土地売却相場はいくらか — まず結論
「土地売却相場」を一言で表すと、全国の宅地(土地のみ)取引の坪単価中央値は**15.0万円/坪(総額1,200万円)**です。これは国土交通省「不動産取引価格情報」のtype='宅地(土地)'(土地のみの取引)、2020年第1四半期〜2025年第4四半期の454,424件を集計した結果です。
ただしこの「15.0万円/坪」は全国の中央値であり、地域によって極端に違います。東京都の坪単価中央値は1,500,000円/坪(5,200万円)である一方、秋田県は57,000円/坪(550万円)で、その差は約26.3倍です。土地売却相場を考えるとき、全国平均ではなく自分の地域・条件のデータを見ることが不可欠です。
また、直近6年間で土地相場は上昇しています。2020年の坪単価中央値140,000円/坪から2025年の180,000円/坪へ**+28.6%**上がりました。ただし上昇のペースは年によって異なり、2020〜2022年は横ばいだったのが2023年以降に加速し始めています。本稿はこの判断材料をデータで整理します。
土地相場の年次推移(2020〜2025年の6年間)
不動産取引価格情報の宅地(土地のみ)坪単価を年別に追うと、明確な上昇トレンドが読めます。
| 年 | N | 総額中央値 | 坪単価中央値 | 前年比(坪) |
|---|---|---|---|---|
| 2020年 | 51,930 | 1,100万円 | 140,000円/坪 | — |
| 2021年 | 99,387 | 1,100万円 | 140,000円/坪 | 0.0% |
| 2022年 | 88,210 | 1,200万円 | 140,000円/坪 | 0.0% |
| 2023年 | 81,243 | 1,300万円 | 150,000円/坪 | +7.1% |
| 2024年 | 79,301 | 1,300万円 | 160,000円/坪 | +6.7% |
| 2025年 | 54,353 | 1,400万円 | 180,000円/坪 | +12.5% |
2020年から2022年までは坪単価が140,000円/坪で完全に横ばいでした。総額中央値だけが1,100万円から1,200万円へ微増しています。しかし2023年に坪単価が150,000円/坪へ上がり、前年比+7.1%。2024年は160,000円/坪(+6.7%)、2025年は180,000円/坪(+12.5%)と、上昇ペースが年々加速しています。
2020年から2025年までの6年間で見ると、坪単価は140,000円/坪から180,000円/坪へ**+28.6%、総額は1,100万円から1,400万円へ+27.3%**上昇しました。土地相場が上昇傾向にあることはデータが示していますが、そのペースは最初の3年間がゼロ、後の3年間が一気に進んだという非対称な動きでした。2025年のNが54,353件と他の年より少ない(年途中のデータが含まれるため)点には注意が必要です。
2025年の四半期別で見る足元の相場感
2025年を四半期別に分解すると、年内の方向感が分かります。
| 2025年 | N | 総額中央値 | 坪単価中央値 |
|---|---|---|---|
| 第1四半期 | 18,333 | 1,400万円 | 180,000円/坪 |
| 第2四半期 | 17,142 | 1,400万円 | 180,000円/坪 |
| 第3四半期 | 13,505 | 1,400万円 | 190,000円/坪 |
| 第4四半期 | 5,373 | 1,400万円 | 200,000円/坪 |
総額中央値は四半期を通じて1,400万円で安定しています。一方、坪単価は第1・第2四半期が180,000円/坪、第3四半期が190,000円/坪、第4四半期が200,000円/坪と、年後半にかけて単調に上昇しています。ただし第4四半期はN=5,373件と少なく、サンプルの偏りが影響している可能性もあります。四半期ベースでは明確な下落基調は見えず、高位での上昇継続という状況です。
都道府県別に見る土地相場のランキング
全国の宅地(土地のみ)取引を都道府県別に集計すると(2020〜2025年プール・N≥100)、坪単価の格差が鮮明に見えます。
坪単価上位5都道府県:
| 順位 | 都道府県 | N | 坪単価中央値 | 総額中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 25,730 | 1,500,000円/坪 | 5,200万円 |
| 2位 | 神奈川県 | 22,415 | 570,000円/坪 | 2,900万円 |
| 3位 | 大阪府 | 19,784 | 520,000円/坪 | 2,500万円 |
| 4位 | 京都府 | 7,045 | 430,000円/坪 | 2,100万円 |
| 5位 | 愛知県 | 31,592 | 300,000円/坪 | 2,000万円 |
東京都の1,500,000円/坪は2位の神奈川県(570,000円/坪)の2.6倍で、圧倒的な水準です。三大都市圏(東京・大阪・名古屋)の中心県が上位を占め、そこから坪単価が1桁変わる地域まで連続しています。
坪単価下位3県:
| 順位 | 都道府県 | N | 坪単価中央値 | 総額中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 最下位 | 秋田県 | 3,932 | 57,000円/坪 | 550万円 |
| 下位2位 | 茨城県 | 14,287 | 60,000円/坪 | 730万円 |
| 下位3位 | 鹿児島県 | 6,811 | 65,000円/坪 | 700万円 |
秋田県の57,000円/坪は東京都の約1/26です。茨城県はN=14,287件とデータ量が十分あるにもかかわらず60,000円/坪で、首都圏隣接県ながら土地相場が低いことが分かります。土地売却相場を考えるとき、「自分の県が全国でどのあたりにあるか」を把握することが第一歩です。
5年間で土地価格がどう変わったか(2020年 vs 2025年)
2020年と2025年の両方でN≥30を満たす47都道府県で比較すると、上昇と下落が分かれます。
上昇率上位:
| 順位 | 都道府県 | 2020年 | 2025年 | 変化率 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 北海道 | 80,000円/坪 | 140,000円/坪 | +75.0% |
| 2位 | 宮城県 | 125,000円/坪 | 210,000円/坪 | +68.0% |
| 3位 | 千葉県 | 190,000円/坪 | 290,000円/坪 | +52.6% |
| 4位 | 広島県 | 160,000円/坪 | 240,000円/坪 | +50.0% |
| 5位 | 石川県 | 100,000円/坪 | 140,000円/坪 | +40.0% |
| 6位 | 東京都 | 1,300,000円/坪 | 1,800,000円/坪 | +38.5% |
北海道は+75.0%とダントツの上昇率ですが、これは観光地・リゾート地の取引が影響している可能性があります。宮城県(+68.0%)は東北の中心都市としての地盤上昇、千葉県(+52.6%)は東京圏の波及効果と見られます。東京都も+38.5%と高位での上昇が続いています。
下落した都道府県:
| 順位 | 都道府県 | 2020年 | 2025年 | 変化率 |
|---|---|---|---|---|
| 下位1位 | 鹿児島県 | 72,000円/坪 | 64,500円/坪 | -10.4% |
| 下位2位 | 島根県 | 87,000円/坪 | 79,000円/坪 | -9.2% |
| 下位3位 | 熊本県 | 110,000円/坪 | 100,000円/坪 | -9.1% |
鹿児島県・島根県・熊本県では5年間で土地坪単価が下落しました。ただし両年ともNが数百件単位で、個別物件の構成偏りの影響を完全には排除できません。それでも全国一律に上昇しているわけではなく、地域によっては下落している事実は重要です。
面積が坪単価に与える影響
土地売却相場は「面積」によって大きく変わります。面積が大きくなるほど坪単価が下がる傾向があります。
| 面積帯 | N | 坪単価中央値 | 総額中央値 | 面積中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 100㎡未満(30坪未満) | 56,959 | 230,000円/坪 | 1,500万円 | 55㎡ |
| 100-200㎡(30-60坪) | 132,464 | 290,000円/坪 | 1,300万円 | 150㎡ |
| 200-300㎡(60-90坪) | 100,514 | 140,000円/坪 | 1,000万円 | 230㎡ |
| 300-500㎡(90-150坪) | 77,755 | 99,000円/坪 | 1,100万円 | 360㎡ |
| 500㎡以上(150坪以上) | 86,732 | 60,000円/坪 | 1,500万円 | 820㎡ |
最も坪単価が高いのは100-200㎡(30-60坪)帯の290,000円/坪です。これは一般的な戸建て住宅地の面積帯で、需要が最も集中するサイズです。一方、500㎡以上(150坪以上)は60,000円/坪と最も低く、100-200㎡帯との差は4.8倍です。
興味深いのは、100㎡未満の小さな土地(230,000円/坪)よりも100-200㎡(290,000円/坪)の方が坪単価が高い点です。極端に小さい土地は建築条件の制約(建ぺい率・容積率に対して建てられる建物が限られる等)があり、坪単価が少し下がる傾向があると推察されます。一方で総額中央値を見ると、500㎡以上は1,500万円と面積の割に安く、これは地方の広大な土地が含まれるためです。
駅からの距離が坪単価に与える影響
駅距離も土地相場を決める大きな要因です。
| 駅距離 | N | 坪単価中央値 | 総額中央値 |
|---|---|---|---|
| 徒歩5分以内 | 49,861 | 180,000円/坪 | 1,400万円 |
| 徒歩6-10分 | 75,573 | 290,000円/坪 | 1,800万円 |
| 徒歩11-15分 | 72,794 | 220,000円/坪 | 1,600万円 |
| 徒歩16-30分 | 117,813 | 150,000円/坪 | 1,300万円 |
| 徒歩31分以上 | 128,227 | 93,000円/坪 | 910万円 |
一見意外なのが、徒歩5分以内(180,000円/坪)よりも徒歩6-10分(290,000円/坪)の方が坪単価・総額ともに高い点です。これは徒歩5分以内の物件に小面積の商業地・駐車場用地等が多く含まれ、住宅地としては必ずしも最高単価ではないことを示唆しています。住宅地としての需要が最も集まるのは徒歩6-10分帯で、総額中央値1,800万円・坪単価290,000円/坪がピークです。
徒歩31分以上(車社会エリア)になると93,000円/坪・910万円まで下がり、徒歩6-10分との差は3.1倍です。土地を売る際、「最寄り駅から何分か」は価格に直結する要素であることがデータから分かります。
市区町村別の極端な高低差
都道府県単位よりも細かい市区町村別で見ると、より鮮明な格差が見えます(N≥500)。
坪単価上位市区町村:
| 順位 | 市区町村 | N | 坪単価中央値 | 総額中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 東京都目黒区 | 546 | 3,600,000円/坪 | 1億1,000万円 |
| 2位 | 東京都品川区 | 698 | 3,100,000円/坪 | 7,700万円 |
| 3位 | 東京都豊島区 | 524 | 2,700,000円/坪 | 7,600万円 |
| 4位 | 東京都世田谷区 | 1,860 | 2,600,000円/坪 | 8,900万円 |
上位20位のうち大部分が東京23区で、目黒区は3,600,000円/坪(坪当たり360万円)に達します。これは全国中央値150,000円/坪の24倍です。
坪単価下位市区町村:
| 順位 | 市区町村 | N | 坪単価中央値 | 総額中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 下位1位 | 茨城県筑西市 | 582 | 26,000円/坪 | 440万円 |
| 下位2位 | 山梨県北杜市 | 585 | 30,000円/坪 | 540万円 |
| 下位3位 | 長野県伊那市 | 504 | 39,500円/坪 | 510万円 |
筑西市の26,000円/坪は目黒区の約1/138です。同じ「土地」でも、立地によってこれだけの開きが出ます。土地売却相場を調べるときは、全国や都道府県の平均値ではなく、できる限り近隣の市区町村レベルで比較することが重要です。
取引価格と公示地価の乖離が教えるもの
国土交通省の公示地価(住宅地・2024年)と、実際の取引坪単価(2024年以降)を都道府県別に比較すると、「公示地価に対して実際の取引がどれくらい高いか・低いか」が分かります。
| 都道府県 | 取引坪単価 | 公示地価坪換算 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 1,700,000円/坪 | 1,140,496円/坪 | +49.1% |
| 神奈川県 | 630,000円/坪 | 624,793円/坪 | +0.8% |
| 沖縄県 | 170,000円/坪 | 363,636円/坪 | -53.2% |
東京都では取引価格が公示地価を+49.1%も上回っており、公示地価よりも実際の市場の方がはるかに高い水準で取引されています。神奈川県は+0.8%とほぼ一致しており、公示地価が実際の相場をよく反映しています。一方、沖縄県は取引価格が公示地価を-53.2%下回り、実際の取引は公示地価より半分程度安い状況です。
この乖離には複数の要因が絡みます。公示地価は標準地という特定地点の評価であり、実際の取引はより多様な条件の物件が含まれます。また、公示地価は毎年1月1日時点の評価ですが、取引は通年にわたります。沖縄県のように取引が公示地価を大きく下回る地域では、実際の売却価格が路線価・公示地価ベースの想定より低くなる可能性に留意が必要です。
土地売却相場を実務的に読む方法
土地売却相場を一つの数字で表すことはできません。データから読める構造を整理すると以下の通りです。
第一に、全国の宅地(土地のみ)坪単価中央値は150,000円/坪(1,200万円)ですが、東京都の1,500,000円/坪から秋田県の57,000円/坪まで約26倍の地域差があります。第二に、2020〜2025年の6年間で坪単価は**+28.6%上昇**しましたが、最初の3年間は横ばいで後半3年間に加速しました。第三に、鹿児島県(-10.4%)・島根県(-9.2%)・熊本県(-9.1%)では5年間で下落しており、全国一律の上昇ではありません。
第四に、面積と駅距離は坪単価に4.8倍・3.1倍の差をもたらします。同じ市内でも、100-200㎡の徒歩6-10分エリアと500㎡以上の徒歩31分以上エリアでは、坪単価が全く違います。第五に、公示地価と取引価格の乖離は都道府県によって+49.1%から-53.2%まで幅があり、公示地価をそのまま売却相場とみなすと大きく外れる場合があります。
つまり土地売却相場を正確に把握するには、(1) 自分のエリアの市区町村レベルの取引データ、(2) 面積と駅距離の条件、(3) 公示地価との乖離方向、の3点を組み合わせて確認するのが実務的です。ご自身の土地の現在の価値を知りたい場合は、無料査定を依頼から個別の条件でご相談ください。
集計条件: 出典=国土交通省「不動産取引価格情報」/対象=type='宅地(土地)'(土地のみの取引)/集計期間=2020年第1四半期〜2025年第4四半期(454,424件)/total_price・tsubo_price がNULLの行は除外/価格=中央値(円/坪・万円)/都道府県別変化率は2020年・2025年ともN≥30/市区町村別はN≥500/公示地価比較は2024年以降の取引と公示地価2024年(住宅地)/平均値は不使用。
出典: 国土交通省 不動産取引価格情報・公示地価