大田区の中古マンション相場は坪249.8万円・総額4,500万円
大田区は東京23区最大の面積を持ち、高級住宅地から工業・流通エリアまで幅広い顔を持つ。本記事は大田区の中古マンション成約データ 4,423件(2021〜2025年・5年)を集計し、実勢価格を明らかにする。
坪単価の中央値で見ると、大田区は 249.8万円/坪(m²単価 75.6万円/㎡)、総額中央値は 4,500万円 だった。専有面積の中央値は 60㎡。坪単価のばらつきは、下位4分の1が 203.1万円/坪 以下、上位4分の1が 303.0万円/坪 以上という範囲に収まる。
つまり「大田区の中古マンション」と一括りにしても、坪単価で203万〜303万円、総額で2,900万〜6,000万円の幅がある。区内33駅の価格差が大きいことが、このばらつきの最大の要因だ。
5年で坪単価+18.9%上昇、直近は高止まり基調
大田区のマンション相場はこの5年で着実に上がっている。坪単価の中央値は2021年の 222.4万円/坪(N=752)から2025年の 264.5万円/坪(N=1,204)へ +18.9% 上昇した。総額で見ると 4,100万円→4,500万円(+9.8%)に膨らんでいる。
上昇のペースを年ごとに追うと、2021→2022年は +10.6% と急ピッチでスタートし、2022→2023年は +5.1% と落ち着いた。2023→2024年は -0.9% とわずかに反落したあと、2024→2025年は +3.2% と再び緩やかな上昇に戻っている。
| 年 | 坪単価中央値(万円/坪) | 総額中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 2021 | 222.4 | 4,100万円 | 752 |
| 2022 | 246.0 | 4,500万円 | 792 |
| 2023 | 258.5 | 4,700万円 | 770 |
| 2024 | 256.2 | 4,600万円 | 905 |
| 2025 | 264.5 | 4,500万円 | 1,204 |
急激な値上がりは2021〜2022年に集中し、以降は高止まりのなかで小幅な変動を繰り返している。2025年は取引件数が1,204件と5年で最多となり、市場の流動性が高まっている点にも注目したい。買い手にとっては急騰局面は過ぎたが、相場が下がったわけではない。
価格の分布 — 中央の半数は2,900万〜6,000万円
総額の分布を百分位で押さえておくと、予算感との照合がしやすい。成約4,423件の総額を並べると、下から10%目(P10)は 1,800万円、25%目(P25)は 2,900万円、中央値(P50)は 4,500万円、75%目(P75)は 6,000万円、90%目(P90)は 7,500万円 だった。
大田区の中古マンション取引の半数は 2,900万〜6,000万円 の帯に入る。1,800万円以下で買える物件は全体の1割程度、7,500万円を超える物件も1割程度にとどまる。予算が3,000万〜5,000万円帯であれば選択肢が最も広く、6,000万円以上になると対象が絞られていく。
駅別で見る大田区 — 大岡山が最高、穴守稲荷が最低で2.21倍
大田区を駅別(N≥20)で分けると、坪単価に明確な階層ができる。最も高いのは大岡山の 337.2万円/坪(N=31)、続いて京急蒲田 308.5万円/坪(N=133)、雪が谷大塚 308.5万円/坪(N=117)、洗足 304.1万円/坪(N=23)、洗足池 287.9万円/坪(N=86)が続く。300万円台に乗せる上位グループは、東急目黒線・池上線沿いの閑静な住宅エリアに集まっている。
| 駅 | 坪単価中央値(万円/坪) | 総額中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 大岡山 | 337.2 | 6,600万円 | 31 |
| 京急蒲田 | 308.5 | 4,700万円 | 133 |
| 雪が谷大塚 | 308.5 | 6,200万円 | 117 |
| 洗足 | 304.1 | 4,200万円 | 23 |
| 洗足池 | 287.9 | 5,800万円 | 86 |
| 大森(東京) | 271.8 | 4,500万円 | 425 |
| 千鳥町 | 270.5 | 5,100万円 | 103 |
| 下丸子 | 264.5 | 6,600万円 | 137 |
| 馬込 | 264.5 | 4,800万円 | 191 |
| 糀谷 | 259.7 | 4,700万円 | 125 |
| 六郷土手 | 255.6 | 5,400万円 | 161 |
| 池上 | 253.4 | 4,150万円 | 214 |
| 西馬込 | 244.8 | 5,000万円 | 304 |
| 蒲田 | 242.4 | 4,000万円 | 332 |
| 大森町 | 238.0 | 4,100万円 | 133 |
| 武蔵新田 | 237.1 | 4,300万円 | 142 |
| 平和島 | 230.1 | 2,800万円 | 98 |
| 石川台 | 222.1 | 4,150万円 | 120 |
| 大鳥居 | 221.0 | 4,050万円 | 136 |
| 矢口渡 | 220.4 | 4,100万円 | 159 |
| 田園調布 | 216.5 | 3,700万円 | 40 |
| 雑色 | 213.6 | 4,150万円 | 154 |
| 穴守稲荷 | 152.3 | 1,850万円 | 26 |
一方、最も低いのは穴守稲荷の 152.3万円/坪(N=26)で、最高と最低では 約2.21倍 の開きがある。穴守稲荷は京急空港線沿線で、周辺に工業・流通施設が集まるエリアだ。総額でも大岡山の6,600万円に対し穴守稲荷は1,850万円で、4,750万円の差がつく。
取引件数が最も多いのは大森(東京)(N=425)で、蒲田(N=332)、西馬込(N=304)が続く。JR・京急のターミナルである蒲田・大森周辺が大田区マンション取引の中心地であり、相場の中核を形成している。総額で見ると、蒲田は4,000万円・大森は4,500万円と坪単価の割に手頃なのは、ファミリータイプよりコンパクト物件の比率が高いことが影響している。
築年が価格を決める — 築浅と築古で1.77倍
立地と並んで価格を左右するのが築年だ。大田区全体で築年帯別に坪単価中央値を見ると、築0-5年は 330.6万円/坪(N=272)、築31年超は 187.3万円/坪(N=1,422)で、築浅と築古では 約1.77倍 の開きがある。
| 築年帯 | 坪単価中央値(万円/坪) | 総額中央値 | N |
|---|---|---|---|
| 0-5年 | 330.6 | 5,700万円 | 272 |
| 6-10年 | 318.6 | 6,200万円 | 621 |
| 11-15年 | 281.0 | 4,900万円 | 403 |
| 16-20年 | 264.5 | 5,300万円 | 627 |
| 21-30年 | 250.3 | 5,050万円 | 928 |
| 31年超 | 187.3 | 3,100万円 | 1,422 |
築年が進むごとに段階的に値下がりする構造が明確だ。築0-5年から築6-10年までは330万→318万円と緩やかだが、築11-15年で281万円に下がり、築31年超で187万円に落ち込む。総額で見ると築0-5年の5,700万円から築31年超の3,100万円まで、築年だけで半分近い水準差が生じる。
なお築31年超の件数が最も多い(N=1,422)ことから、大田区では築古物件の流通が活発である。これは大田区が戦前からの市街地であり、1960〜80年代に建設されたマンションが大量に存量として存在するためだ。築古を検討する際は、耐震基準や修繕履歴の確認が欠かせない。
20年スパンで見ると坪単価は約2倍に
成約データ(2021年〜)より前の動きを見るため、不動産取引価格情報で遡ると、大田区のマンション坪単価は20年で大きく上がっている。2005年の坪単価中央値は 162.1万円/坪(N=252)だった。それが2015年に 218.7万円/坪(N=919)、2020年に 277.3万円/坪(N=1,228)、2025年に 330.6万円/坪(N=993)まで上昇した。
2005年と比べると、坪単価は +103.9%(約2.04倍)に達している。20年前の半分の坪単価から現在の水準に至るまで、大田区の相場は長期的な上昇トレンドにある。ただしこれは過去の実績値であり、今後の動きを保証するものではない。長期推移は不動産取引価格情報(成約価格情報とは別のデータセット)に基づく点にも留意されたい。
23区のなかの大田区 — 17位、中央値の約8割
大田区の相場水準を23区と比べると、中位に位置する。23区全体の坪単価中央値は 303.0万円/坪(総額5,300万円・N=84,436)。大田区の 249.8万円/坪 は、23区中央値の 約82.4% にあたり、順位は 17位/23区 だ。
23区で最も高いのは港区の 486.9万円/坪(N=6,204)。大田区は港区の 約1.95倍 安い。一方、23区で最も低い足立区 167.2万円/坪(N=3,217)と比べると、大田区はかなり高い水準にある。大田区は品川区・目黒区など都心南部に隣接し、羽田空港へのアクセスも良いため、南東京の中継エリアとして相場が支えられている。
同じ東京23区でも、港区クラスと大田区クラスでは坪単価が2倍近く違う。「23区の中古マンション」という括りだけで相場を語ると、実勢とかけ離れた見当をつけてしまうことになる。
間取り別の相場観 — 3LDKが主流
大田区で最も取引件数が多い間取りは3LDKで、1,414件 を数える。3LDKの総額中央値は 5,900万円、坪単価中央値は 259.7万円/坪、専有面積中央値は 75㎡。ファミリー層向けの3LDKが大田区マンション相場の中心であり、区全体の総額中央値(4,500万円)を大きく上回る。
| 間取り | 総額中央値 | 坪単価中央値 | 専有面積中央値 | N |
|---|---|---|---|---|
| 3LDK | 5,900万円 | 259.7万円/坪 | 75㎡ | 1,414 |
| 2LDK | 4,900万円 | 258.7万円/坪 | 60㎡ | 870 |
| 1LDK | 3,500万円 | 257.1万円/坪 | 45㎡ | 463 |
| 1K | 2,000万円 | 264.5万円/坪 | 25㎡ | 427 |
2LDKは総額中央値 4,900万円(N=870)、1LDKは 3,500万円(N=463)、1Kは 2,000万円(N=427)。間取りをコンパクトにするほど総額は下がるが、坪単価自体は2LDK・1LDKとも257〜258万円でほぼ横並びであり、1Kに至っては264.5万円と最も高い。これは単価の高い都心寄り駅のワンルーム需要が坪単価を押し上げているためで、広さと坪単価は必ずしも連動しない。
構造別では、RC(鉄筋コンクリート)造が 259.7万円/坪(N=3,278)で大多数を占め、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造は 211.6万円/坪(N=826)。SRCは高層マンションに多い構造だが、大田区では中低層RCマンションの比率が高く、RCが相場の基準となる。
まとめ — 自分の沿線・築年の実勢を知るステップ
大田区の中古マンション相場は、坪単価中央値 249.8万円/坪・総額中央値 4,500万円(2021〜2025年・成約4,423件)が基準になる。ただし、駅別で大岡山337.2万円と穴守稲荷152.3万円の 2.21倍差、築年別で築0-5年330.6万円と築31年超187.3万円の 1.77倍差 があるため、自分の沿線と築年を当てはめないと意味のある数字にならない。
具体的なステップは3つだ。まず自分の最寄り駅が上表のどの価格帯に入るかを確認し、次に築年帯の坪単価を掛け合わせて大まかな目安を出す。最後に、専有面積(60㎡前後が中心、3LDKなら75㎡)で坪数を換算すれば、実勢ベースの総額目安が見えてくる。
記事の数値は国土交通省「不動産取引価格情報・成約価格情報」に基づく過去の取引実績の集計であり、個別物件の査定額を保証するものではない。ご自身の物件のより正確な価値を知りたい場合は、自社の査定フォーム からお気軽にご相談いただきたい。沿線・築年・階数などの条件を踏まえた個別のお見積りをご案内できる。
データ出典・集計条件: 国土交通省「不動産取引価格情報・成約価格情報」。成約価格情報の集計期間は2021年第1四半期〜2025年第4四半期(大田区・中古マンション等・4,423件)。長期推移は不動産取引価格情報(2005〜2025年・18,711件)。価格は中央値(median)で集計し平均値は使用していない。total_price・tsubo_price がNULLの行は除外。駅別集計はN≥20の駅のみ表示(33駅)。買取相場の公的データは存在しないため、成約相場を市場価格の参考値として提示している。