化率の中央値は+10.0%、坪単価変化率の中央値は+5.2%です。
| 区分 | 都道府県 | 2021年 | 2025年 | 変化率 | N(2021→2025) |
|---|---|---|---|---|---|
| 上昇上位 | 徳島県 | 1,300万円 | 2,000万円 | +53.8% | 101→235 |
| 上昇上位 | 香川県 | 1,000万円 | 1,500万円 | +50.0% | 161→282 |
| 上昇上位 | 岩手県 | 1,400万円 | 2,000万円 | +42.9% | 159→186 |
| 下落下位 | 和歌山県 | 1,500万円 | 980万円 | -34.7% | 379→565 |
| 下落下位 | 富山県 | 1,900万円 | 1,600万円 | -15.8% | 383→496 |
| 下落下位 | 岐阜県 | 1,700万円 | 1,600万円 | -5.9% | 449→650 |
上昇県が多い一方で、下落県もあります。特に都道府県単位では取引の構成が変わるため、上昇率や下落率だけを切り取るのは危険です。Nと対象年を確認し、同じ種別・同じ地域粒度で比較することが欠かせません。
築年で価格の土台が変わる
今後の価格を考えるとき、築年は避けて通れません。築年帯別に見ると、同じ種別でも価格水準が大きく異なります。
| 種別 | 築年帯 | 成約価格中央値 | 坪単価中央値 | N |
|---|---|---|---|---|
| 中古マンション等 | 築0-5年 | 5,100万円 | 2,644,628円/坪 | 30,169 |
| 中古マンション等 | 築31年超 | 1,400万円 | 760,331円/坪 | 126,754 |
| 宅地(土地と建物) | 築0-5年 | 3,500万円 | 929,193円/坪 | 72,389 |
| 宅地(土地と建物) | 築31年超 | 1,300万円 | 283,352円/坪 | 66,945 |
築浅と築古では、総額も坪単価も別の市場です。全国や都道府県の価格が上がっていても、自分の物件が築31年超なら築0-5年の相場をそのまま当てはめられません。逆に築浅物件では、地域全体より強い価格水準になることがあります。
今後を見るときの判断軸
不動産価格の今後を考えるなら、まず過去の成約データを条件別に分けることです。全国では2021年から2025年にかけて成約価格中央値が+15.4%、坪単価中央値が+12.3%上昇しました。しかし、その内訳は中古マンション等、宅地(土地と建物)、東京圏、地方、築年で分かれます。
売却を検討している人は、自分の物件を全国相場に直接重ねず、同じ種別・同じ地域・近い築年の成約データで見ることが重要です。購入を検討している人も、総額だけでなく坪単価と築年を確認すると、価格が高い理由や安い理由を切り分けやすくなります。
本記事の数値は実際の成約価格の中央値であり、個別物件の査定額ではありません。所有する不動産の現在価値を条件別に確認したい場合は、無料査定を依頼からご相談ください。
集計条件: 出典=国土交通省「不動産取引価格情報・成約価格情報」/集計期間=2021年第1四半期〜2025年第4四半期/対象=成約価格情報620,296件(中古マンション等372,202件・宅地(土地と建物)248,094件)/価格=total_price の中央値(万円換算)/坪単価=tsubo_price の中央値(円/坪)/total_price・tsubo_price がNULLの行は除外/都道府県別比較は両年N≥30/中央値のみ使用
出典: 国土交通省 不動産取引価格情報・成約価格情報