東京駅周辺(都心3区)の中古マンション相場は中央値8,100万円
結論から言うと、東京駅周辺(都心3区)の中古マンションは成約データN=13,067件で総額中央値8,100万円・m²単価中央値137.1万円/m²(国土交通省 成約価格情報・2021年第1四半期〜2025年第4四半期)。これは東京都全体中央値4,800万円の1.69倍、全国中央値2,900万円の2.79倍に位置し、日本のマンション市場の頂点に立つ価格帯だ。
本記事では「東京駅周辺」を、東京駅が所在する千代田区(丸の内・大手町側)と中央区(日本橋・八重洲側)、そして南へ隣接して業務商業集積が連なる港区(新橋・虎ノ門・浜松町)を合わせた**「都心3区」**で捉える。これは不動産業界の標準的な市場区分でもある。東京駅そのものを最寄り駅とする中古マンションの成約データはN=23件しかなく、居住用相場を読むには区単位の集計が不可欠だからだ。
本記事は成約価格情報を主軸にする。国土交通省が公開する成約データには実際に成立した売買価格が1件ずつ記録されており、提示価格(取引価格情報)とは異なる実勢指標になる。なおデータセットに「買取取引」を識別する列はないため、本記事では下位バンド(P25・P10)を安値目安の参考値として扱い、買取価格そのものとは断定しない。
成約データで読む価格分布と下位バンド
都心3区中古マンション13,067件の総額分布をパーセンタイルで見ると、価格帯の厚みと分散が同時に見える。
| パーセンタイル | 総額(万円) |
|---|---|
| P10(下位10%) | 2,600 |
| P25(下位25%) | 5,000 |
| 中央値(P50) | 8,100 |
| P75(上位25%) | 13,000 |
| P90(上位10%) | 19,000 |
中央値8,100万円に対し、下位25%の境界は5,000万円、下位10%は2,600万円。逆に上位25%は13,000万円、上位10%は19,000万円に達する。P10とP90では7.3倍の開きがあり、物件ごとの価格差が極めて大きい市場だ。専有面積の中央値は60.0m²(P25=40.0m²・P75=75.0m²)で、坪単価中央値は453.4万円/坪。下位バンド(P25以下)にはワンルームや1Kの小型物件が多く混在し、成約価格が安い理由は単価ではなく面積の小ささに由来する場合が多い。買取を検討する際、この下位バンドが一つの参照点になる。ただし買取価格は業者の仕入れマージンや修繕費用を織り込むため、成約データの下位バンドよりさらに低くなる余地がある。
港区が8,900万円で最高・千代田区は面積が小さく総額は抑え目
都心3区を区別に見ると、価格性格が大きく異なる。
| 区 | N | 総額中央値 | P25 | P75 | m²単価中央値 | 面積中央値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 港区 | 6,204 | 8,900万円 | 5,000万円 | 14,000万円 | 147.3万円/m² | 60m² |
| 中央区 | 5,425 | 7,900万円 | 5,300万円 | 11,000万円 | 129.2万円/m² | 60m² |
| 千代田区 | 1,438 | 6,500万円 | 3,700万円 | 11,750万円 | 137.5万円/m² | 45m² |
港区は3区で最も高い。総額中央値8,900万円、m²単価147.3万円/m²でともにトップ。都心3区13,067件の47.5%(6,204件)を占める最大構成区で、六本木・広尾・白金台等の高級住宅街と品川・田町等の湾岸タワーマンションが価格を押し上げる。中央区は総額中央値7,900万円で2番手。都心3区の41.6%(5,425件)を占め、日本橋・銀座のビジネス街近接マンションと、勝どき・月島の湾岸タワーが混在する。
千代田区だけ注意が要る。総額中央値は6,500万円と3区で最も低いが、専有面積中央値が45.0m²と突出して小さい。丸の内・大手町・麹町はオフィス集積地で居住用マンションの供給が限定的(都心3区の11.0%=N=1,438件)なため、小型物件の比重が高い。だがm²単価は137.5万円/m²で中央区(129.2万円/m²)より高い。総額が低いのは面積が小さいからで、単価では決して安くない。坪単価で比較すると、千代田区の立地プレミアムはむしろ中央区を上回る。
築年別で10,000万円から3,600万円へ
築年別に総額中央値を追うと、都心3区でも築年による価値減衰がはっきり見える。
| 築年帯 | N | 総額中央値(万円) | m²単価中央値(万円/m²) |
|---|---|---|---|
| 0-5年 | 1,988 | 10,000 | 183.1 |
| 6-10年 | 2,719 | 9,800 | 160.0 |
| 11-15年 | 1,525 | 9,200 | 146.2 |
| 16-20年 | 2,356 | 8,600 | 136.0 |
| 21-30年 | 1,785 | 7,200 | 131.4 |
| 31年超 | 2,525 | 3,600 | 91.4 |
築0-5年は10,000万円、築6-10年で9,800万円と1億円前後を維持する。築16-20年でも8,600万円、築21-30年で7,200万円と、築30年までは7,000万円台を保つのが都心3区の特徴だ。急落は築31年超で起こり、総額は3,600万円まで下がる(築0-5年比-64.0%)。
しかしm²単価で見ると、築31年超でも91.4万円/m²を維持している。これは全国m²単価中央値42.4万円/m²の2.2倍に相当する。立地のプレミアムが築年の劣化を一部相殺する構造で、地方の中古マンションのように築年だけで価格が崩壊するわけではない。都心3区では「築古でも立地が良ければ単価は落ちにくい」という市場の性質が数字に現れている。
5年で中央値+61.8%・m²単価は181.8万円に
年次推移を見ると、都心3区の中古マンションはこの5年で大きく値上がりしている。
| 年 | N | 総額中央値(万円) | P25(万円) | m²単価中央値(万円/m²) |
|---|---|---|---|---|
| 2021 | 2,252 | 6,800 | 4,500 | 114.8 |
| 2022 | 2,407 | 7,500 | 4,800 | 125.0 |
| 2023 | 2,651 | 8,000 | 5,000 | 132.5 |
| 2024 | 2,536 | 8,500 | 5,200 | 150.0 |
| 2025 | 3,221 | 11,000 | 5,700 | 181.8 |
総額中央値は2021年6,800万円から2025年11,000万円へ61.8%上昇。m²単価は114.8万円/m²から181.8万円/m²へ58.4%上昇した。2025年はQ1〜Q4の全四半期が確認済み(各四半期787〜816件)で、11,000万円という水準はQ2以降一貫しており、部分年データの歪みではない。
ただし注目すべきは下位バンドの動きだ。P25(下位25%)は2021年4,500万円→2025年5,700万円で上昇率は26.7%にとどまる。中央値の上昇(61.8%)と比べると半分以下のペースで、価格上昇が上位物件に偏っていることが分かる。タワーマンションや大型ファミリータイプの価格上昇が中央値を引き上げ、単身者向けの小型物件や築古物件の上昇は限定的だ。これは「都心マンションが値上がりしている」と一括りにできない構造的な格差を示している。
東京都全体の1.69倍・全国の2.79倍
都心3区の相場を相対位置で把握しておく。
| スコープ | 総額中央値 | m²単価中央値 | 都心3区との比 |
|---|---|---|---|
| 都心3区 | 8,100万円 | 137.1万円/m² | — |
| 東京都全体 | 4,800万円 | 83.3万円/m² | 1.69倍 |
| 全国 | 2,900万円 | 42.4万円/m² | 2.79倍 |
都心3区の総額中央値8,100万円は、東京都全体の1.69倍、全国の2.79倍。m²単価で見ると、都心3区137.1万円/m²は全国42.4万円/m²の3.23倍に達する。東京都内ですら都心3区は明確に別の価格帯に位置し、日本のマンション市場の頂点を形成している。
隣接区との比較で見える都心3区の独自性
東京23区の主要区で総額中央値を並べると、都心3区の立ち位置が際立つ。
| 区 | 総額中央値(万円) |
|---|---|
| 港区 | 8,900 |
| 中央区 | 7,900 |
| 渋谷区 | 7,000 |
| 千代田区 | 6,500 |
| 品川区 | 6,500 |
| 江東区 | 6,300 |
| 文京区 | 6,100 |
| 世田谷区 | 6,000 |
| 新宿区 | 5,500 |
港区・中央区がトップ2を占め、千代田区は品川区と同水準の6,500万円。渋谷区(7,000万円)を含めた都心4区が7,000万円台以上を形成し、そこから江東区・文京区・世田谷区は6,000万円台、新宿区は5,500万円へと段階的に下がる。都心3区とそれ以外の23区の間には明確な価格の段差がある。この段差は、オフィス集積・交通結節点・ブランド力の複合で生じており、単なる「駅近」の効果を超えた立地プレミアムと言える。
間取り別で読む価格帯
都心3区の中古マンションは間取り別でも価格差が大きい。
| 間取り | N | 総額中央値(万円) |
|---|---|---|
| 3LDK | 2,073 | 13,000 |
| 2LDK | 4,222 | 11,000 |
| 1LDK | 3,009 | 6,600 |
| 1K | 1,148 | 2,900 |
| 1R(ワンルーム) | 1,197 | 2,200 |
ファミリータイプ(2LDK以上)は10,000万円超が標準で、3LDKは13,000万円に達する。一方、単身者向けの1Rは2,200万円・1Kは2,900万円で、いずれも2,900万円以下に位置する。間取りが変われば、同じ都心3区内でも総額は2,200万円から13,000万円まで大きく変わる。予算2,900万円以下で都心に住みたい場合は1R・1Kの選択肢が現実的で、逆にファミリーで都心3区となれば10,000万円以上の予算感が必要になる。この価格階層の分断が、先に見た「中央値と下位バンドの上昇率の乖離」の背景にある。
まとめ — 東京駅周辺でマンションを選ぶ際のデータ活用手順
東京駅周辺(都心3区)の中古マンション相場は、成約データN=13,067件で総額中央値8,100万円・m²単価137.1万円/m²。5年間で中央値は61.8%上昇し、全国の2.79倍に位置する。ただし区別・築年別・間取り別で見ると、同じ都心3区内でも総額3,600万円(築31年超)から19,000万円(P90)まで大きく分散する。
自分の相場を調べるときは、以下の順でデータを絞るのが実用的だ。第一に区を選ぶ(港区8,900万円・中央区7,900万円・千代田区6,500万円で価格帯が違う)。第二に築年を決める(築30年までは7,000万円台を保つが、31年超は3,600万円に下落する)。第三に間取りで予算を逆算する(2LDK以上は11,000万円、1LDKは6,600万円、1R・1Kは2,900万円以下)。成約データの中央値と下位バンド(P25)を参照点に置き、自分の物件の条件を当てはめれば、大まかな相場感を掴める。
より正確な査定額を知りたい場合は、成約データの中央値を目安にしつつ、個別物件の階数・方位・設備・修繕履歴を加味した専門家の査定を受けることを勧める。
集計条件: 出典は国土交通省「不動産取引価格情報・成約価格情報」。対象種別は中古マンション等。集計期間は2021年第1四半期〜2025年第4四半期。「東京駅周辺」は都心3区(千代田区・中央区・港区)と定義。total_price・unit_price・area_sq_mが0またはNULLの行、建築年が成約年より未来のレコードを除外。集計は中央値(median)を主軸。金額は万円単位、m²単価は万円/m²、坪単価は万円/坪に換算。2025年はQ1〜Q4全四半期確認済み。